今週は、サッカー日本代表、本田圭佑選手のもうひとつの夢。
ソルティーロ・ファミリア・サッカースクールのHidden Story。
本田圭佑選手がプロデュースするサッカースクールが、現在、全国に9校存在します。
名前は、ソルティーロ・ファミリア・サッカースクール。
このスクールを立ち上げたひとり、鈴木良介さんにお話を伺いました。まずは、開校のきっかけについて。
もともと、2010年に南アフリカでのワールドカップで、本田が、みなさんの印象にあるのはフリーキックを決めてるシーンがあると思うんですけど、あの年の12月に、日本で初めて彼自身が子どもたちに夢を与えたいと。そういうコンセプトの中で「宮崎県と石川県で、サッカースクールのイベントを行いたい」ということで、宮崎、石川、その次は、大阪と上海。海外でも、上海で中国と日本人の子ども50人50人でやったりとか、で、ちょうど2011年の冬に大阪のイベントをやった後に、本田が、「このイベントを、もっとたくさんの人たちに広げていきたい。自分が現役でやっているうちに、子どもたちと触れることで、子どもたちがたくさんの夢を持つことができるんじゃないか」ということがあって。
鈴木さんと本田圭佑選手。
ふたりが出会ったのは、2010年の秋でした。
代表合宿の直前に、帰国してきたときに、合宿に入る前にちょっとボールを蹴りたいと本人が言ったときに、友人同士でボールを蹴るみたいなときに、たまたま僕も居合わせて。僕が指導者ってことは、そのときに自己紹介じゃないですけど、してたときに、12月にそういうイベントがあるときに、現場で子どもたちをまわす人がいないね、という話があって、そういえば、あのときボールを蹴った鈴木さんっていたよね、ということから僕に話がきて。
本田選手のプロデュースでサッカースクールを創ることが決まりました。
2012年6月、大阪の2カ所で開校。
そこには、こんな想いが込められています。
今、育成とか普及活動といわれているサッカースクールとかクラブチームがある中で、僕が見てきた中で、「子どもたちが、本当に笑顔になって楽しそうにサッカーしてる場が、どれだけあるのかな」って考えた時に、例えば、試合を見に行ってもコーチにすごく怒鳴られてたりとか、試合をやってるはずなのに浮かれない顔をしてる子たちがいたりとか、「これって、本当に子どもたちは100%サッカーを楽しめて、好きになれてるのかな」っていうのがあったんです。自分がプロになる強い意志を持っている子には、叱咤激励で「なにくそ」っていうのがあると思うんですが、サッカーの入り口にある子に、それは違うと思っていて、そういう子たちにサッカーをどんどん好きになってもらって、いつでもサッカーボールと一緒に生活するような子どもを育てることが、サッカーを指導することだと思っているんです。
今年6月、コンフェデレーションズ・カップを終えて帰国した本田圭佑選手が、ソルティーロ・ファミリア・サッカースクール清瀬校を訪れました。
本田選手に直接触れた子どもたちの声です。
かっこよかった。サッカーもうまいし、テレビでは見たことあってもともとうまいって知ってたけど、会ってみて戦ったら、本当に手も足もでなかった。 体もでかくて、うまくて、1点とったんですけど、勝てなかった。ディレクター:1点取ったの? その時、本田選手は何て言ってくれたの?
ナイスって。ディレクター:本田選手が言ってたことで覚えてることありますか?
情熱を忘れるなって。ディレクター:将来の夢はありますか?
サッカー選手がもしダメだったら保育士。日本代表でダメだったら、そのあと、保育士で注目されたい。ディレクター:将来の夢は何ですか?
世界に通用するサッカー選手です。
ソルティーロが、もうひとつ、大切にしていることがあります。それは……
本田がもともと小さかったときに、そんなに裕福じゃなかったんですね。それで、自分がサッカースクールに行きたいなんていうのは、それを親に、サッカースクールに行かせてくれっていうのは、高いサッカースクールだと言えないと。そういう、「サッカースクールに行きたいけど、行けない」っていう子どもたちに、よりよい指導を受けさせてあげたい。なので、「高い金額でサッカースクールはやりたくない」っていうのが彼の理念にあるので。
プロを育てるってもちろん魅力があったり、勝ちにこだわるチームを作るのも楽しいんですけど、サッカーをやっていたから仲間がいて、毎日楽しく生活を送れる子どもたちが1人でも増えると、サッカーによって、いろんなことが待っているというのは、すごく感じてるので。
サッカーがつなぐ人と人。心と心。東京と世界。
壮大なヴィジョンを持ったプロジェクトは、まだ始まったばかり
本田自身は、全国に300くらいは作りたいって言っていたので。300っていうとちょっと気が遠くなるんですけど、彼はワールドカップで優勝するっていうくらいの目標を持っているので、僕にそのくらいの大きな目標を与えられても、僕はそこを受け入れて頑張ろうと思っているので。
ソルティーロ清瀬校。
夏の夕暮れ、子どもたちがコーチの指導のもと、練習を続けていました。
小さな背中が追いかけていたのは、サッカーボールではなく、少年の胸に生まれたばかりの「夢」でした。