今日8月15日は「終戦の日」。二度と戦争をしないと誓った日本ですが世界には「中立国」という立場の国が存在します。その「中立国」はどうなのでしょう?
今日も2カ国をコネクト。
スイス、バーゼル。サウター美由紀さん
「あります」
スイスは西ヨーロッパの中央に位置する面積の小さな国で、どの隣国とも陸続きです。この状態で、おそらく日本人が持っているイメージの非武装・非参戦でいれば、幾度ものヨーロッパ間の戦争や2度の世界大戦を通し、今のスイスは存在していません。
スイスの中立は、スイス国内にはどこの国の軍隊の駐在も侵略も認めず、絶対に国家主権を守りぬく覚悟なのです。よって、軍隊を持つことは当然であり必須でした。
また日本人が持つ、先の大戦時の日本の兵役とはまったく違うものと考えるべきだと思います。
スイスでは国の政策や各自治体、各州の政策を国民の直接投票で決めます。普段のおしゃべりに政治的な話題もよく挙がり、自分の意見が直接国策に反映されることを理解しています。兵役についても第二次世界大戦後3度、存続廃止の議論がなされましたが、国民投票によって存続が決まっています。
基本的に有事の際には国民各自が動けるようになっています。各家庭や自治体には国民全てを避難させるのに十分な地下壕や貯蓄物資があり、山岳の地形を活かして敵の侵入を許さない防御が張り巡らされています。
時代と共に兵役が簡略化され、期間の長さも短くなり、老人ホームや養護学校でのボランティアといった代替の制度が出来たりと、全体的に緩和されてきました。
現在は、一番下の位の一般兵の場合、18歳から33歳までの男子が260日間の兵役期間をこなすことが決まっています。入隊と同時に小銃やその他必需品一式が配布され、武器もそのまま各自が保管します。兵役期間中に希望すれば各種の専門免許(大型自動車運転免許、船舶運転免許、通信士等々)を取ることができますし、音楽家は音楽隊に入隊したり、料理人はやはり料理長となったり、専門は活かされます。訓練以外の基本的な仕事では、自然災害の救助や大きな行事等の交通整理や補助等です。
コスタリカ、エレディア。中筋真紀さん
「ありません」
第二次世界大戦後の1948年にクーデター防止、内戦に対する反省、軍備経費削減などを理由に軍隊廃止の宣言を行い、そして翌年軍備放棄をうたった平和憲法を制定。1983年に当時のモンへ大統領が『永世・積極的・非武装』中立宣言しました。
再軍備化の危機も数回経験し、一時は準軍隊化した警察隊や右翼団体が存在していた時期もありましたが、86年以降は完全に廃止され、現在は軍隊の保持はないと考えてよいと思います。
軍隊を持たない事への誇りは高く、「コスタリカに軍隊は必要ない」という考え方は、もうコスタリカ人の文化といえます。
学校教育における民主主義的な考え方の徹底、そして家庭内でも、悲惨な内戦を体験した世代が、コスタリカは軍隊を廃止して本当に良かったというメッセージを次の世代に伝えていることも、それを支えている気がします。
軍備廃止したことで、軍事予算を教育と医療につぎ込むことができるようになり、コスタリカ人の生活状況が目に見えて良くなった。その実感と「コスタリカが軍隊を廃止し、平和な国になったからこそ、それが実現した」という信念をもっている国民が多いと思います。