ただいま、2014FIFAワールドカップブラジルが開催中ですが、今週、ご紹介するのは、ブラインドサッカー。日本におけるブラインドサッカーについてその始まり、そして広がり、さらに今後の目標を伺いました。
まずは、ブラインドサッカーとはどんな競技なのか?
日本ブラインドサッカー協会の松崎英吾さんに教えていただきました。
日本ブラインドサッカー協会
そもそも視覚障がい者のために開発されたサッカーでして、アイマスクをして、5人制、フットサルのルールに基づいて行うサッカーです。
ルールとしては、フィールドプレーヤー4名がアイマスクをつけた状態で、全く見えない状態で、ゴールキーパー、コーラー、攻めるゴールの後ろにはコーラーというガイドがいて、そのキーパーとガイドの見える人の指示、声の協力をあおぎながらプレーをする形です。
ボールは音がして、サイドライン上にはプレーがスムーズにいくように、サイドフェンスが1メートルちょっとの高さで立っていて、そのような環境でプレーを行います。
日本へブラインドサッカーが入ってきたのは、2002年。
ベトナムと韓国からチームを招聘して、日本のチームと試合を行いました。
その時の実行委員会が前身で立ち上がった、という形ですね。
その2002年くらいはチームがなかったんですよね。
2003年から日本選手権を結構むりくりやってしまったんですね。それをきっかけに全国にバラバラと立ち上がって、地域のリーグ戦も生まれていったという。
そういう中で、2005年ですね、に、アジア大会というのがあって、そこで日本は優勝しているんですね。そうすると2006年にアジアで勝った国として、世界選手権に出場することができたと。
実はそこで初めてメディアさんに大きく取り上げていただいたりとか、少しですが認知度が上がったのが2006年のタイミングだったかなと思います。
世界大会に連続出場を果たして、徐々に広がりを見せてきた日本のブラインドサッカーですが、2008年の北京パラリンピック、出場を逃します。
我々としては敗戦のショックが大きくて、選手達も「これから、どうしていこう」という中で、2009年に初めて行ったのが、国内でアジア予選をやろうと。2009年にアジア選手権があったんですけど、味の素スタジアムのアミノバイタルフィールドで開催して。
どうしても、私たちのようなマイナースポーツですと、世界で大会がありますとなって「世界に行く前は、困ってます」みたいなところで、みなさまに知っていただく機会があるんですが、行ってしまうと誰も取材に行ってくれませんし、自分たちでの情報発信能力も低いので。
行ったら、勝ったのか負けたのかも分からないまま、世の中に埋もれてしまっていたんですが、2009年にアジア選手権を国内でやると、毎日、結果を報道していただけるというのが分かったんですね。
以後、毎年のように大きな大会を招致。
そして、今年の秋には、世界選手権が開催されることになっているのです。
このブラインドサッカー、視覚に障がいがある方だけではなく、障がいを持たない方も一緒にプレーできるスポーツです。
スポーツで一緒に出来たり、笑いあったりしながら出会えるだけで、こんなに障がい者に対する見方が、こんなに変わるのかと。それが私がパワフルに感じたところだったんです。
それは、私だけでなく、中心の選手やスタッフたちも同じことを言っていて。
「ならば、僕らがこのスポーツが広まれば広まるほど……もちろん勝った負けたの熱狂もありますが、と同時に……障がい者に対する世の中の見方も変えていかなきゃいけないんじゃないか」というところが、2011年にビジョンを制定したいきさつだったんですね。
我々は2024年に世界一であることを目標として掲げていますが、その時には、障がい者に対する世の中の見方とか、働き方とか、地域コミュニティでの生き方も変わっている。 ということを目指しています。
日本ブラインドサッカー協会は、その大きな目標のために子どもたちへの教室を開いています。
私たちはブラインドサッカーの体験学習……「スポ育」と呼んでいるんですけど。スポーツと教育をかけているんですが……そこではやっぱり笑顔で出会う。障がい者と一緒にスポーツを通じて、遊びの要素も含んだスポーツを体験する。そこでは、障がい者のできないことも分かっていただくのと同時に、見えないとこんなこと困るよね、というのを分かってもらうのと同時に、見えなくても君たちよりもできることもあるし、練習して得意になったこともあるし、ていうことをスポーツで感じてもらうんですね。
つまり障がいを個性のデコボコとしてとらえて、ひいては、みんなの回りにもいる個性のデコボコを大事にして違いがある人と、どうやったら仲間になれるのか。 という事を知って欲しいという事で「スポ育」という授業を始めています。
さらに、学校での教室のほか、最近では 企業の研修で使われたり、個人で参加できる体験会を定期的に開催されたりしています。
「本気なの?」と言われますが、全国民に体験していただきたいと思っているんですね。
体験するってすごくパワフルで、相手の立場に立てるので。
それによって人々の価値観が変わっていくんじゃないかなと。
世界大会に日本代表を送り出し、それによりブラインドサッカーを広く知ってもらうこと。
加えて、多くの人に体験をしてもらって違いのある人と仲間になる喜びを伝えて行くこと。
日本ブラインドサッカー協会のチャレンジは続きます。
実際どんなものなのか?ご覧いただけるチャンスがあります。
明日・明後日(2014年6月28日・29日)、味の素スタジアムでブラインドサッカーの日本選手権が開催されます。
しかも、入場無料!
第13回アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権
そのほか、お話に出てきました「スポ育」という体験型の授業についてやさらに、気軽に参加できる「OFF TIME」というイベントについてはウェブサイトでご確認いただき、ぜひ一度ご参加ください。