今週は、化粧品を使ってネパールと日本をUniteする活動を続ける女性、向田麻衣さんのHidden Story。
2009年に、向田麻衣さんが始めた「コフレ・プロジェクト」。
まずは、このプロジェクトについて、教えていただきました。
» コスメで仕掛けるすてきなこといろいろ〜Coffret Project
化粧品って、日本だと余ってるんじゃないかなという直感があって。
途中で飽きるか、次のものを買ってしまったりとか、使い切れずにいたなと。女性達にインタビューすると余ってるとか、使っていない化粧品を家のなかで集めてもらったり、数えてもらったらひとり20個とか出てくるんですね。
4年前は、日本の女性の余った化粧品とネパールの女性たちをつなぐということで、「日本の女性から集めた化粧品を現地に届ける」ということをやっていました。
今は化粧品メーカーさんがスポンサーになってくれて、新品のものを使わせてもらってるんですが。
そもそも、向田さんがこうした活動を始めたきっかけは……
1999年にネパールを訪ねたことがきっかけになっておりまして、当時は3秒にひとりが5歳未満で餓死して亡くなるという本当に貧困の国だった。で、2008年にフィールドワークをして女性達にどんなことがしたいですか?とインタビューした時に、お化粧がしたいとか、おしゃれがしたいとか、私が持っているお化粧ポーチにすごく関心を持っていたりとか、貧しかろうが、女性はやっぱり今の自分よりきれいになることに関心があるし、特にネパールのような国だとどこにお嫁にいくかで人生変わっていくので。
きれいになるっていうのが、生きていくっていう意味でもそうだし、自分自身が自分のことをもっと好きになるためにも必要だしと思って。
大学卒業後、化粧品メーカーで働きながら「コフレ・プロジェクト」を始めた向田さんですが、プロジェクトに専念するため、退社。
以来、年間5カ月はネパールに滞在する日々。
しかし、ネパールでの活動を中断せざるを得ない年が ありました。
「現場に足を運んでワークショップを繰りかえす」ということをやっていました。
それを2年続けたタイミングで震災が起きて、私の実家が宮城県だったということもあって、震災の直後から1年間は宮城県の石巻市を中心とする日本の支援をやっていました。はじめは炊き出しのボランティアをやって、泥かきをやって、で、震災の3週間後くらいですかね、そこから化粧品メーカーさんを紹介するなどして物資を届け始めました。 あとは随時、普段、私たちがネパールでやっている化粧のワークショップをやっているんですね。 そこに集まってくださった女性たちにプロがメイクをしていくという。
ニューヨークで活躍するメイキャップさんをお呼びして、本格的な講座をやったりとか、それは本当に変わるんですね。
「突然モードの世界が石巻にやってくる」みたいな。
子どもも「わぁ」とかなりますし、子どもたちも「ママが〜」みたいな「すごい」とか。
そんなイベントをやってました。
そして、実は今、この石巻とネパールがつながっています。
今年、向田さんは、『Lalitpur(ラリトプール)』というナチュラル化粧品のブランドを立ち上げました。
やっぱり、その女性たちの心が元気になっても「その先の仕事がない」というのが根深い問題で。
何とか、女性たちに直接お支払いできるような、仕事自体を作れないかなと考えていました。ネパールの資源ってヒマラヤしかないんですが、そこで採れる「ワイルドハーブを使った基礎化粧品を作ろう」ということで、石けんだったり、バスソルトだったりというものをネパールで製造して、そこには、今、全部で32人の女性が手伝ってくださっていて。
ネパールの女性たちの特に人身売買にあった女性たち、年間1万5千人いるんですね。
なぜ売られているかというと、女性の地位が低かったり、稼ぎ口がないので家族の中でも発言権がなかったりとか、いろんな理由があるんですが、女性が経済的に自由になっていくというのが非常に大事で……売られてしまった女性たちの心のケアとあわせて、貧困地域に仕事を作っていくという両方をやっていきたいなと思っています。
この『Lalitpur』。
本社を構えたのが、向田さんが支援をつづけてきた 宮城県石巻市。
地元の女性の働く場になっているのです。
プロジェクトを始めて4年。
ネパールの女性たちが抱える問題と、東日本大震災の被災地。
向田さんの胸に常にあるのは、弱い立場の人を応援する想いです。
日本の女性たちって、すごくアクティブですから、「何か支援したいな」とか、「何かしたいな」という気持ちがある女性たちが聞いていただいているとしたら、少しでも行動に移してみて、それを例え大きくなくても、ひとりが幸せになれば本当に十分だと思うので、「興味がある、でも何もできてないな」という女性がいたら、行動に移したりするといいんじゃないかなと。
「そういう小さなプロジェクトが、たくさん生まれる」ということが、次の世代にすごく求められていると思うんですね。
今までは、ひとつの企業がどんどん成長していくことがいい事だというか、それで雇用が生まれて、それでも いろんな弊害もあったなかで、私たちの化粧品のような小さなビジネスがたくさん生まれることで多様性が生まれたり、ストーリーが伝わったりとか、「そういうスモール・ビジネスとか、スモール・プロジェクトが、たくさん生まれたらイイんじゃないかな」と思ってやっています。
向田さんの言葉をもう一度。
「ひとりが幸せになれば、本当に十分だと思う。興味を持った人は行動に移してほしい」
ジョン・レノンの あの歌を思い出しました。
「ひとりで見る夢はただの夢。でも、みんなで見る夢は現実になる」。
ネパールでハンドメイドされたナチュラル化粧品ブランド『Lalitpur』。
(ネパールの言葉で「美の都」という意味なんだそうです)
パッケージも素敵で、プレゼントなどにすると喜ばれそうですよ!
岩塩を使った「バスソルト」とか、ハーブやヤクのミルクを使った「フェイシャル・ソープ」とか……
神宮前の『ocaille(オカイユ)』、自由が丘の『GALERIE VIE(ギャルリー・ヴィー)』というセレクトショップのほか、インターネットでも購入できます。
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