茨城県ひたちなか市、小高い丘の上から朝日を望み、
彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。シンプルな食べ物にしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
このあたりは、江戸時代には徳川御三家として名高い、水戸藩のおひざ元。
しかし幕末になると沖あいに外国船が出没するようになり、当時の藩主、徳川斉昭公は、防衛のため大砲の製造を行います。
オランダの技術に学んで、鉄製の大砲の鋳造に必要な大量の鉄を溶かすための「反射炉」という施設を建設。
ここで作られた大砲は、周辺だけでなく全国各地の砲台に設置され、国防の役目を果たしました。
その建物は幕末の騒乱で破壊されましたが、昭和12年に復元され、当時の雰囲気を伝えます。
日本の「干しいも」の90%以上が作られるという茨城県。
その理由は、でんぷんを多く含む「玉豊」という種類のサツマイモの栽培や、干しいも作りに適した火山灰の土壌であること。
冬場に作業のピークを迎える材料の芋の乾燥には、天日干しと風の具合がポイントとなります。
昼と夜の温度差が大きく、太平洋側からの乾いた風のおかげで、「干しいも」に適度なやわらかさと、甘みがプラスされるのです。
まだ暗いうちからサツマイモを蒸かし、夜明けとともに冷たい風が吹く外で作業をするのが「干しいも」作り。
蒸して皮をむき、スライスして干したばかりの芋は灰色ですが1週間あまりで干し上がると、飴色に変わります。 その後熟成を経て黒光りし、最後に糖分が白い粉となって表面に浮いてきて、全体が真っ白になれば出来上がり。
甘くて食物繊維たっぷりの、シンプルな朝のめざましをどうぞ。
ストーブやオーブントースターで、きつね色になるまで焼いて、アツアツを食べると、さつま芋の香りと香ばしさが味わえます。