今週は、レディ・ガガの衣装からユニクロまで、幅広く活躍するファッション・ディレクター、ニコラ・フォルミケッティさん。
ガガとの出会いから、あの生肉ドレスまで、秘密を公開していただきます。
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ニコラ・フォルミケッティさん。実は静岡県沼津市出身です。
沼津市第五小学校に通った後、中学と高校はイタリア。
そして、ファッションの道に進むきっかけは?
イタリアに住んでて高校の時に。で、大学でロンドンに移ったんですけど、そのとき、ロンドンの大学行きながらお金がなくて、お店で働くようになったんですよ、バイト、ブティックで。そこでファッション関係の人に会ったりとか友達ができて、それで何となく入っていったんですよ。「知らないうちに雑誌で働いていた」みたいな。
だからロンドンに行ったときは、デザインの勉強というよりはカルチャーの勉強をしてました。
音楽(を)聴いたりとか、クラブ行ったりとか、人が着てるもの見たりとか、それが僕のファッションの学校だったのかな。
ニコラさんは、『Dazed & Confused』という雑誌で働くようになります。
その後、アレキサンダー・マックイーンの新しいブランドを手伝ったり、ドルチェ&ガッバーナのファッションショーでスタイリングを任されたり。
20代前半、さまざまな仕事が舞い込みました。
いきなりファッションに入って「ダーン」って上に上がったんですよ。
僕がパンクっぽいアティチュードでいろんなことやっていたので、fearlessに。
だから、最初の1年2年は、すごく上手くいっていたんですね。で、何が起きたかというと「ガクーン」と落ちたんですよ。
いろいろ、辞めさせられたりとか、仕事が入って来なかったりとか。
ゼロから再出発したニコラ・フォルミケッティさん。
いよいよ、あの人との出会いが訪れます。
ロンドンで10年目かなんかのときに、ある日突然、「やっぱりこれ、マンネリ化してるから、もうロンドンを出よう」と思って、ニューヨークに移ったんですね。そこで、ニューヨークで「これから何をしようかな」と思っているときに、ちょうどガガと会って。
で、ガガの場合は、僕のまわりで彼女の曲を聴いている人がいっぱいいて、『Just Dance』っていうビデオを見た時に、「なんだこの人!誰だ!」と思ってすごく興味がわいたんですね。
彼女と一緒に仕事をしたいと思って、雑誌のね。
彼女とファッションのページを作りたいと思って彼女にコンタクトしたんですよ。それが始まり。
まだデビューしたばかりのレディ・ガガ。
彼女と雑誌でファッションのページを作る、というアイディアには反対する声が大半でした。
雑誌の撮影するときって、エディターとかとしゃべって「これやりたいんだけど」とか言わなきゃいけないじゃないですか。
ほとんど、みんなに反対されて。「いや彼女はちょっと」「この人誰?」みたいになっていたから、雑誌を探すのも難しかったんですよ。でも、僕は彼女のイメージがすごくフレッシュだと思っていたから、ここは賭けでやりたいと思って、アメリカの雑誌で『V Magazine』というのがあるんですけど、そこにページをもらって、その撮影のためにLAで初めて会ったんですね。それが初めてのきっかけですね、ガガと会ったのは。
それで、撮影終わったあとからは、ずっと一緒ですね。
その次の日から一緒だったね。いや「今日から一緒に仕事しましょう」とかじゃなくて、「明日このテレビのショーに出るんだけど何着ればいい?」「えーこれ着れば!」「あ、そうね」みたいな感じで、それが1年2年経って、肉のドレスになって、オーブンになって、ショーになって、ビデオになって、ていう感じで今日になります。
驚きの声、そして批判も受けることになったのが、あの生肉ドレス。
2010年のMTV Video Music Awardsでの出来事でした。
初め、『Vogue Homme Japan』っていう雑誌でガガを表紙でやったときに、「肉ビキニ」っていうのをやったんですよ。
で、それが面白かったので、じゃあレッドカーペットのときに、「肉のドレスを作ったら、みんなおもしろがるかもね」くらいでやったんですよ。次の日のリアクションがもう、ファッションではあり得ないリアクションを受けて。
ポジティブなメッセージや、ネガティブなメッセージや、色々もらったんですね。それはショックで。あと何があったかな。ガガは1日7回くらい着替えるから、服がいろいろあり過ぎて(笑
常に強烈なインパクトを与え続けるガガのファッション。
その発想はどのように生まれるのか?
House Of Gagaっていうのがいるんだけど、ガガのまわりにいる友達とか僕とかがメインになって、いつもアイディアはいろんなとこから入って来て、それが僕の時もあるし、ガガの時もあるし、アシスタントのチームの事もあるし、みんなで一緒に考えてやってます。
それはもう、すごくいいチームワークで。自分でもよく分からないようなドレスを「こんなのはどう?」って着させても、自分のものにしちゃうというか、「ちょっと変だけど、パウダーいっぱいつけて、レイテックス履いたらかっこいいじゃん」とか、「はさみで切っちゃおう」とかね。
いつも楽しんでやってるから、「このブランドは着たくない」とか、そういう仕事の仕方じゃないから、すごく面白いですね。
最後に伺ったのは、ニコラ・フォルミケッティさんの「仕事の哲学」。
僕はもう、Loveですね、愛。
ファッションのLoveを伝えていきたいです。Loveっていうのは一番大事だと思います。
それを、みんな、恥ずかしがってか分からないけど、表に出さずに、「みんな他の人がやってるから」とか、「流行ってるから」とか、本当は好きじゃないのに、日本って、「流行ってるから良い」という考え方があるでしょ?
それは、やっぱりLoveじゃなくて、Fakeですよね。そういうシンプルなことを、僕のクリエイションから出るメッセージみたいな感じで伝えたいです。
それは、ガガもいつも言ってることで、すごく大事だと思います。
あなたが本当に好きなのは、どんなファッションなのか?
ガガのファッションは、それをあなたに問いかけているかのようです。
わたしはここまで自由に服を着るけど、あなたはどうする??
ニコラ・フォルミケッティさんとガガの自由への挑戦は 続きます。