今週は、高知県で生まれ、今年 東京でも大人気となった「ランチパスポート」の Hidden Story。
その生みの親にお話を伺う事が出来ました。
「ランチパスポート」。
ページを開くとそこには、ランチが食べられるお店がひとつのメニューとともに紹介されています。ポイントは、「ランチパスポート」を提示すればそのメニューがワンコイン=500円で食べられるということ。
この仕組みを発案したのは、高知県高知市の株式会社「ほっとこうち」。
その始まりを、「ほっとこうち」の山本真志さんに教えていただきました。
ランチパスポート自体が生まれたのは、2011年の4月25日に高知県で初めて発行させてもらったんですけど、その当時ですね、高知も全国と同じように景気が厳しくて、特にランチ店さんから悲鳴が聞こえてきていたんですね。高知のお店を集めた 最初のランチパスポートには70数軒が掲載されました。「ランチタイムに、外食される方が非常に少なくなってきている」と。
ウチのほうが地元で10数年タウン情報誌を作っていたので、「何かしら特集を組めないか」という声が上がってきていた時に、ちょうど、ウチのほうでも別冊と言われるムック本を発行する予定があったので、ランチを切り口にした企画としてランチパスポートを企画させてもらった、というのが経緯ですね。
ただ、「単にお店を紹介するのは、面白みがないよね」というのは悩んでいたところですよね。
ということろで、ランチ店とも何店舗か話し合っていたなかで、ランチに巡ってもらいたい、というところから……正直言うと「名前が先にありき」でした。ランチパスポートっていう……であれば、はんこを押してもらえる、スタンプラリーのような事が楽しいよねと。
もともと、タウン情報誌を発行している関係で、高知県内のランチ店とは、お話が出来る状態だったので、基本、一軒一軒、企画提案書を持って話しに行くと。
「通常のメニューでいくと750円くらいのメニューを、期間限定で500円にしてください」と。
「何人くらい来るか分かりませんけど」と。「まあ、大して来ませんよ(笑)」という流れで話をしていたんですけど、ふたを開けてみたら、1日20人30人。多いところでは80人くらい来ちゃったんで、しこたま怒られましたけど(笑)。
誰もそんな事になるとは正直思っていなかったので。
初めて世に出たランチパスポートは、初版の1万2千部が完売。
制作側の予想も、飲食店側の予想もそして販売する本屋さんの予想もはるかに上回る反響でした。
勢いにのって 高知県で続々とランチパスポートを発行。
やがてその噂は全国へと広がりました。
東京に地方のタウン情報誌が集まった会社があるんですね。
そこで毎回、事例発表をするんですね。各エリアで売れた本、売れた特集という時に、ランチパスポートを紹介させていただいて。
高知県って、後ろは土佐湾、太平洋ですよね。前は四国山脈で、陸の孤島なんですね。市場も非常に狭いなかで、「外に仕事を広げていくしかない」とずっと考えていたところで、高知でウケるということは……どのエリアでも同じようなランチ店さん、苦労されているというのを聞いていたんで……どのエリアに持って行っても売れるんじゃないか?という事で、商品パッケージ化させてもらって。
っていうのが最初のきっかけですね。
全国に広がって行った。
高知で生まれ 全国に広がる「ランチパスポート」ですが、大きかったのは、今年春の東京進出でした。
今年(2014年)の4月の新橋、虎ノ門が初じゃないですかね。
7月に渋谷、新宿、その次、赤坂、それが3カ月ごとに出てるんで、都内に関しては、品川・田町、市ヶ谷、銀座築地版とかというのも、この10月末に初版を発行して、もうすぐ完売の世界で動いてるんで、当初、「銀座で500円ランチ?」というクエスチョンマークも出ていたんですけど、もともとランチパスポートが、地元で働いている方が地元で外食をする本なので、それ用のお店というのが、かなり、実は隠れたところにあって。
全然知らない店が非常に多く載っていて、グルメ本としても使えてかなり好評でしたね。
東京で発行されたことで「ランチパスポート」は、さらに加速。
この1年ほどで、一気に拡大しました。
累計、100万部以上。
全国的に見ても、出ていない県は、あと僅かです。
やはり東京で出るっていうことは……逆はあるんですよね……「東京から地方に」っていうのはあるんですけど、「地方から東京」っていうのは出版業界ではほとんどなかったんですよ。というのが、こちらとしても気持ちよく、面白く。
ランチパスポートの発案者、「ほっとこうち」の山本真志さんは、これまでを振り返ってこう語ります。
実際ね、本を使っている方とファンミーティングという名の下に集まって話し合いをするんですよ。
そこで聞いてても、安くなるから行くという方は3〜4号目までです。
それ以降は、自分たちなりの楽しみとしてランチパスポートを持ってランチ巡り。
当初、我々が遊びで考えていた部分の使い方をみなさんしていただいているみたいで。やっぱり、ランチって1人で行かないらしいですね。
誘うのにもってこいのツールになったみたいです。ユーザーも遊び、僕らも遊び、できれば掲載しているお店も遊んでもらいたいですよね。
家族で使われている方も多くて、かなり付箋を貼って。「そういう使われ方をしているんだ」と目の前で見て、そういうお店を増やしたいなとも思いましたし。
ランチタイムの楽しみが、全国に広がっていく。それはつまり、商店街の飲食店に人が集まる、ということです。そして、ともに食べれば、笑い声も 飛びかいます。
おそらく、それが、大ヒットの秘密。
ランチパスポートは、人と人をつなぐパスポートだったのです。
ランチパスポート。
本屋さんなどで発売されていますが、新しいものが出ると、割とすぐに売り切れてしまうほど、人気になっているそうです。
現在、発売が控えているのは、
銀座・築地版が、2015年1月5日発売予定。
市ヶ谷・飯田橋版が、2015年2月1日発売予定。
さらに、東京・丸の内版の制作も進んでいるという事です。