2013/3/1 清野玲子さんの「食」にかける情熱物語

今週は、表参道で、ビーガンのカフェ。ピュア・カフェを営業中の清野玲子さん。
彼女の食にかける情熱に迫ります。
» ピュア・カフェ

清野玲子さんに、まず、教えていただきました。
ビーガンの定義とは？

ビーガンは、そのままストレートに言うと純菜食主義なので、動物性のものを摂らない。これが一番シンプルな定義です。

ただ、世界中のビーガンの方たちのなかには、そこに思想だったり、健康上の目標があるので、例えば、毛皮も身につけない、動物性のものを身につけない方もいらっしゃいますし、カフェインとか白砂糖とか精製したものは摂らないとか、そういう考え方を取り入れて実践されている方もいらっしゃいますね。

実は、清野さんは、お店を始める前から、デザイン事務所を運営されています。
幼いころからベジタリアンだった清野さんですが、会社の仕事で大きなプレッシャーを受けたときに「食生活を変えよう」と決意。
ビーガン、純菜食主義を始めました。
そして、カフェを開業するにいたるきっかけは？

自分の食生活を変える前から、私はとにかく宴会をするのが好きで、お料理が好きなので、よく自宅や事務所に人を呼んで宴会をやっていたんですが、自分がビーガンを始めてからは、外食ができなくなってしまったので、より一層、人を家に呼んで宴会をする機会が増えたんですね。

そこに良くいらしていたクライアントさんのお一人から、「清野さんならどんなお店をやりたい？」って言われて、「私だったらビーガンですね」って答えたら、「面白いからそれやってみたらいいんじゃない」と言われたのがきっかけですね。

2000年10月。南青山に「カフェ・エイト」をオープン。

ビーガン料理っていうのを最初は完全にふせていたので、なぜなら、そういうことを言ってしまうと、最初からお客様をすごく選んでしまうというか、扉を狭くしてしまうので、私が目指したのは、みなさんが知らずに美味しく食べていただいて、結果オーガニックだったとか、結果ビーガンだったという世界観だったので、菜食の気配とか匂いをしないようにすごく努力しましたね。
まず、とにかく、味はしっかりしていること。

例えば、毎日ハンバーガーを食べているような方でも「これは美味しい」と言ってもらえるように、味付けをしっかりしたりだったりとか、男性でも満足していただけるヴォリュームとか、そういうところは工夫しました。

ビーガンやオーガニックとはあえて謳わず、楽しく食べた後に気付いて欲しい。
そんな想いで営業を始めた「カフェ・エイト」。
食の安全についての意識の高まりも受け、メディアの取材が相次ぎました。

南青山から目黒区青葉台に移転した「カフェ・エイト」は休業中。
清野さんは現在、表参道で、「ピュア・カフェ」を営業されています。

基本コンセプトはカフェ・エイトと一緒で「Eat Your Vegetables」。
「ちゃんと野菜食べなさいよ」というお母ちゃんの言葉が根底にあるんですが、ピュア・カフェは表参道の駅からも近いですし、より忙しい方が多いだろうと、なので、忙しい方にも「少しでも短い時間に、良いものを食べて、リフレッシュしてもらいたい」というのがあったので、De-stressという言葉を使ったんですけど、ストレスから開放される時間だったり、空間だったり、食事だったりを体感してほしいなというのがコンセプトでした。

ビーガンの料理。
ここ数年は、アレルギーを持つ子どもの親御さんからも熱い視線が送られています。

オープン当初は正直そこまで考えていなかったんですが、動物性の素材を使わないというと、アレルギーの一番多い卵とか牛乳も使わないので、そういうアンテナを張り巡らせているお母さんたちが、「ここのゴハンだったら、うちの子も食べられる」ということで、連れてきてくださったりとか、特に最近増えてますね。

これからは、私のような人もいるし、宗教上の理由で食べられない人もいるし、病気だったりアレルギーの方もいるし、そういう方たちのために選択肢を作っていくのも、飲食店として当たり前にならないといけないな、と本当に思いますね。
もちろん、全て、というのは無理なんですが、やっぱり子ども……卵と乳製品アレルギーの子どもたちは、お菓子を食べられない子が多いので、そういう子たちも、それを食べられる子たちも、「同じお菓子を、美味しいねって言って、食べてくれたら嬉しいな」と思いますね。

最初にお店をオープンしてから今年で13年目、という清野玲子さん。
実は、ビーガンの料理を出すお店であることを公表したのは6年前のことでした。

6年前に初めてレシピ本を出したんですけど、そのときにビーガンということを初めて公けにしました。
そのときにオープン当初から来てくださっているお客様が「どうりで野菜が多いと思った」という反応をしていただいて、それは嬉しかったですね。

決して、押しつけがましくならずに、やさしい食を届けたい。
工夫をこらした料理が、今日もテーブルに並びます。