イタリアの北東部の、ヴェネツィア。
広場の真ん中で、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。新年を祝うものを食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
100以上の島々が、およそ400の橋と150を超える大小の運河で結ばれている「水の都」。小舟のゴンドラがゆっくりと行き交う運河では、船頭さんが歌を唄うという光景がおなじみです。
ヴェネツィアの中心にあるのはサン・マルコ広場。サン・マルコ寺院、ドゥカーレ宮殿、博物館、時計台などに囲まれたこの広場は、世界中から観光客が集まります。
普段の朝はカプチーノと甘いパンというのが定番のイタリアの人々ですが、年越しには特別な料理があります。それはレンズ豆と、ソーセージの煮込み。イタリア全土で1月1日に食べる習慣があるとか。
レンズ豆は「金貨」を表し、脂肪がいっぱい詰まったソーセージは「富」の象徴とされ、金運を呼び込む意味があります。
新年を迎えて真夜中に食べ始めるので、調理は大晦日の仕事です。
乾燥した緑色のレンズ豆を戻して、時間をかけて柔らかくし「コテキーノ」という種類の大きなソーセージと一緒に煮込みます。少量のトマトソースと、塩胡椒で味付けし、汁気がなくなるぐらいまで煮込んだら出来上がり。出来上がってからすぐ食べるより、しばらく置いてからの方が、食材の味が馴染んで美味しい、という人も多いので、1日で食べきらない家庭がほとんどです。そこで2日の朝にも食卓に登場します。しっかりと味が染み込んだたくさんのレンズ豆をパンですくって召し上がれ。
ソーセージの代わりに「ザンポーネ」と呼ばれる豚足に詰め物を使うのも、地方によってポピュラーだとか。