九州の佐賀県北部の唐津市。
玄界灘を望んで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。カラダを暖めるものを食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
古くから中国や韓国との交易で重要な港として栄えた唐津。
安土桃山時代に、大陸から渡ってきた陶芸の技がこの地を中心に花開き、400年以上にわたって伝統的な土を使って生産されています。
唐津の「やきもの」の魅力は、土の風合いを生かしていること。
佐賀県ではこの他にも、近隣の伊万里や有田などで細やかな絵付けが施された美術品の陶磁器や、ふだん使いのモダンな食器の「やきもの」で有名。連休などには唐津市を含めた県内で、陶器市が開かれ、一年を通じて窯元をめぐる観光客が全国から訪れます。
もともと唐津の集落で、人々が集まる時に作ったのが郷土料理の「だぶ」という汁物の料理です。
しいたけ、里芋、にんじん、ごぼう、れんこんなど、主に根菜を中心とした季節の野菜を細かく刻んでいれ、そこに鶏肉や魚介類などを入れてしょうゆ味で煮込みます。
昔は結婚式をはじめとするお祝いの席などで振舞われましたが、根菜が旬を迎える冬がいちばん美味しい時期です。
基本の食材は、それぞれの家庭にある有り合わせの野菜をベースに作るのが一般的です。
ただし、煮くずれしない食材を選ぶこと、煮立ってから溶いた片栗粉を入れてとろみをつけること、これが「だぶ」の決めてとなる作り方です。
体の芯から暖まるように、あつあつの汁をやけどしないように、どうぞ。
「だぶ」という名前の由来は、汁が「だぶだぶ」といっぱい入っているというところからきたのだとか。