2013/4/19 スタイリスト、飯嶋久美子さんのHidden Story

今週は、きゃりーぱみゅぱみゅさんの衣装をご担当されている、スタイリスト、飯嶋久美子さんのHidden Story。
あの衣装はどんな風に作られているのか?秘密を教えていただきました。

きゃりーぱみゅぱみゅさんのデビュー・シングル『PONPONPON』。
飯嶋久美子さんと、きゃりーぱみゅぱみゅさんが出会ったのは、この曲が世に出る数カ月前のことでした。

彼女が高校卒業してすぐ、『PONPONPON』という曲でデビューされるんですが、そのPVでご一緒させていただいたのが最初です。
ちょうど2年前ですね。

顔合わせみたいなのはもちろんあったんですけど、初めてお会いして「どんな洋服にしましょう?」「どんなのが好きなの?」というのはあったんですけど、1週間しかなくて、会ってから撮影までが。でも「オリジナルなものを着せてあげたいな」というのは直感であって、最初は原宿とかで服を借りてくるイメージだったんですが、「これは作った方がいいな」と思ったのがきっかけで、それ以降は全部作ることになるんですけど、1週間で全部作りました。

ありものでは「まかないきれない」ような印象というか、これは面白いものを着せてあげたいというか、「ないもの」というトコロにと思って作ったんですよね。

すでにある服を借りてくるのではなく、オリジナルなものを作ったほうがいい。
これが、飯嶋さんの直感でした。
そして、この『PONPONPON』が大きな話題になる頃にはすでに、次のシングルの準備が進んでいました。

『PONPONPON』の衣装をかなり真似してくださったので、「今度は、簡単には真似のできないものにしよう」と思って、『つけまつける』の衣装を作るんですけど。

その時にお菓子をたくさん買って、お菓子の中身をみんなで食べるんですけど、大変じゃないですか? お菓子を何十袋も、かわいいのだけ選んで買って、それを全部開けて、スカートにして作ったんですけど。

なんか、彼女がケイティ・ペリーが好きで、私はケイティ・ペリーの資料を見たんですけど、スイーツとかポップコーンとか、かわいい食べ物を結構まとっているんですね。でも、同じにするのだけは嫌だったので、「ケイティ・ペリーがお菓子だったら、きゃりーちゃんは、そのガワで良いかな」と思ったんですね。袋。軽いし。

お菓子のスカートの上もかわいくて、胸につけマツゲがバサっとついていて、それは本人が言ったのかな、「胸の下がマツゲって、いいな」と思って(笑

斬新なアイディアが、加速していきます。
その発想はどうやって生まれるのでしょうか?

白い紙の上のほうに、きゃりーさんの顔写真。
その顔の下に、デザインのイメージを描く。
このデザイン画がすべての鍵を握っていたのです。

CDのジャケット。プロモーション・ビデオの数々。紅白歌合戦。成人式。ライヴツアー。
飯嶋さんの仕事も、ますます忙しくなっていきます。
そのなかから、アルバム『ぱみゅぱみゅレボリューション』のジャケット制作秘話。

あの時のアルバムの表紙になって、サメをつけてるやつは、私が前に作った衣装……誰に着せるって訳じゃなくて、作品で作っていた衣装だったんですけど、サンゴの柄の、サンゴをイメージして作って、それを着ていただいたんですけど。

「頭にサメを乗せたい」って、フィッティングの時に突然おっしゃって。サメが好きっておっしゃってきて、「そうなんだ、知らなかった」ってなって。

結構ギリギリでフィッティングのときだったんでもう2日後に撮影だったんですけど、「今回じゃなくていいですけど」ってことだったんですけど、「いやいやそれは今回乗せてあげたほうがいいでしょ」と思って。そんな言ってくれてるし、サンゴの服もまたあると来たら、今しかないかなと思って。

今年はワールドツアーも敢行。
ニッポンから世界へ、かわいい波を広げるきゃりーぱみゅぱみゅさん。
その衣装を手がけるスタイリスト、飯嶋久美子さんに最後に伺いました。
飯嶋さんの仕事の哲学とは?

何にも「とらわれず」に常に提案できる人。
というか、「一歩でも半歩でも先に行く提案がある」ということが一番重要で、全体的にいつも。

私の解釈が間違えていたとしても、提案をすることが大事。と思ってるんですけど。
難しいけど、毎回毎回ハードルが高くなるけど、だけど、それを戦わないと先がないというか、良いものに辿り着かないから、試練です、それは。
だから努力してます、すごく(笑

一歩でも半歩でも先へいく。軽やかに、楽しく、前へ進む。
きゃりーぱみゅぱみゅさんと飯嶋久美子さんの冒険は、続きます。