今週は、おばあちゃんの手仕事プロジェクト。 teto. の Hidden Story。
» teto.
おばあちゃんの手仕事プロジェクト「teto.」。
それは、どんなプロジェクトなのか?
teto. を手がける原田麻子さんに教えていただきました。
teto. は、2011年に私と友人のふたりで立ち上げたプロジェクトなんですが、「手作りのモノの良さを、より多くの人に伝えていきたい」という想いと、あともうひとつ、「おばあちゃんの世代と、その娘や孫世代のコミュニケーションを大事にしたい」という想いからスタートしています。
具体的には、私たち teto. がプロデュースした製品を、縫い物や編み物など、手仕事自慢のおばあちゃん世代の方々に制作してもらって、それを販売しています。
teto. の「te」は手仕事の「手」で、「手仕事と、受け取る人とか真心とか、そういうものを繋いでいきたい」という想いで、teto. という名前にしました。
おばあちゃんの手仕事によって生まれた品々を多くの人に届けるのが、「teto.」。
そもそも、これを始めるきっかけはどんなことだったのでしょう?
きっかけは、今も teto. の人気商品なんですけど、毛糸で出来た「バラのヘアゴム」というのがありまして。
一緒に teto. を立ち上げた友人がいるんですけども、その子のおばあちゃんが、もともと手仕事が何でも得意な方だったんですが、数年前にリューマチを患ってしまって、手が動かせなくなってしまったんですね。 そしたら、気持ちまで落ち込んでしまって、元気がなくなってしまったんですね。
それを心配した友人が、おばあちゃんに「自分用にバラの、毛糸でできたヘアゴムを作ってくれない?」ってお願いしたら、おばあちゃんが作ってくれて、それがすごくかわいくできて、それをつけてたら、回りの友人から「私もほしい」って声があったそうで、それをおばあちゃんに伝えたら、おばあちゃんがすごく喜んで、手が痛いはずなのに、すごく喜んで作ってくれて。
それを見た友人が、そういうことで、世の中のおばあちゃんを元気にして、さらに、それを手にした人たちも喜ぶようなそういうサイクルをプロジェクトにしたい、という想いが湧いてきて。
2011年6月、「手と心」という名前で最初の展示会を 葉山で開きました。
はじめは、知り合いのおばあちゃんを紹介してもらってスタートしたプロジェクトですが、その後、展示会をきっかけにした出会いもありました。
2回目の展示会のときに介護福祉士の女性がたまたま見てくださって、「ぜひ、ウチのグループホームのおばあちゃんたちと、モノ作りをしたいです」と言ってくださって。
私たちも実際そのグループホームを訪ねて、「何ができるかな」というのを一緒に考えまして、商品が実際に生まれたというものがあります。 「ボンボンコサージュ」というんですが、花柄の生地を裂いて、それをボンボンにしているんですね。
最初は「おっかなびっくり」というか、そういう形だったんですが、楽しんで、みなさんでリビングに集まって作業をしていただいているみたいです。
すごく喜んでくださって、私たちにもすごく励みになるというか、「また来てね」って言ってくださるので、毎回すごくあたたかく迎えてくださって嬉しいです。
「teto.」が行っているのは、おばあちゃんに、得意な手仕事で商品を作ってもらう、という仕組み。
みなさん、もともと手仕事が得意で、そこに私たちのアイディアが加わったときに、それがもっと魅力的なものになって、「若い人たちにも、欲しいと思ってもらえる商品になるんだ」と、すごく実感として思いまして。
商品企画は私たちのほうでさせていただいています。
「こういうものを作りたい」というイメージはおばあちゃんに伝えて、それをおばあちゃんが実現してくれるという仕組みにしていて、ただ、全部、決め決めでおばあちゃんにお願いするんじゃなくて、ある程度自由にしていただく部分も残すようにしていて、毛糸の組み合わせとか、細かいところをおばあちゃんに自由に制作していただく、という風にしています。おばあちゃんに楽しんでいただく、ということもありますし、私たち受け取る側もできたときの意外性とかそういうところがあると私たちも面白い、というのがあります。
この仕事を続ける中でのエピソード。
原田麻子さんが教えてくれました。
すごく、気付かされることも多くて、私たちって、そんなにお手紙って書かなくなっているんですけど、おばあちゃんとのやりとりって、できれば顔を見てお話したいですし、メールより電話で声を伝えたいですし、お手紙でやりとりさせていただくことも多くて、私たち世代のコミュニケーションでは忘れてしまいそうなことを、私たちも気付かされることが多いプロジェクトですね。
あと、私たちは「モノを大事に使っていきたい」という想いもあるので、商品が壊れてしまった時に、修理も承りますということでやっていて、壊れてしまったものを直して、ずっと使っていくということも、おばあちゃんから習う、というか、そういうことも大事にしていきたいなと思っています。
いま、「teto.」では、手仕事が得意なおばあちゃんをご自身から、あるいは、お孫さん、お子さんからの推薦で募集しています。
プロジェクトに推薦していただくのをきっかけに、お孫さんとおばあちゃんがお話するようになったりとか、最初の伝達をお手伝いしてもらうんですけど、そこでコミュニケーションが生まれるのも大切だなと思っています。
ものづくりを通して生まれる 心と心の交流。
そのぬくもりが「teto.」の品々をあたたかな色に染めています。
この年末年始、おばあちゃんとお会いになった方も多いかと思いますが、 teto. では、手仕事が得意なおばあちゃんを自薦他薦を問わず募集中ということですので、興味をお持ちになった方は、teto. まで お問い合わせください。
また、あたたかい「ぬくもり」が感じられる商品は、ウェブサイトで販売されています。
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