2013/9/6 ロックフェスティバル『夏の魔物』のHidden Story

今週は、青森県で開催されるロックフェスティバル『夏の魔物』のHidden Story。

今年の夏も、全国各地で、さまざまな音楽フェスティバルが開催されました。
しかし、こんなラインナップのフェスは、他にはありません。
TOMOVSKY、フラワーカンパニーズ、ZAZEN BOYS、大槻ケンヂ、中川翔子、宮藤官九郎、川越シェフ、大仁田厚、そして、ビッグダディ。

フェスの名前は『夏の魔物 - AOMORI ROCK FESTIVAL』。
今年で8回目となる、このフェスを立ち上げたのは、当時10代だった成田大致さん。

まず最初に、ライヴハウスでイベントを始めたんですよ。『夏の魔物』っていう。

要は、「青森に自分の好きなバンドが来ない」っていうのがあって。
ツアーで外される地域だったんで、「青森に来てほしい」っていうところから始まってますね。

高校の時の……17、8じゃないですかね。
そのときに、回数を重ねていって、バンドとのつながりが増えていって、まあ10代だったんで、「これだけ知り合いが増えたらフェスができる」と思って、それでやりましたね(笑)

ライヴハウスへ、好きなバンドを呼んでくる。
これが始まりでした。キングブラザーズ、フラワーカンパニーズ、ポリシックス、向井秀徳。
成田さんの呼びかけに、熱いミュージシャンたちが答えました。

熱意を伝えただけです(笑) 「青森に来てください」みたいな。

やってたのは、電話もそうだし、ファックスもそうだし、メール。あとは、仙台とか東京に見に行ったときに、何か渡したりとか、企画書みたいな。

基本的にリスペクトの念が強いので、それで、あんまり上手くしゃべれないんで、熱意をとにかく伝えるっていうだけですね。

ライヴハウスでのイベントを開催するうちに、夢はふくらみます。

ライヴハウスで何回もイベントやっていくうちに、友達に「次、誰来るの、青森に?」って聞かれるじゃないですか。 ファミレスで、そのときに、「次、フェスやるよ」って。

なんか、市のイベントをやっている会場が海にあって、そこでやりたいと思って、商工会の人に言って、この日貸してくださいってことで進めてたんですけど、面子がシナロケ(シーナ&ロケッツ)が出るとか、ちゃんとしてるんで、ビビったのかしらないですけど、「やっぱ、やめた」って言われて、「え?」ってなって。

もう準備……チケット売る準備してたんで、「どうしよう」ってなって、当時ライヴハウスでバイトをしてたんで、店長さんに相談に行ったら「お前は大変なことをやった」と。

18だったんで、いつも、ライヴハウスにプロの人を呼んでイベントやってる、その延長線上でやったんだろうけど、「これは別物だ」と。「お父さんお母さん呼んでこい」と言われて(笑)。

それで、うちの親とライヴハウスの店長と俺で、会議が開かれ、普通の親だったら、そこでやめたと思ったんですけど、シナロケ決まってたんで、「アユカワさん本当に来るの?」みたいな(笑)
「だったらやるしかない」っていう、それでやりました。

2006年7月、第1回の『夏の魔物』開催。
以来、アーティストをブッキングする基準は「ここでしか見ることができない組み合わせ」。

バンドはライヴバンド、ライヴが良いバンド。 何ですかね、「なんでも、とにかく熱がある人っていうのを呼んでいる」っていうのがありますよね。

まあ、生半可な気持ちで呼んだりはしてないですよね、アーティストを。

やっぱ、なんて言うんですか、ショーケースになりがちじゃないですか。
フェスはショーケースで当たり前なんですけど、そういう大人のアレがあるじゃないですか。
まず、「夏の魔物に来るお客さんがそれを望んでいない」っていうのがあるんで、お客さんがどうやったら楽しんで貰えるかっていう過剰なサービス精神から来てますね。

アーティスト自身も熱を持って出演してくれてるんで、「だから良い内容になるのかな」って思ってますね。

『夏の魔物』。
ラインナップには、なんと、プロレスも存在します。

むしろ、自分が一番好きなのはプロレスなんで。 もともと、始めたのも、猪木さんの「迷わず行けよ」的なところから始まってるんで。

猪木さんが読んだ詩なんですけど、「迷わず行けよ、行けば分かるさ」っていう「道」って猪木さんの詩ではないんですけど、引退のときに呼んだ詩があって、それが常に自分の中にはあります。

小学校中学校のころに自分の核にあるものっていうのは、ずっとアレじゃないですか。それはブルーハーツとかHIGH-LOWSもそうなんですけど、ロックバンドと同じようにプロレスに熱くなってたんで、それは、いまだに変わらないです。

青森ロックフェスティバル『夏の魔物』。
自分の好きなバンドに青森に来てほしい。
そんな想いが作り上げたロックフェスティバル。

今年も、音楽の持つ魔法、いや魔物のような空気が
青森の夏をつつみ込みます。



今年の開催は、2013年9月14日(土)。
会場は、青森県東津軽郡平内町の夜越山スキー場。
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