2013/5/31 パルコ劇場の Hidden Story

今週は、、、、今年でオープンから40年!パルコ劇場の Hidden Story。

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取材にお答えいただいたのは、株式会社パルコ エンタテイメント事業部劇場担当部長の佐藤玄さん。
まずは、パルコ劇場の始まりについて、教えていただきました。

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もともと、池袋の丸物という会社にいらっしゃった増田通二さんとセゾングループのずっとオーナーだった堤清二さん、学校が一緒だったそうで、新しいものを作ろう、って言って、
渋谷の物件で、パルコを始めようというときに、シャワー効果だったり情報発信の装置としてボーリング場か劇場を作ろう、という話だったらしいんですよ。
ボーリング場だったら僕ら働いてないわけですが、1973年に、渋谷パルコがオープンするときに、ビルの9階にパルコ劇場、当時、西武劇場ですか、劇場をオープンさせるために、ブロードウェイなどを見に行って、敷地もありますので、敷地のなかで最大限の劇場、ということで考えて作られたみたいなんですけど。

ファッションビルの中に劇場を作る。当時、これはとても斬新なことでした。
さまざまなクリエイターが集まりました。文化の発進拠点として、寺山修司さん、安部公房さん、つかこうへいさん、井上ひさしさん、蜷川幸雄さんなどが、新作を発表したのです。

ずっとパルコ劇場が通しているのが、プロデュース公演。
芸術監督を置かないで、パルコという企業がパルコ劇場でものをつくっていく、という歴史なんですよ。劇団以外の公演というのはそのころあまりなかったんですね。
劇団に場を提供してやるとか、外の人に借りてもらってこの期間公演してください、ということではなく、毎回新しいものを作っていく。
パルコの企業理念としてイコール・パートナーシップというのがあるんですけど、 いわゆるテナントさんとの共同ビジネスなんですよ。劇場も、作家だったり演出家だったり俳優だったリが作りたいものを一緒に作る。
その人たちと一回いいものができたら次お客さんにどういうものを届けようかということで続いて行く、という歴史がありまして。

パルコ劇場がこだわってきたのは、プロデュース公演。パルコの社員プロデューサーが企画を出して、クリエイターとともに、舞台を作ってきたのです。
三谷幸喜さん、美輪明宏さん、宮本亜門さん。数々の才能が、作品を発表し続けました。

三谷さんは、福田陽一郎さん演出、杉浦直樹さんと大竹しのぶさんの「おかしな二人」という舞台をパルコでご覧になっていて、学生のときに。ニールサイモンの作品なんですけど、いつか自分がオリジナルの劇で、パルコでやりたいと思ってくださっていて。
あの劇場空間が自分の作品にあうとおっしゃってくださって、毎年一本やりたいって言ってくださって。再演やるよりは新作を書きますということで、毎年のように新作が続いていて。

パルコ劇場で様々な舞台をプロデュースし続けて 20年。佐藤玄さんは、ご自身の仕事を振り返ってこう語ります。

多分だから、関わったものは100本くらいになるんじゃないですかね。
いろんな作家さん、演出家さんとやりましたよね。三谷さんだけでも20本くらい関わらせていただきましたし、宮藤官九郎さんだったり、松尾スズキさんだったり、亡くなられたけど、野沢尚さんだったり。
その都度、大変だけど、一緒に関わってくださった方の夢も実現していくということなので、楽しい仕事ですよね。

そして、パルコ劇場が愛される理由のひとつとして、佐藤さんが挙げたのは、、、

客席の最前列から後ろまで18.5メートルくらいなんですけど。
18.5メートルと言われても分からないと思うんですが、ぎりぎり一番後ろの隅の席でも表情が分かるんですよ。
だから、オールS席と言いますか、お客さんの表情が分かるぎりぎりの空間で、だから演じ手もカーテンコールのときにはひとりひとりの顔が分かるというか、大きな部屋のなかでやっているあったかさというか、密接間がある劇場なので、それがいろんな人にいいねと言ってもらえるところだと思いますね。

さらに、、、、パルコ劇場のHidden Story。舞台に立った人だけしか知らない秘密を 教えていただきました。

舞台に上がった役者さんはみんな知ってるんですけど、開演の前に発声とか、客電がつ  いているなかで出てくると初めての人はびっくりするんですけど、舞台から客席を見ると、458席並んでいるじゃないですか、パルコは赤い絨毯で赤いシートなんですけど、背もたれのところがお客さんの体重がかかったりして、ハート形になってるんですよ。 だから、458のハートが並んでいるんです。初めて緊張している役者さんとか、それを見て勇気づけられて、すごくあたたかな空間なんですよね。
お芝居の神様が守ってくれているような感じに見えたりして、それは出ていただいた役者さん、スタッフのみなさん、みんなそれを言いますね。お客さんが笑ったり涙したり、感動した想いが残っている感じに見えたりするんですよ。

舞台から、お客さんが座っていない客席を見ると、長年、多くの人の体重がかかったために、体が沈み込む部分の色が 変わって見える。それはまるで ハートの形。そこには、きっと、笑顔や涙がしみ込んでいる。

古くなってきたんで椅子も。綺麗になおしたい気持ちもありますけど、なおすのももったいないかなと思って。あれはいい風景ですよね。

その劇場の空気があたたかく感じられるのは、そこにいくつもの想いが溶け込んでいるからにちがいありません。