今日4月18日は、「お香の日」なんだそうです。日本書紀の時代に香木、つまりお香の元となる木が日本にやってきたことにちなむそうですが、あの国でのお香事情、いったいどうなのでしょうか。今朝も2カ国をコネクトしてお送りします。
トルコ、イスタンブール。加瀬由美子さん
「お香を焚くというのはあまり一般的ではありません」
特にアジアの仏教や密教などでは強い香りから神秘的な雰囲気を漂わせることが出来るので、線香とは切っても切れない縁があるようです。なので一部のアーチストやミュージシャンなどは、異国の香りとして中国やインド産の線香をたいたりしますが、トルコで一般的ではありません。
そもそも「香」や「香水」がポピュラーになったのは、ここ20年足らずの現象で、それまではスーパーや化粧品店でデオドラント製品すらあまり売られてさえいなかったのです。
もちろんトルコには自然からたくさんの香料を恵まれているのです。
トルコの国土の97パーセントを占めるアナトリア半島の大地には、野生のラベンダー、ミント、などいわゆるハーブがたくさん自生。また、有名なダマスク・ローズの一大産地、ウスパルタ地方では薔薇の香水、化粧水が製造されています。トルコの薔薇は、オスマン朝時代に、ヨーロッパにも普及して行きました。当時のまたハレムの美女達はハマムで入浴した後、薔薇水を念入りに肌にすり込み、スルタンのお召しを待ったと言うことです。
ラベンダーやミントも現在では大量に栽培されており、その花や葉っぱは乾燥させて部屋をかぐわしくさせるものとして、皿や器に入れてさりげなくサイドボードや飾棚に置かれ、上品な香りを漂わせます。化学的に作りだされた芳香剤や、調合された香を香炉でたく、という習慣はありませんでした。
タイ、バンコク。山崎幸恵さん
「お香の文化は過去にはありましたが今はあまりありません」
タイはもともと、香草研究が盛んなので、天然成分を練りこんだ線香(日本の手持ちの花火みたいな形状)をホテルの客室の香り付けなどに使っていたそうです。しかし、70年代ころから化学品が台頭し、煙を吸うと頭や目が痛くなるなど、健康被害がクローズアップされ、今では線香で香りを楽しむ、という話は聞いたことがありません。
タイは暑いので、カビた匂いや汗臭い匂いを気にして、匂いに敏感な人が多いと思いますが、香りを楽しむ目的では、アロマオイルや空気清浄スプレーにとって代わられてしまいました。
今でも人気があって、よく売られている香り線香は、レモングラスを練りこんだもの。いい香りだとは思いますが、香りを楽しむためではなく、防虫効果が高いため、蚊取り線香として使われる実用的なものです。
日本式の渦巻き型蚊取り線香もありますが、手持ち花火のような形状がほとんどです。