九州中部の熊本県。その東側にある阿蘇山のふもと。
噴煙を臨んで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。汁物の朝ごはんにしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
面積がおよそ350平方キロメートルという、世界最大級の大きさのカルデラを誇る「阿蘇山」。
今も噴煙を上げ続けている「中岳」の火口付近には近づくことはできませんが、それ以外の場所は日本全国から観光客がやってきます。
中でもポピュラーな「草千里」は、直径1キロメートルあまりの円形の草原地帯です。
もともとは火口でしたが、牛や馬が放牧されていて、大きな池に水を飲みにやってくる、のんびりした場所。
冬にはその池に氷が張り、天然のスケートリンクに変わることで、地元の人々に愛されています。
「だご汁」は、白菜や人参、しいたけなど野菜たっぷりの汁に、小麦粉で作っただご(だんご)を浮かべた汁物です。 いわゆるおふくろの味なので、そのレシピは家庭によってさまざま。
味のベースになるのは、味噌か醤油。
一緒に煮込む肉は豚肉か鶏肉。
農作業で忙しく、食事の手間を省きたいという農家の人たちにとって、すばやく調理できるのが「だご汁」。
作り置きができるというのも、人気の秘密です。
自分の畑でとれた野菜を入れるので、栄養のバランスは申し分ありません。
だんごの量をたくさんにすると腹もちもよく、十分朝のメイン料理にもなります。
阿蘇の名産として知られる、ピリ辛の高菜漬と一緒にあたたかいうちにどうぞ。
阿蘇市の東西を走る国道沿いを中心に、「だご汁」を出す飲食店が軒を連ね、地域の活性化に一役買っています。