今週は、かつて、雑誌『ニューズウィーク』の「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれた、フリースタイルフットボールチーム、球舞のHidden Story。
ビートにあわせて、サッカーのボールをリフティング。
頭はもちろん、足の裏やスネなど、体のあらゆる部分を使って、アクロバティックなパフォーマンスが繰り広げられます。
技を繰り出すのは、フリースタイルフットボールチーム、球舞です。
代表のMarcoさん、そしてAKIさんに、その始まりについて、教えていただきました。
当時、Marcoさんは、26歳。
オランダ、アムステルダムのストリートで出会ったおじさん、アブドラさんの技を習得しました。
そして、ある出会いが訪れます。
Marcoさん(以下、Marco):なんとなくチームを作るというのは頭にあって、でもどうしようかなと思っていたときに、日本からイベントの誘いがあったんですよ。メーカーさんのイベントでステージ立ってみない?って。そのイベントでAKIと知り合って。AKIさん(以下、AKI):そのイベントで僕はMCをやってたんですよ。
「上手えな!何だこの人」と思って。足の裏とかにボールをのっけたりとか、座りながらのリフティングとか発想になかったから。
イベントが終わって大阪から帰る時に新幹線が同じだったんだよね?そんで、「サッカーで何かやれたら楽しいと思うんですよ」という話があって。Marco:うん。
AKI:かっこいいやん、やろうよ。
「僕は音楽をやっているので、何かあったら一緒にやりましょう」と話してて。
球舞の活動が 始まりました。
ショッピングセンター、クラブ、Jリーグ 浦和レッズの試合会場。
さまざまな場所でパフォーマンスを披露しました。
そして、2006年。
球舞は、ドイツで開催されたワールドカップへ行くことになります。
Marco:ドイツですね、ワールドカップ。行こう!って。 どうやって行こうか、ずっと悩んでいたんですけど、スポンサーが運良くついて。ですね、実はスポーツショップで働いている知り合いが「ドイツのスポーツショップの方と知り合いがいる」って話になって、で、ドイツの方のスポーツショップの知り合いが、ドイツのサッカー協会にすごく顔がきく人で、パフォーマンスする場所をとっておいてもらおう、という話をして来たんですよ。 それで、向こうでパフォーマンスできるようになったよって。日本代表が試合をする、各スタジアムの敷地内でパフォーマンスできる場所を確保したし、運が良ければハーフタイムとかでパフォーマンスできるよって話になって。その話を持って、スポンサーさんを回って、サポートしてもらったんですけど。
日本代表が試合を行うスタジアムの敷地内でパフォーマンスができる!
球舞は、ドイツへ乗り込みました。
Marco:まず初戦のカイザースラウテルン。オーストラリア戦の会場に行って、「行けば大丈夫」って言われてたんで、会場のスタジアムに「さぁ、入って行こう」と思って、警備のいるところに行って、「日本から来た、ここでパフォーマンスやらせてらもう球舞だけど」みたいな感じで行ったら、「知らない」って言われて。「ええ?あれ?」と思って、「協会の人とか関係者出してくれ」って言ったんですけど、全然取り合ってくれなくて、「あれ?おかしいな……これ、まさか……」と思って、その場所から、日本の話を取り持ってくれてた人間に電話して、「おいどうなってんだ、全然やる場所ないぞ」って話したんですよ。
そしたら「自分たちで探すんじゃないの?」って急に言い始めて(笑)
その瞬間に、「ええ? おおーい!」ってなって。
まさかの展開。しかし、球舞はあきらめませんでした。
Marco:スタジアムの近くに、ファンフェスタっていうワールドカップのイベント会場があって、そこに大きなステージがあって、そこ行こうってなって。とりあえず、ファンフェスタの会場の入り口で、警備だったりいろんな人とかいるところで、自分たちが体を動かして「こんなことやるんだ」って。ちょっと待ってろって話になって、「じゃあ、試しに7分間、試しにやっていいよ」って話になって。
で、そこでやったら大受けして。じゃあ、お前ら、日本代表の試合の直前にやっていい、ってなって。そこで結構盛り上がって。
そこでやったパフォーマンスをビデオで撮って、そのあとも同じ感じで次の会場に入って、でも結果、大きいステージでパフォーマンスできたり。AKI:最終的には、ブランデンブルグ門の4万?5万?くらい人がいる特設ステージで、最終的にはやることになるんですよ、僕らは。
それはまさに、サッカー、フットボールによって、球舞が世界とつながった瞬間でした。
最後に、球舞が目指すこと、語っていただきました。
AKI:もともと、Marcoが言ってたのは、フリースタイルフットボールって見せるだけじゃなくて、サッカーができなきゃだめなんだと。「すべてはサッカーのために」っていう。Marco:ずっとサッカーだけやって来たんで、サッカーに携わっていきたいと思ってるし、日本のレベルも上がってもらって、それこそ、ワールドカップで優勝しちゃうくらいなレベルになってもらいたいという想いもあって、自分たちがやることで、それを見て面白いと思った子どもたちが、どんどんサッカーに行ってもらって、どんどん大きくなっていったら、日本代表になったら面白いなという想いもあったんで。
サッカーに育ててもらったんで、「恩返ししなきゃな」って想いもあるんで。
「すべてはサッカーのために」。
髪を緑に染めたMarcoさんと、ハットをかぶったAKIさんは、力強く、そう言い切りました。
球舞 -CUBE -
「すべてはサッカーのために」を合言葉とし、“サッカー”と“音楽”を融合させたアクロバティックなエンターテインメントを繰り広げ、テレビやイベントなどで世間を賑わせるスーパー・リフティング・パフォーマンスチーム。W杯をはじめ海外ツアーも数多く敢行するなど、Newsweek日本版では「世界が尊敬する日本人100」に選出された。今や日本だけでなく世界にまで活躍の分野を拡げている、日本フリースタイルフットボール界のパイオニア。 www.cube-mau.jp