賛否両論が主張される中、国会で可決成立した「特定秘密保護法」。
あの国ではどういう事情なのでしょうか?
今朝も2カ国をコネクト。
アメリカ、ニューヨーク。中村英雄さん
「あります」
そもそもアメリカには秘密を知ってはいけないという法律があります。
オバマ大統領が2009年12月に出した「秘密指定された国家安全保障情報」と題された大統領令13526号がそれに一番近いと思います。
決して日米の法律が同じ、というわけではなく、秘密指定の対象は、アメリカの場合、「軍事計画、武器システム、又は作戦」など明確に規定された8項目に限定されています。 アメリカでは行政機関の過誤や問題を隠蔽する目的で不当に秘密指定を行うことが禁じられていますが、秘密保護法にはそのような禁止規定がありません。 また、秘密指定が国会をも拘束し、「第三者」審査機関が審査対象となる内閣の内部に置かれ、かつ異議申立ての制度もない、といった具合にアメリカの現行法と日本の秘密保護法はずいぶん似て非なるものです。
NYで普通に生活して普通にアメリカ人と交流している限りは、こうした法律が話題に上ることはまずありませんね。
みんな、よく知らない。というのが現状ではないでしょうか?
あのスノーデン氏の事件のような内部告発が起こると、世論はまっぷたつに割れますね。
彼を国家の裏切り者呼ばわりする人がいる一方、軍や国家権力の行き過ぎた権利行使を非常に憂慮する意見も同じくらい多いです。
あえて無理矢理まとめるなら、「国家の安全保障のために軍事機密の守秘は必須だと考える一方、それを理由に権利が濫用されて、個人の自由や私生活が脅かされたら、それはたまらない」と考えているのがアメリカ人ではないでしょうか?
中国、上海。松田奈月さん
「あります」
あまり意識したことがなかったのですが、調べてみたところ、中国ではすでに1988年から施行されていました。
(中華人民共和国)保守国家秘密法という法律で、その後、ネットなどの情報環境の変化から2010年に改訂されています。
これは国家の秘密を保守することにより、国家の安全と利益を守るために作られた法律で、国家秘密は法律の保護を受け、公民は皆、国家の秘密を守る義務があると定められています。
国家秘密には、国家の安全と利益に対する損害を与える大きさで「絶密」「機密」「秘密」の段階に分けられ、管理する部門などが変わってきます。
管理している部門は、中央政府内の国家保密局と中央保密委員会の2つ。
国家保密局の下には国家保密技術研究所があり、秘密保護のための技術や、ネットでの秘密漏洩をチェックする技術を開発しています。
また、政府だけでなく、軍、党、国有企業なども機密範囲を設定できる権限が与えられていて、機密文章の数も膨大になるといわれています。
たとえば、実際にニュースになっていたケースとして、国家秘密の地形図を、自分の秘密管理されていないパソコンに入れ、インターネットに接続したということで、懲役2年の判決を受けた例。 国家公務員や国有銀行の金融研究担当者などによる国家経済データ漏洩も、違法行為として、裁判問題になっています。 公的メディアでは表現内容の規制もあるので、秘密法だけを意識しているという感覚ではないと思いますが、出版物やテレビラジオ・ネットで国家秘密を公開する場合も、秘密法の規定を守らなくてはなりません。