今週、ご紹介するのは、『4bunno3 BAG』。
それは、どんなバッグなのか? そして、そこに込められた想いとは?
今回、取材を受けていただいたのは、北村尚弘さん。
まずは、この「4bunno3」が意味することについて伺いました。
「4bunno3」というのが表していることが、いくつかありまして……
1つ目が、廃材を使っていますよと。
廃材を利用するというと、「全部じゃなきゃダメだ」とおっしゃる方もいらっしゃると思うんですけど、僕は「そこで頑張りすぎなくても、一部でも使っていれば素敵なことだよね」と思っていて。
でも、できるだけコンセプトである4分の3に近づけたいということで、シートベルトとか廃棄にされていた商業幕を使っています。そして、全行程の4分の3を、障害のある方が担当してくださっていると。
で、これも実は全部を障害のある方となると、ここまでの精度のものは作れないというのが実態です。 最終行程だとかは、そこのスタッフの方が担当してくださっています。そしてもうひとつ、6,800円で販売させていただいて、最終、僕のところに残るものが、800円なんですけど、その4分の3しか受け取りませんと。 残りの4分の1は寄付させてくださいと。
今現在は、児童養護施設の学生さんが大学進学するためのプログラムでカナエール、というのがあるんですけど、そこに寄付させてもらっています。
4bunno3.comで販売しているのは、障害のある方が、その工程の4分の3で制作を担当したメッセンジャーバッグです。
そもそも、北村さんが、こうしたプロジェクトを始めることになった、きっかけは……
僕はもともと人事のコンサルタントを長くさせていただいているんですが、とあるきっかけがあって、障害のある方と触れ合うきっかけがあったんですね。
ただ、僕の中には、障害のある方から価値を引き出すというノウハウがなかったんです。
どちらかというと、どうモチベーションを持ってもらって、どう頑張っていただくのか、というのを考えてきたんですが、障害のある方は頑張るのが難しい、という場面があるんですね。自分の無力さみたいなものを感じる機会がありました。
じゃあ、そこから、障害のある方の活躍できるノウハウ探しをしたところ、いたんですよ。
かっこいい仲間がいることに気づいて、彼らからいろいろ学んでですね。
その中で、自分でも何かひとつ実現してみたいなと、成功モデルを作ってみたいと思うようになりました。それが、4bunno3のきっかけですね。
さまざまなアイディアの中から、バッグを作ることを決めました。
ニューヨークのデザイナーとのコラボレーションを試みますが、アメリカから届くデザインは、日本の現場で 作るのが難しいものでした。 1年半後、結局、海外との共同作業は断念。
今度は、作業をする方自身から アイディアを求めました。
一番最初のニューヨークの人たちとのコンセプトブックを先に作ったんですが、そのときのタイトルが「Slow &」というものだったんです。 「急ぎ過ぎてるために見逃してるモノって、たくさん無いですか?」というようなコンセプトだったんですけど。
で、彼らのほうがですね、4bunno3 バッグの原形として持ってきたのが、メッセンジャーバッグだったんです。 それまで、実は作っていたのはトートバッグだったんです。 でも、メッセンジャーバッグで出てきて、「イイじゃん」ってなって「これでいこう」と。 だけど、「Slow &」っていうタイトルでメッセンジャーバッグってあってるの?ってなって、じゃあ、やっぱり全部捨てようと。
当時、仲間とですね、ソバか何か食べてたと思うんですけど、そこで出てきたのが「4分の3」っていう言葉で。 頑張りすぎないというのをどう表現するかということ。
バッグを作ってくれる場所は、長野県にある「夢工房」に決まりました。
現在、ウェブサイトでは、白い生地をベースにしたメッセンジャーバッグを販売されていますが、サイトでは、バッグの販売以外に、代表の北村尚弘さんが格好良いと思う活動をしている方々を「スペシャルメッセンジャー」として紹介しています。
僕のまわりに、4bunno3 の価値観を持って活動している、格好良い大人がたくさんいる、と思っているんです。
だから、ホームページを訪れてくれたみなさんには、バッグを買ってくださること以上に、こんなに格好良い。 そういう価値観に溢れた人間がいるということを知って欲しいなと思って。
だから、4bunno3バッグを買ってくださる時にお願いしているのは、誰かに応援コメントを書いてくれと。
そうすれば僕の方で送料を一部を負担するからと。
で、僕はそのスペシャルメッセンジャーの方々に、その応援コメントを送らせてもらうんですね。そうすると、そういう方々の励みになって、「もっと頑張るよ」となって、世の中がもっと良くなっていくみたいな、そういうことが出来ると良いなと思ってます。
さらに、バッグを購入した方から、サイトに掲載されている「スペシャルメッセンジャー」に応援コメントが届いた場合。 そのスペシャルメッセンジャーにも1,000円が贈られる仕組みとなっているのです。
その1,000円をお支払いするというと、ほとんどの方が「受け取れない、それは北村の活動に使ってくれ」とおっしゃるんですけども、僕は断固としてそれを断るんですね。
僕が使うと、先ほど申し上げた、カナエールというところに入れるほかに思いつかないと。 だけど、世の中には「もっとお金があると良いな」という場所はあると思うんですね。 それを僕が探して審査して払うというのは、面倒くさいし、やめてくれと。 きっと、あなたであれば、お金の一番良い使い方を知ってるでしょと。 もし、どこかに寄付したいと思うんだったら、僕の代わりに考えて、その人たちを応援してくださいと。
だから、こうやって、4bunno3 という価値観を通じて、正直、全然、儲からないんですけども、何かそういう、「優しさだとか、人を認めるだとか、そういう気持ちが日本に溢れる」という活動になるんだったら、こんなに格好良いことはないな。
と思ってやっています。
4bunno3.com 代表メッセンジャー、北村尚弘さんが本当に届けたいのは、人を認める「優しさ」。
白いメッセンジャーバッグのなかには、そんな想いが詰まっているのです。