2013/2/8 テラ・モーターズのHidden Story

今週は、電動バイクのベンチャー企業「テラ・モーターズ」のHidden Story。
不振にあえぐニッポンの製造業に差す希望の光となれるのか?
テラ・モーターズの挑戦物語です。
» 電動バイクのリーディング・カンパニー | テラモーターズ株式会社

取材に答えていただいたのは、テラ・モーターズ株式会社の代表取締役、徳重徹さん。
まずは、なぜ、「電動バイク」の事業に乗り出したのか、教えていただきました。

もともと僕は金融機関に5年半いまして、アメリカにMBAを取りにいきまして、そのあとずっとシリコンバレーで技術系のベンチャーのインキュベーションを6年ほどやってまして、3年ちょっと前なんですけど、当時のシリコンバレーの連中に「最近何やってるんですか」と聞いたら、ITをやっていた連中が電気自動車をやっているというのを聞きましてね。 調べて行くうちに、まさに産業構造が大きく変わると、革命ですね、IT革命のように、EV革命という言葉があるんですけど、そういう大きな流れがあるんだなということで、シリコンバレーでは、自動車に関係ない人がEVをやっているというのを聞いて、僕も調べ始めたというのが発端ですね。

では、どうして、電気自動車ではなく、電動バイクを選んだのか?

EVのひとつのネックは距離なんですよ。だいたい160キロくらいなんですね。
ところが高速道路走ったり、ふたり乗り、4人乗りとかしたら距離が100キロくらいになってしまうと。車の場合で100キロというとちょっと心配ですよね。

一方で、僕がやっているスクーターだとそもそも距離を走らないですよね。持ってる方は、日本の場合、平均的に1日10キロとかそういう感じなんですね。
今の我々の電気スクーターは、街乗りで40キロくらい走りますので、1回の充電で。もうひとつはですね、あとは資金的にも、テスラモーターズという車の会社が300億くらいで今の立ち位置をやってるんですけど、スクーターであれば、その10分の1で済むんじゃないか。それで20〜30億なら私も調達できるだろうと。

最初の壁は、テラ・モーターズの電動バイクを置いてくれるお店を探すことでした。

最初はバイク屋さんを回っていたんですけど、バイク屋さんて、もともとガソリンバイクが好きな方が多くて、なかなかその前向きに受け入れてくれるところがなかったというのがあって、次にビックカメラさんとかヨドバシさんとかホームセンター、量販店に行きまして、でもそこに壁がありまして、例えば、ヨドバシさんに行くと「メンテナンス網はあるんですか?」と言われるんですよ。メンテナンス網がない扱ってくれないと。で、メンテナンス網を探しにいったらですね、「これ売れるんですか?売れないと商売にならないですよ」ということでどっちも進まないわけですよね。僕たちはそこで、何とかヨドバシさんのやる気のある方だったので、説き伏せて、こっちも販売網を整備して、それでスタートしたんですね。

その0から1の実績を作るのが大変なんですよね。「特に今の日本の市場では」というのは思いますよね。

代表取締役の徳重徹さん、1カ月の半分は、アジアの国々へ出張されています。

ベトナムってですね、日本が30万台とすると300万台なんですね、年間のバイクの販売が。

すごい量走ってましてね、車じゃなくてバイクなんですよね。
で、いいのが、日本だとスクーターの話をしても「それでどうした?」という感じだと思うんですが、向こうだとほとんどの人が、若い女の子もみんなバイクに乗ってますので、バイクの話ってすごくホットなんですよ。

今、テラ・モーターズが参入を狙っているのは、フィリピンでの事業。

フィリピンの市民の足にトライシクルという三輪のタクシーがあるんですけど、公共交通の67%がそのトライシクルなんですね。

350万台あるんですけど、それで、問題なのはそのうち半分が、ツーストロークといって、音もうるさいし排気ガスも多い、日本ではほとんど走っていないバイクがあるんですけど、半分がそれなんです。だから大気汚染とかひどいんです。

そのうち10万台をアジア開発銀行というアジアの世界銀行のようなものがあるんですけど、そこが財務的な支援をし「てトライシクルをEVにします」というのが始まっているんです。これも国家入札のプロジェクトなんですが、僕としては、なかなか日本の大手企業がやらないので、また結局、韓国とか台湾の企業が手を挙げていて、これまた取れないとなると、結局また東南アジアの新興国でビジネスを落としているじゃないですか、だからこれは、何としてもやりたいということで。

ベンチャー企業、テラ・モーターズの徳重徹さん。
その視線の先にあるものとは?

僕らとしては、やりたいのは、「日本のベンチャー企業でも、最初から世界市場でインパクトのあることをできるんですよ。と、いう事をやりたい」というのがあって、特に今、日本の大企業がリスクを取れなくなってきていますから、あの、シリコンバレーとか、台湾もそうだし、中国もそうだし、この10年20年で急成長した会社がいくらでもあるんですよね。
逆にいえば、急成長している会社が、新しく市場を牽引して、雇用も生んで、税収も生んで、国を引っ張っているというのがあるんですね。

それが日本の場合は、大企業がおかしくなる一方で、新しいことが出てきませんから、閉塞感がものすごいですよね。
それを変えていきたいなというのがあって。
でも、誰かがやれば、後に続く人も出てくると思うので、それが僕らのやりたいことなんですよね。

チャンスは、いま、ここにある。

ニッポンのものづくり産業を復活させるべく、テラ・モーターズの挑戦は 続きます。