今年の7月下旬には、日本も本格的な交渉に入ることになっているTPP(環太平洋パートナーシップ協定)。
きのうからペルーで17回目の会合が始まっているのですが、あの国での反応はどうなのでしょう?
今日も2カ国をコネクト。
TPPへの関心は高いですか?
アメリカ、NY。中村英雄さん
「東海岸では関心は低いです」
国内でも温度差があるのですか
NYは大西洋に面しているため、TPPへの一般的関心は低いです。またNY州も含め、アメリカ東海岸には日本に農漁業産物を輸出できるような大規模農漁家はなく、切実な問題としてTPPをとらえる人がほとんどいないのが現実です。
また、ITや自動車、家電などの製造業も、人件費の安い南部に集中しているため、TPPの影響はあまりないでしょう。その意味で関心が低いです。
株式や商品市場はどうみているかといえば、マーケット全般としてはTPPは関税撤廃・自由貿易を奨励するわけだから、「歓迎姿勢」だそうです。この協定の影響で農業など効率性の悪い部門が改善されれば、それはアメリカの株式市場にも利をもたらすから「賛成」というわけです。
NAFTAにしろ、結局、大国アメリカが得するシステム。
TPPにしても、「アメリカ製品がまた売れるぞ」程度の認識でしょう。
日本との関係という意味ではNYの人々は、どうなのでしょうか?
「日本(安倍政権)はTPPと騒ぐ前にやるべきことがあるんじゃないの?」というのが大方の見方です。
やるべきこととは、構造改革、男女雇用の均等化など抜本的なことで、それにくらべたらTPPなど些末な事案。ハードルの低い事案だ、と彼らは口をそろえて言います。
NYにおいては、日本は金融以外の議題では関心のない国です。
TPPへの関心は高いですか?
ニュージーランド、クライストチャーチ。晝間尚子さん
「あまりニュースでも取り上げられません」
2005年、最初にTPPに調印したニュージーランドは酪農の国ですよね?
ニュージーランドは人口が少なく国内消費も限られているので、実際に乳製品の95%は輸出されています。またニュージーランドにとって日本は大きな乳製品の輸出先なので、関税撤廃されればより安く輸出できるため、ニュージーランドにとってはとても大きなことです。
以前はニュージーランドは羊製品の輸出が多かったのですが、近年は乳製品の方が価格が高くなってきているので、羊から酪農(牛)へシフトしている傾向が、普段生活していても感じられます。
それでもTPPへの関心はあまり高くないのでしょうか?
NZで生活していて感じるのはNZは自由で平等な国です。男女がより平等な権利を持っていたり、同性婚も最近認められました。
だから貿易も自由であるべきという考え方があるのかもしれません。
また日本は酪農農家を守ろうというのに対して、NZの酪農農家はとてもお金持ちです。
だから、そのお金持ちの人たちがより利益を増やすために乳製品の関税撤廃って言っても、一般市民の関心事ではないので、こちらのニュースなどでもあまり取り上げられていないんだと思います。