2013/8/16 宇宙のゴミ=スペース・デブリの問題を解決「ASTRO SCALE」のHidden Story

今週は、、、宇宙のゴミ=スペース・デブリの問題を解決すべくシンガポールで設立された会社「ASTRO SCALE」のHidden Story。
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今年5月に設立された会社「ASTRO SCALE」。
CEOの岡田光信さんにお話をうかがうことができました。


まず、宇宙のゴミ=スペース・デブリとは、いったいどんなものなのか?  


宇宙のゴミというのは、主に3つくらい原因があります。ひとつは、ロケットを打ち上げますね、衛星を打ち上げるときにロケットを使いますが、それの第一段のロケットとかは海にパラシュートをつけて落としたりするのですが、それの上の段とかはそのまま宇宙をぐるぐる回っています。あるいは衛星をつつむ先端のはなみたいなところがありますが、これはパカッと割れるのですが、それはそのまま回ってます。次に死んだ人工衛星です。人工衛星は寿命があります。それが終わったあとはぐるぐるぐるぐる回ってます。
3つ目がそれの衝突です。衝突や爆発です。たとえばロケットの上段とかは燃料が少し残ってそのまま浮遊してて爆発したりします。あるいは人工衛星がゴミとぶつかって粉々になってぐるぐる回って・・・。

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(宇宙ゴミが地球をおおっている写真)

こうしてできた宇宙のゴミが、大きな問題となっているのです。


現在10センチ以上の物体がだいたい3万個くらい回っています、地球の周りを。
これがすごいのは、秒速8キロなんです!秒速8キロというとピストルの弾の100倍以上の速さだと思います。ですから、すごく小さな破片でもぶつかると爆発します。直径1ミリのものでも大きな穴があいたりするんですけど・・・
もう少し違う言い方をすると、50メートル以内のニアミスは一日10回起きてます。
これは衝突するのは確率上低いです。でも低いことが今年はもう2回起きてます。
エクアドルの衛星が打ち上げて1ヶ月後にデブリに当たってつぶれたんですけど。
あとロシアの衛星もつぶれました。半年で2個やられてるので、大変なことだと思います。

今年1月、ドイツで、国際デブリ学会が開催されました。そこで総意としてまとまったのは、「宇宙のゴミが自己増殖するステージに入った」ということ。つまり、宇宙でゴミとゴミがぶつかってくだけ、さらにゴミの密度が上昇していくのです。


このまま放っておくと宇宙が使えなくなります。人工衛星が壊れるし、そのゾーン、高度600キロから1000キロのゾーンなんですけど、これを越えられなくなります。
で、特に私が注目しているのは、地球と月を結ぶ軌道ってあるんですね。
アポロが通った軌道です。この軌道上を邪魔するゴミはまず取らなきゃいけないと思っています。
なぜならば、いま、月面基地計画って、一回僕らが小さい頃盛り上がって、その後沈んでいったのですけど、もういっぺん盛り上がってます。
この月の開発を邪魔しないように・・・。絶対、月には定期便ができるので、これはバババババッとできます、まだあまり知られてないですけど。その軌道を邪魔しないように、そのデブリを取ろうと思っています。

地球と月を結ぶ軌道上にあるゴミを取り除きたい。しかし、当然ながら、そこには高いハードルが存在します。


結論から言うと、これで確実に取れるという方法はないです。ないから頑張る意味があるのですけども。
ゴミをつかまえて投げて大気圏で燃やすというやり方が一番正しいんです。でもそのやり方がないんです。なぜないかと言うと、まずゴミの大きさがまちまちだから。
10センチ級もあれば、5メートル10メートル級のものもあります。2つ目にデブリは回転しています。宇宙空間で回転しているものを止めるというのは極めて難しいです。
その回転も回転の軸によっていろいろあるのですが、ものすごく速い回転をしていたり、難しい向きに回転していると非常に困難になります。3つ目に、仮につかまえて、
推進させるスラスターっていうんですけども、プシュプシュっと燃料をふかすものですね、それを付けられたとしてもですね、正しい場所に大気圏突入させないと、残骸が地表に降ります。この技術はすごく難しいです。
4つ目に、実はゴミには所有圏があります。宇宙の技術ってそのまま軍事技術につながったりします。なので、非常に、信頼醸成と透明性が必要になります。

「でも、僕はできると思っています」「ASTRO SCALE」CEOの岡田光信さんは、力強く言い切りました。
地球のあちこちを飛び回り、スペース・デブリ回収に活用できる技術を見つけました。

このデブリの話をすると非常に共感してくれる方が多いんです。
なのでいろいろ紹介をしていただいたり、ほんとにみなさんのおかげて速くリーチできてるっていうのが、一番正しい答えかもしれないです。

岡田さんが目指すのは、2020年には、スペース・デブリを除去し始めること

ひょっとしたら、宇宙も衛星が立て続けに壊れたりとか、今日はひまわりから画像が届いてませんとかになって、初めて気づくのかもしれないですね。でも、それから技術開発をするのでは遅いんです。だから、これはやるしかないです。
僕は月に行きたいんです!アポロ17号が1972年に行って以来、人は月に行ってない。私は自分が通る道ぞいは安全にしておきたいと。
これは日本人がやると、「あ、やっぱり日本人がやってくれたんだ」と思われる事業だと思います。「最後きれにしておいてくれたのはやっぱり日本人だったな〜と後世に語り継がれるような風になるといいなぁと思いますね。

さかのぼること25年。当時15歳の岡田少年は、NASAのスペースキャンプに参加。
そこで、その後 宇宙を旅する毛利衛さんから一枚の色紙をもらいました。
そこにあった言葉は、、、、
「宇宙は 君たちの活躍を待っている」。
少年が胸に秘めた夢は、いま、ひとつの使命感に形を変えました。
2013年夏。誰も挑戦したことがないプロジェクトが、進行してます。

宇宙のゴミ=スペース・デブリの問題を解決すべくシンガポールで設立された会社「ASTRO SCALE」のHidden Story、お送りしました。

「月への定期便が今後 必ずできる。月へ行くために、その通り道をきれいにしておきたい」そんなお話がありましたが、、、
これから、宇宙ゴミの回収船がどんな風に作られていくのか、その後のストーリーもぜひ追跡取材させていただいてご紹介したいですね。