今週は、勤労感謝の日を前に、新しい働き方……
メンバーシップ制のコ・ワーキング・スペース「みどり荘」のHidden Story。
» みどり荘
目黒区青葉台。 住宅地の真ん中に、ツタのからまる建物があります。
外からは、もはや壁さえ見えないほど緑がびっしり。
中に入ると、味のある色をした家具が並び、リラックスした服装の人が働いていました。
「みどり荘」。
始まりのきっかけを、シンクタンク「未来インスティテュート」の小柴美保さんに伺いました。
高層ビルの中で、みんなオフィスで働いてるようなところじゃなくて、「必ずしも、オフィスという固定概念にとらわれずに働く場所があってもいいんじゃないか」というのがあって、どんどん、独立して働く人とか、会社に所属しない人が多くなったりとか(大手に)、そんな人が出てくるなかで、こういう働き方はひとつありなんじゃないかと。
で、よく海外とかだと、気軽にソファに座りながらパソコンを打って、他の人と話して、みたいな環境があったので、「日本にもこういうトコロがあったらイイな」というところから始まった感じです。
そもそも、ここを運営しているのは、「もっと自由にモノを考えて、外に出していこう」という、「インディペンデント・シンクタンクを作ろう」というトコロから始まっていて、その「働き方」というテーマの実証という形で「こういう場所を作ろう」という流れには、なっていて。
では、その「場所」はどこにするのか?
物件が決まった経緯について答えてくれたのは、現在「みどり荘」を利用しているインテリア・デザイナー、山田健一郎さんです。
仕事の最中、手を止めてお話くださいました。
いつも、打ち合わせの度に、この周りを自転車で走ってたんですけど。
僕、わりと自転車で走ってる時に、変わってる建物の写真を撮ったりしてて。
使われなくなった建物を見ると「こうしたら良いのにな」とか思っていて。ここのシェアオフィスを探しているっていう、こういうことを始めたいってことを話している人に、ふっと、ここの建物の写真撮ってたのを見せて、そしたら「最高じゃん」ってことになって、その日の夕方にはここのオーナーさんにピンポン。 「ここ貸してください」って。
改装にかかった期間は、およそ半年ほど。
建物に、息吹が吹き込まれました。
ポートランドで家具を調達したりとか、やっぱり「いかにも無機質なオフィス家具だけだと、発想も違うんじゃないかな」という仮説を持っていて、「それをここでやってみよう」と。
例えば、ラウンジスペースとか、ソファと本棚とキッチンスペースなんですけど、寝そべってパソコンを打ってたり、あとは全然違う仕事をしている人同士が同じ空間に集まることで、全然違う発想が生まれたり、全然違う仕事が生まれたりとか、そういう場が出来てくるのが面白いと思います。
運用が始まったのは、2012年の春。
小柴美保さん、そして大矢知史さんは、そのコンセプトを、こう語ります。
小柴:不動産のようではなく、「あなたの敷地はここまでです」っていうんじゃなくて、
「スポーツジムみたいな感じで、いったん入会したら、自分で好きなようにこの場所を使って仕事をしてください」
っていうところなので。大矢:それぞれが「新しい働き方」「自分なりの新しい働き方」を追求している方が多いので、そういうメンバーにそれぞれが感化されて、また刺激を受け合って、だから、いろんな人のみどり荘のイメージが違うんですよ。
そこがまた面白い。コンセプトが、良質な……「混沌」。
混沌を目指す。
建築家、ウェブデザイナー、プログラマー、映画のプロデューサー、インテリア・デザイナー、音楽家、そして社会起業家。
さまざまな職業の人がみどり荘に集っています。
音楽と映像のプロデュースを手がけるブルースさん、そして、インテリア・デザイナー、山田健一郎さんは、こう語ります。
ブルース:ここは非常にいいですね。
良い部分としては、すごく面白いものとか、面白い事とかを引き寄せる磁場みたいなものを感じますね。ワクワクするフィーリングがこの中にあるので、自然と面白い人が集まってくる感じ。
ここにいると面白い人に会える気がしますね。山田:ここは、古い建物に合わせて、我々も好きなところにデスクを置いてやってるんで、窮屈な感じはしないんでしょうね。
みんなやっぱりこの自由な感じですよね、それを利用して、異業種の方同士で、何か新しい仕事が始まったり、出会いがあるのを見ているとワクワクしますよね。
ちなみに、「みどり荘」という名前の由来は……
この緑のツタっていうのと、ときわ荘。 かつての、ときわ荘って、いろんな漫画家が旅立って行ったところで、そんな感じで「いろんなタレントが旅立って行ったらいいな」というのをかけているんです。
メンバーシップ制のコ・ワーキング・スペース「みどり荘」。
利用者からは、この言葉が繰り返されました。
「ここにいると、ワクワクする」。