北陸の福井県、山の中にある永平寺。
参道の杉並木の真ん中で、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。質素な朝ごはんにしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
鎌倉時代の1244年、道元によって開かれた山の中にある曹洞宗の道場として全国的に有名なお寺。200人あまりが、住み込みで厳しい修業に励んでいます。
700年以上前からずっと時を共にしている、うっそうと生い茂った杉に囲まれた永平寺。
現代の日常生活とは隔絶された静けさで、訪れる人の気持ちが引き締まります。
毎日夜明け前の暗い時間から起きて、座禅を中心とした一日を過ごします。
毎日の食事は野菜が中心の「精進料理」。
朝はお粥、胡麻塩、たくあん、という質素なメニューでスタートします。
「ごまどうふ」は、永平寺の食事の一品として最もよく知られたものといえるかも知れません。
永平寺の修行僧は、年中行事など特別な日にだけ食べることができるという“ごちそう”だとか。
たっぷりのゴマをすりつぶし、天然の地下水と葛を加えて練り上げるというシンプルなレシピ。
濃厚な香りで、もっちりとした食感の「ごまどうふ」は栄養価が高く、健康食品として、すっかりポピュラーとなりました。
暑い時期は「ごまどうふ」を冷やして、味噌ダレをつけていただくのがおいしい食べ方です。ヘルシーなおかずのアクセントとしてどうぞ。
最近ではスイーツとして、小豆や抹茶などとあわせてその食感を楽しむこともあるようです。