月曜日。1月14日は「成人の日」ですが、あの国での「成人事情」はどうなのでしょうか?
今日も2カ国をコネクト。
NY。中村英雄さん
「州によって、また、事柄によって、微妙に異なります」
成人式を大人になるためのイニシエーション=「通過儀礼」と拡大解釈するならば、いくつか指摘できる現象はあります。
たとえば、米国では20歳で飲酒が許可されますが、この年齢に達した若者がバカ飲みする「ビンジ・ドリンキング」は一種の成人儀礼でしょう。NYで通過儀礼といえば忘れてはならないのが、移民集団によって出身母国のそれを継承しているケースがあります。
たとえば、ラテン系カソリック社会では女の子が15歳になると受ける「キンセアニェラ」のお祝いが一種の成人式ですし、ユダヤ系社会では、男女が13歳で受ける「バーミツバ(男)」「バットミツバ(女)」の習慣が依然として大事な通過儀礼です。
こうした民族的成人儀礼は、ティーン時代に行われるものが多く、20歳を待たずして「大人になる」というわけです。
ウチの娘も13の時は、よくユダヤの友人のパーティーに呼ばれていました。平均50ドルぐらいのお祝いを持って行きますが、年にこれが7回ぐらい続き、結構、家計を圧迫?しました。
キンセアニェラのほうは、「ラテン女の一生」には欠くことの出来ない一大事らしいですが、在米ラティーナたちは翌年に「スイートシックスティーン」も控えているため、昨今は経済事情も鑑みて、どちらかひとつに絞る傾向があるようです。
トルコ、イスタンブール。加瀬由美子さん
「18歳です」
トルコでは、成人年齢は男女とも「18歳」と決められています。
18歳になると
結婚することが出来る(親の承諾なしでも)。
法律上、成人と認められるので、刑罰の対象になる(それまでは少年として、殺人事件を起こしても保護観察の対象)。
選挙で、投票する権利を獲得できる。
車の免許が取れる。
飲酒・喫煙が許される。
成人映画が見られるようになる。
この辺までは日本の20歳の男女とおなじことですが、トルコに生まれた男子として、成人したあと20歳の時、日本人とは決定的な違いが生じます。それは「兵役」です。
職業軍人を目指す若者は、中学・高校時代から選抜されて国費で育成されます。それ以外のトルコの男子も20歳の誕生日を迎えると兵役に就く義務があるのです。中卒、高卒などで働き始めた男子は20歳を過ぎると現在の法律では、460日。4年制大学卒業以上だと5カ月プラス10日の間、無給で陸軍あるいは海軍、空軍、憲兵の見習い兵として訓練を受け、国の防衛に当たらなくてはなりません。
これらは国民の義務ですが、勤務の代わりに一定金額を国に納めると兵役義務が免除されることもあります。
最近の法律では、30,000リラ(約150万円)ほどです。
学業の途中の人は20歳を過ぎても兵役につくのを先へ延ばすことができます。
中には兵役につくのが嫌さに、外国へ留学してしまうとか、外国人女性と結婚してその国に行ってしまうとか、あの手この手で逃れたいという人が少なくありません。
以前、メガトン級の人気歌手が兵役逃れに外国でコンサート・ツアーばかりしていて、とうとう軍隊から呼び出しをくらい、罰金と1カ月の強制兵役に就かされ、テレビや新聞が大騒ぎで彼の訓練風景を取材しました。
トルコ自体は治安も良く、平和な国なのですが、国境付近で民族独立運動のテロリストとの戦いがあり、見習い兵士も多数犠牲になっています。ですから、兵役に行くのはみんな嫌なのです。 それでもトルコでは、「男は兵役を終わらせなければ、本当の大人の男とは言えないよ」と、みんなが口を揃えて言っています。