2014/2/14 岡崎真さんのHidden Story

今週は、浅田真央選手、村上佳菜子選手、高橋大輔選手など、日本代表選手に関わるフィギュア・スケートのテクニカル・スペシャリスト、岡崎真さんのHidden Story。


現在、福岡県でフィギュア・スケートのコーチとして活躍されている岡崎真さんには、「テクニカル・スペシャリスト」という、もうひとつの顔があります。

ソルトレイク・オリンピックのときにですね、不正がありまして。 採点に。
そのあと、新しい採点システムに国際スケート連盟が変えていったんですね。

そのときに、技術役員みたいなポジションができたんですけど、その中にテクニカル・スペシャリストと呼ばれる分野がありまして、日々フィギュアスケートに携わる、プロコーチであるとか、プロスケーターだったりとか、「選手時代にトップレベルのスケーターだった者から選んで審査をしてもらう」という役職ができたんですよね。

だから肩書きとしては、ISU国際スケート連盟のテクニカル・スペシャリストという資格も所持しています。

テクニカル・スペシャリストは、選手の演技内容について……例えばジャンプを飛んだときに、どんな種類のジャンプだったのか……を見極めます。

それを受けて、ジャッジが その技の質を評価するのです。
採点について知り尽くしているがゆえ、選手にどうすれば得点を上げられるか、アドバイスできるのです。

高橋大輔選手は、ずっと何年間も続けてやっているんです。

浅田真央選手についても、スピンのアイディアを出したりとか。 ステップも「レベル4を取るにはちょっと不足している内容」があったりするので、それを補うことでサポートさせていただきましたし。

村上佳菜子選手も、「やっぱりオリンピック初出場だし、不安なので見ていただきたい」ということがありましたので、行ってきました。

ずっと、ステップで最高レベルのレベル4が取れていなかったんですね。
レベルを取るための必要要件があるんですけど、それを満たしていなかったんですね。
ほんのささいなことなんですけど。

付き合いの長い 高橋大輔選手の今シーズンの演技について、岡崎さんは こう感じていました。

スピンに関しても、彼自身も「進化をしたい」ということで、バレエを始めたりですとかで、スピンのポジショニングがきれいになりましたし、あとは柔軟性が増したので、スピンのレベルを取るためのヴァリエーションっていうんですけど、難しい姿勢で回ったりするようなのも豊富になってきましたので、ヴァラエティに富むようになったというか、俳優さんでいうと、2枚目もできるし3枚目もできるしすごく上手だと、役柄によって自分を変えられるところがありますので。

浅田真央選手についても、お話を伺うことができました。

浅田真央さんは、だいたいシーズン最初に「プログラムができてきました」という直後に、チェックの依頼があるんですね。
そこで、手直しが必要なものは手直ししたり、付け加えたほうが良いものは付け加えたり、で、「いろいろ試合で様子を見ようと」いうことになって、試合はチェックするんですけど、映像で試合を見たものに対して、本人にメールでフィードバックするという形を取らせてもらってるんですね。

本人に言うのが一番分かると思うんで、今回、レベル4取れてたけど、例えば「僕が審査員だったら、あそこが甘かったから取れてないから、今回やさしくてラッキーだったよ」とか、ちょっと厳しめ目線で指摘するんですね、いつも。

ソチ・オリンピックを前に、岡崎さんが、浅田真央選手に送ったアドバイスとは?

オリンピックの前は全日本が最後の試合でしたので、一応チェックを入れまして。
彼女にしては珍しく、大きな取りこぼしがありましたので、それに対する指摘と。
ディレクター:取りこぼしというのは、やはりトリプルアクセルがうまくいかなかったことでしょうか?

それは、まあ、ジャンプは水ものなので失敗することもありますし、あの失敗はいたしかたないと思うんですけど、最高レベルのレベル4を取り行く時に、一個「レベル1」というのにすごく下に下がってしまったものがあったので、そうするとガクッと点数が落ちてしまうんですよ。

どうしても、選手ってジャンプがありきなので、そっちが安定してないと、スピンとかステップとかに気持ちが入っていかないとか。

でも、そういうのがジャンプの調子が良くなくても、スピンとかステップを絶対に外さない、ってことでやってきたはずなんですけど。 今シーズンは。

フィギュア・スケートのテクニカル・スペシャリスト、
岡崎真さんに、最後に伺いました。
岡崎さんが考える、フォギュア・スケートの魅力とは?

細かいディテールばかりを見るんじゃなくて、フィギュア・スケートならではの、スポーツでありつつ芸術でもあるような素晴らしさがあると思うので、点数(が)何点だったとか、順位がどうだったとかじゃなくて、この選手のこの演技が素晴らしかったとか、何と言うか、感情で受け止めてもらえたらと思います。


フィギュア・スケートは、スポーツでありながら、芸術である。
氷の上でアスリートが繰り広げる 世界最高の芸術を楽しめる日々が続きます。