オーストラリア西海岸にある、シャークベイ。
貝殻のビーチの上で、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。あたたかい飲み物を飲もう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
パースから北に800キロメートルあまりにあって、東京都と千葉県をあわせたぐらいの大きさの「湾」。パースから小型飛行機でおよそ3時間の秘境です。
もともと人間がほとんど寄りつかない場所だっただけに大自然が手つかずで、残っています。
世界遺産シャークベイにある「シェルビーチ」は、白い小さな貝殻が一面に敷き詰められたビーチ。4000年前から少しずつ積もり積もって深いところで10メートル、全長は100キロメートル以上におよびます。
また、35億年前から生息する「ストロマトライト」は水際に広がる無数の岩の塊のような古代生物です。
なかなか見ることができない大自然の驚異を味わうために、旅慣れた観光客が世界中からやってきます。
オーストラリア開拓時代に思いを馳せ、大自然の中では、キャンプ・ファイヤーで沸かしたお湯で入れた紅茶を飲んでみましょう。
身の回りのものを持ち歩く旅人や、牧場の雇い人などが移動中にキャンプ地で飲んだ紅茶「ビリー・ティ」。コーンビーフなどの空き缶に、取っ手をつけたカップにたき木で沸かしたお湯と紅茶の葉を入れます。そして、すぐに取っ手を持ってグルグルと回し、遠心力で紅茶の葉を缶の底に沈めて飲むのです。
シンプルかつ、いかにも野性的な飲み方だけに、慣れないとお湯がこぼれてやけどをしてしまいそう。道具を極限まで減らす、ということで生まれた「ビリー・ティ」は、レストランはもちろん、家庭でもあまり見かけませんが、紅茶のブランド名にもなって、オーストラリアではポピュラーです。
澄んだ空気と一緒にどうぞ。
カップを回しながら、紅茶を入れるときには、「何回、回すのが良いとか」「そのスピードはこれくらい」などというこだわりが、人それぞれにあるようです。