今週は、この秋、創業40年を迎える
パタゴニアのHidden Story。
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アウトドアウェア、スポーツウェアなどを扱うパタゴニア。
まずは、その始まりについて、パタゴニアのグローバル/マーケティング担当、副社長、ヴィンセント・スタンリーさんに教えていただきました。
パタゴニアの原点は、登山用の道具作りにありました。
そのための、会社を、カリフォルニア州ヴェンチュラでスタート。およそ15年間にわたり、登山にまつわる、あらゆる道具をデザインして作りました。世界的にも高い評価を得ましたが、しかし……利益が上がりませんでした。
そこで乗り出したのが、アパレル事業だったのです。
1973年、パタゴニア、という名前が生まれました。
イヴォンの人生最高の旅があって、それは、1968年にスピッツレイ山に登るために、3人の仲間とロサンゼルスから南米パタゴニアへ向かった旅なんですが……スキーをしたり、サーフィンをしたり、6カ月間その旅は続きました。その旅のことがあって、イヴォンは「パタゴニア」という名前を思いついたんです。
不思議な響きがあるし、衣類の会社にはいい名前だと考えたのです。
パタゴニアという名前が生まれて、40年。
環境への配慮を重視しているイメージがありますが、そういう考え方は、いつ頃から持ってきたのでしょう?
私たちの環境活動は、40年の間に進化をしてきましたが、もともと会社を始めたのが登山者やサーファーだったので「自然を大事にしたい」という想いは最初から強くありました。会社の経営が安定したころからは「自然環境にまつわる草の根活動のために、毎年、売り上げの1%を提供する」という活動を始めました。
そして、パタゴニアは、環境についての想いを深めていくにつれ、大きな問題にぶつかります。
環境への貢献を考えるうちに、パタゴニアが気づいたこととは?
何年もの間、「山や海など、私たちが楽しむ場所を守ろう」ということでやってきましたが、さらに、大切なことに気づきました。それは、「私たち自身が、つまりパタゴニアが製品を作る際に環境に負荷をかけている」ということです。 登山用の道具というと、油臭かったり、いろんな匂いがしたり、あるいは、アルミの削りカスが出たりするので、これはダーティだとすぐ分かるのですが、アパレルについては、遠くで作られていたので、クリーンなビジネスだという幻想を抱いていたのです。それは誤解でした。
アパレルで最も使われている4つの素材、コットン、ポリエステル、ナイロン、ウール。
パタゴニアが特に問題視したのは、コットンでした。
1996年、パタゴニアの製品で使われるコットンは、全てがオーガニックコットンになりました。
ヴィンセント・スタンリーさんに最後にもうひとつ、こんな質問。
大量消費型の社会について、どんな意見を持ってらっしゃいますか?
私たち全員が消費量を減らしていくべきだと、強く感じています。私が仕事を始めたのは40年前なんですが、そのころ、世界の人口は40億人、今は70億人。経済規模は5倍になりました。
今後、環境に関する指標は、ますます悪化すると考えられます。私たちは、消費者とともに、コモンスレッズという活動を行っていますが、これは、「不必要なものは買わないようにしよう」、そして、「私たちも不必要なものは作らない」という活動です。
また、私たちは、修理しやすい商品を提供し、消費者のみなさんには、こわれたら、修理して使うようにすすめています。たとえ環境に配慮して作られている製品でも、私たちは、すでに、返せないほど多くのものを環境からもらっているのです。
地球には限りがある。
経済が拡大し続けるのは、おそらく不可能だ。
山を愛する人、海を愛する人は、おそらくそのことに気づいています。
そして、だからこそ、パタゴニアは、長く愛されるものを作り続けているのです。