今週は、東京で、さまざまな国の、さまざまな文化を持つお客様を迎え続けるホテル、「サクラホテル」のHidden Story。
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京王新線 幡ヶ谷駅を出て、3分歩くか歩かないか。
ローマ字で、「SAKURA HOTEL」と書かれた看板が見えてきます。
ホテルのエントランスには、訪れた宿泊客の写真が貼られていますが、よく見ると、外国の方ばかり。
カフェのメニューにも、エジプト、マレーシア、ギリシャ、ノルウェイ、オーストラリアと、まさに多国籍の料理が並んでいます。
このホテルの誕生のきっかけを、サクラホテル幡ヶ谷の阿部慶子さんに教えていただきました。
阿部慶子さん(以下、阿部):きっかけは、「サクラハウス」という外国人専用の不動産。マンスリー以上ですね。のアパートとかシェアハウスをもともとやってまして、日本に来る外国の方達って日本に住むのが難しいんですよ。保証人の問題がクリアできないので。ですので、「日本に来る外国人の方の力になりたい」ということで、保証人がなく、簡単に日本に住むことができる外国人向けのアパートとか不動産を作ったのがそもそもの始まり。
1994年、神田、神保町に最初のサクラホテルがオープンしました。
その後、浅草に、全室ドミトリー形式のサクラホステル。
さらに、幡ヶ谷、池袋にホテルができました。
阿部:私たちのスタッフは、ほとんど、海外経験があったり、帰国子女とか、3カ国語しゃべれたりとか、そういうスタッフが多くいますね。あと、世界中からお客様がいらっしゃるので、アラビア語と、スペイン語、台湾語、中国語、韓国語、フランス語とか、対応のスタッフが各店舗にいますね。
サクラホテル幡ヶ谷の外国人スタッフ、エジプト出身のモハメッド・イブラヒムさんにもお話を伺うことができました。
モハメッド・イブラヒムさん(以下、モハメッド):仕事の中身は色々あるんですが、メインはコミュニケーションとか、お客さんと仲良くするとか、いろんなストーリーを聞くとか。サクラホテルに来るお客さんは、いろんな国から来てるし、文化もいろいろ違うので、たまにお客さんが自分の国の料理を教えてくれるとか、たまに一緒にキッチンに入って作ってくれるとか、そういうところは本当に楽しい。ほとんどものは全部日本で普通に売ってるんですけど、やっぱり、混ぜ方とか作り方、国によって全然違うので、すごく嬉しいし楽しいですね。
はっきり言ってすごく面白いです。
サクラホテル幡ヶ谷のモハメッドさんに、食の面で工夫していることについて伺いました。
モハメッド:イスラム教の人たちが一番気になるのは食べ物。 なぜかというと、イスラム教は豚肉はいっさい食べちゃいけないので。日本の料理は豚肉とかベーコンとか豚エキスとか結構いっぱい入ってる。
もちろん読めば分かるんですが、ほとんど漢字で書いてありますから、普通の観光客のお客さんですから、全然漢字とか読めないし話せないし……例えばイスラム教は1日に5回お祈りをしなくちゃいけないんですけど、お祈りは何とかどこでもできるんですけど、食べ物はないと困っちゃうんですよね。おなかすきすぎて。そういうところも気になると思いますので、ですからもちろん、サクラホテルでハラルフード、ムスリム用の料理を作っているので、あと24時間営業しているので、いつもお客さんが来たらスタッフ全員そういう案内してあげるから、お客さんも安心。
サクラホテルでは、モハメッドさんと一緒に代々木上原のイスラム寺院=モスクを見学するツアーを実施するなど、日本人に異なる文化を感じてもらう企画も行っています。
また、外国からのお客様には、手巻き寿司を作ったり、書道の体験をしてもらったりと、日本と世界をまさにUniteしているのです。
取材に答えていただいた阿部慶子さんと、モハメッド・イブラヒムさんに最後に伺いました。
今後、目指すのは、どんなことですか?
モハメッド:お客さん(が)帰るとき、5日間とかずっと一緒に泊まって、朝とか夜、コミュニケーションとって帰るときは私も寂しいですね。 だから、また来てくれると嬉しいですね。阿部:サクラホテルのもともとの創業理念は、「外国の方が、友人の家に遊びに来たような気持ちになれるホテル」というのがあるので、コミュニケーションを取ることですね。
実際に、Facebookでスタッフとお客さんと友達になって、みんな、夏休みとかはですね、友達になったお客さんの国に遊びに行って、その方の国で、その人のお家に泊まらせてもらったりとか、やっぱり、サクラコミュニティといいますか、いろんなところで、サクラホテルで出会った方々が、コミュニケーションをとって仲良くなっていけば、ほんとに壮大な話になりますが、友達、親友がいる国と戦争をしたいとか思わないと思うんですよ。
なので、そういうところで一役買っていけたらなと思いますね。
ちなみに、サクラホテル幡ヶ谷のカフェのコンセプトは「世界の交差点」。
単なる宿泊施設ではなく、文化がまじわる場所として、そのホテルは営業を続けます。