2014/9/26 世界のいじめ対策事情

2011年の9月28日、いじめ防止対策推進法が施行され、
そろそろ3年がたちます。SNSが普及したことで、新たな局面に
入っているかもしれません。果たしてあの国では「いじめ」はどうなのか。
今朝も2カ国をコネクトしてお送りします。

「いじめ」はありますか?

アメリカ、ニューヨーク。中村英雄さん
「増えつつあって深刻な社会問題になっています」

どのような問題が起きていますか?

英語で「いじめ」は「Bullying」と言います。
特に、校内いじめや子供たちのいじめに関しては、ニュースでも時折伝えられるような、いじめに端を発する乱射事件や自殺が後を絶ちません。

まず、校内いじめの現状ですが、小中高生の4人に1人がいじめの被害にあったことがあり、いじめが最も多発するのは小学校6年生から高校1年生までの年齢層。
内容をみると、その77%が言葉による暴力。そのうち14%が重傷のいじめで、被害者を自信喪失、登校拒否、鬱病、自殺(いじめによる自殺を意味する「Bullycide」という言葉も……)などの状態に追い込んでいます。

いじめの理由は、主に人種、性別、性的嗜好、宗教の違いなどですが、他にも様々な理由があるようです。
いじめ発生に際して教師や学校側の介入があるケースはわずか15%で、ほとんどのいじめは放置されています。

最近は校内だけでなく、ソーシャルメディア(Twitter、Facebook 等)を媒介にしたいじめ「サイバーブリング」が急増。全生徒の85%がインターネット上でのいじめ経験ありという状況です。

対策はあるのでしょうか?

こうした状況は、ますます問題視されており、家庭、教育現場の双方から、いじめ防止に心がけようとの呼びかけは近年、盛んになっています。

アメリカらしいのは、とにかくオープンにするところですね。
まず大事なのは、いじめがあったら誰かに相談すること。校内カウンセラーや公的な相談所は、積極的に門戸を開けていじめ相談に応じています。

いじめの原因追及や根本的な解決を試みても、時間がかかるばかりなので、「まず、被害者を保護し、いじめから切り離すアクションをとるように」というキャンペーンが盛んです。

これは学校に限らず会社でも同じです。
職場内いじめの大多数は、上司によるパワハラです。

Workplace Bullying Instituteという団体は、ウェブサイトを立ち上げて、いじめに悩む会社員の救済に乗り出しています。「雇用者に対し合法的な抗議、時には訴訟をすべし」と奨励しています。「いじめは生産効率にマイナス」との見方を前面に掲げ、経営者の利害を逆手に取って、いじめの撲滅を勧めているわけです。「合理的にアクションを起こせば、被害者が泣き寝入りする必要は全くない」とのアプローチは、ある意味、心強いです。

「いじめ」はありますか?

スウェーデン、ストックホルム。 矢作智恵子さん
「学校や職場であることはあります」

少ないのですか?

国際的な比較では、学校などでのいじめは少ないという結果が出ているようです。

これには、スウェーデンがいじめの予防対策をしていると背景があります。
つまり、いじめを子供たちの個人の問題としてとらえるのではなく、いじめた子供たちと、いじめられた子供たちの心理や家庭を調べて『いじめ』を理解することに焦点を当ててきたことが要因となっています。

予防対策について教えてください

1クラスの人数が多すぎるとか、権力の上下関係があるとか、学校側にもいじめの原因があるのでは?ということが理解され、検証されるようになりました。
いじめを、単なる中傷を学校の規則の問題として終わらせず、人権に関する『犯罪』として捉えられるようにもなりました。

学校で起こったいじめの解決は、学校を管理する自治体、私立の学校の理事会が行っています。学校でのいじめ対策としては、休憩時間の監視システムがしっかり導入されていたり、先生にはいじめ対策に関する特別な役割が与えられています。また、いじめが起きた時に、調査、対策、フォローアップする体制がどうなっているのか、生徒や先生にも明確になっているようです。