群馬県の南部に位置する富岡市。
妙義山を望んで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。地元の食材の朝ごはんにしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
明治5年。日本の近代化のため、当時の政府がすすめた工業化政策の柱として、絹糸を作る製糸工場が操業をはじめました。フランス人指導者のポール・ブリューナは、数ある候補地の中から養蚕業が盛んで、良質で豊富な水があり、エネルギー源となる石炭が得られる、という理由で、ここ富岡が最も適していると判断したのです。フランスから技術者を連れてきて、当時の小柄な日本人の体格に合わせて機械を特注し、最先端の工場としてスタート。1987年に操業を停止するまで、100年以上の歴史がありました。今なお、工場と付帯設備の建物は良好な状態で保存されています。主要な建物は、木の骨組みに、壁にレンガを積み入れて造り、鉄枠のガラス窓や、観音開きのドアの蝶番はフランス製。レンガ作りやレンガを積む方法は、瓦職人がフランス人から指導を受けたため、外観はフランス風のスタイルです。しかし屋根は伝統的な日本瓦を使っていて、日本と西洋の技術を融合して建てられたユニークな建物です。現在、国指定重要文化財となっていますが、「富岡製糸場と絹産業遺産群」として暫定世界遺産リストにも選定されている、日本近代化の夜明けの香りが残る建造物です。
群馬県の名産といえば、かなり太めの「下仁田ネギ」。そして「こんにゃく」が有名ですが、いずれも富岡市周辺で収穫されます。このふたつに「しいたけ」を加えた3つの食材をたっぷりと使って作るのが「こしね汁」。こんにゃく、しいたけ、ネギの最初の一文字をとったネーミングです。しいたけから出るたっぷりのダシに、熱を通す事によってあまみがでるネギ。さらに こんにゃくのプリプリした食感が楽しめ、地元食材を中心に食物繊維が豊富に取れるのです。もちろん豚肉や油揚げが入ってボリュームも満点。外食中心でなかなか野菜が摂れない人にもうってつけ。朝からしっかりとお腹を満たしましょう。
地元の婦人会を中心にできた、比較的新しいメニューだそうですが学校給食でも欠かせない一品になっているようです。