2014/9/12 保育士マークのHidden Story

今週は、生まれたばかりのマーク……保育士であることを周囲に知らせる「保育士マーク」のHidden Story。

「保育士マーク」のステッカーは、青をベースにした円形で、真ん中に黄色いタンポポ。そのすぐ横にハートの形をした白いタンポポの綿毛。緑のくきの部分は、ひらかなの「ほ」。そして、「ちいさないのち、みんなで大きく育てよう」と書いてあります。

そんな「保育士マーク」。
作ることになった理由を、asobi基地の代表、小笠原舞さんに伺いました。

asobi基地にいる保育士とミーティングする中で――電車の中の出来事で、泣いてる赤ちゃんにお母さんがすごく困っている状態。まわりの人は誰も助けられなくて、自分が保育士なんだけど何にもできなかった――と言ってそこで相談してくれたのがきっかけで。

で、その時に、「じゃあ、マーク作れば良いんじゃない?」という提案をして、妊婦さんのマークみたいな感じで、みんながマークとして知っていて、それを保育士が持って認知が広がれば、お母さんのほうからも「保育士さんなんですか、手伝ってください」と声をかけやすいし、こっちも、もしそれが知られていれば、「わたし保育士なんです」とお手伝いできたりするので。

この「保育士マーク」。
小笠原舞さんが続けてきた「asobi基地」の活動の延長線上に出来たものでした。

2012年の7月からやっていて「大人も子どもも平等な場、asobi基地」という事で、子育てコミュニティなんですけど、東京都内を中心に色々な場所で開催する移動式保育園のような形でやっていて。

「色々なママ達の声を聞きたいよね」という話から始まったんですよ。

で、お母さん達に聞いてみると、遊ぶ場所に困っているとか、保育園でなかなか聞けないことがあるとか、そういった声が聞こえてきて。とにかく、どこか特別な場所に行かないと体験できない事ではなくて、ダンボールとか、紙皿紙コップ洗濯バサミとか、「こんなので遊べるんだ!」と、おうちまで持って帰ってもらって、つながりがある。で、子どもたちは遊びを持って帰り、「あ、こんなに集中出来るんですね!」と言いながら、お母さんたちと保育士がコミュニケーションを取っていって。

そうすると、色々、出てくるんですよ。
育児相談とか、今の困り事とか。
そういう事を、子どもが遊んでいる隣りでやっていったりとか。

asobi基地を始めた当時、保育士として働いていた小笠原さん。
忙しい毎日のなか、活動を支えたのは、「とにかく、子育て中のママやパパの声を聞きたい」という想いでした。

1人のお母さんが悩んでいる事って、もしかしたら、もう何千人も同じ事で躓いた経験があったりとか、今、それで悩んでいる。もしくは、これから、そういう悩みが出てくる人たちに、1つ1つの答えというか事例を、みんなでシェアしたら、「色々な答えがある」という事が、子育てってそういう事だと思うし、その辺って大事なんじゃないかな?という事をすごく感じて。

だったら、親子で来てもらって、子どもが遊んでいる中で、保育士としての現場として培った経験値は価値があると思ったので、それをお裾分けする場として外でやってみたという感じですね。

言わば、移動式の保育園のような形でイベントを行う「asobi基地」。
代表の小笠原舞さんは、活動の中でこんな事を感じています。

asobi基地は、昔みんなが地域で行われていた子育てのあり方、地縁、土地の地の地縁の中で当たり前に行われていた事というのが、現代版に、大事なコミュニケーションの事とか、隣りの人に怒られるとか、他のお兄ちゃんの事を知ってるとか、それをそのまま昔に戻すことは出来ないので、それを現代版にして。

今「マンションで誰が隣りに住んでいるのか分からない」っていう時代の中で、でも、たぶん大人達もそうじゃないほうが良いって思ってるって事だと思うんですよ。
ここに、asobi基地に、これだけ来る人がこんなにいるというのは。

「本当はみんな気付いているけど出来ていない」っていう社会の課題があると思うので。

地域全体で子育てをしていた、かつての日本。
それを現代版にしたのが、asobi基地。

その活動をする中で生まれた「保育士マーク」は、街で困っているママやパパが、保育士さんに助けを求めやすいようにと作られたもの。
つまり、そこに込められたのは、親だけでなく、他の人も助け合って子育てをしよう、というメッセージです。

「物質的にもお金的にも豊かな国なのに、なんか豊かじゃないよな」っていうのは、みんな思っていると思うんですよね。

そういった中で、子どもたちっていうのを真ん中に置いて、自分に何が出来るんだろうと、家族のためでも良いですし、企業の中でも良いですし、街中でも良いですし……今の子どもたちが育つ環境は、今の大人にしか作れないので、そこにどうアピールしていくかは常に考えています。

本当の豊かさはどこにあるのか。
昔のような地域コミュニティの復活は、難しいかもしれない。
でも、何か方法はあるはずだ。

小笠原舞さんが保育士としての経験を活かしてつくった「asobi基地」と「保育士マーク」。

子どもたちが健やかに成長できる世の中のために。
挑戦の日々が続きます。


お聞きの保育士さんで、自分もそのマークをつけてみたい!と思われた方。
取材させていただいた小笠原さんは、
「できるだけ、実際に会って、想いを分かち合って、マークを渡したい」
とおっしゃっていましたので、まずは、asobi基地へお問い合わせください。

また、asobi基地に参加してみたい、と思われた保護者のみなさん。
こちらも同じく、1度ご連絡をお願いします。

asobi基地 オトナもコドモも平等な場所
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