2015/1/30 世界の撤回事情

2014年の1月30日。STAP細胞の論文が科学雑誌「Nature」に掲載されました。
あれからちょうど1年、たくさんの事件が起こり、STAP細胞の存在自体、根本的に否定され、その論文も撤回されて今に至ります。さてそういった「撤回事情」。あの国ではどうなのでしょうか?
今朝も2つの国をコネクト。

撤回された科学的な発表はありますか?

ドイツ、ミュンヘン。鎌田治朗さん
「ヘンドリック・シェーン問題です」

どんな事件でしょうか?

日本で先日話題になった、STAP細胞事件と似ています。
2002年、ヘンドリック・シェーンという若手の科学者が、超電導研究において大発見をして、後にその発見が捏造だったという事件。

シェーンは科学界のエリートだけが集まるベル研究所に勤務しており、その発見はノーベル賞は確実というくらいすごいものだった様です。シェーンの実験は、発表後に世界中の研究所で試されたらしいのですが、誰1人成功しませんでした。それでも多くの研究者は当時スーパースターであったシェーンに対して自分の知識が追い付いていないと思って信じていました。

それが一転、ある研究者が彼の論文の中でデータが繰り返し使われている事を発見しました。
告発を受けてベル研究所が調べたところ、24論文中16が捏造である事が分かったのです。

捏造がすぐに発覚しなかった理由は彼の研究が最先端の分野だった為、専門家がいなかった事、そして余りにも賞賛の声が高かった為に疑問を抱いていた科学者も声をあげられなかったのが理由のようです。最終的にシェーンは研究所を解雇されています。

撤回された科学的な発表はありますか?

韓国・ソウル ヤン・ジョンミさん
「ファン・ウソク教授の科学詐欺事件です」

どんな事件でしょうか?

ファン・ウソク元ソウル大学教授の「科学詐欺」事件は、すでに法的な判断は終わっています。
詐欺は有罪。ソウル大学の罷免も正当であると確定された判決でした。

しかし去年(2014年)の2月、アメリカでファン博士の1番のES細胞が特許として認められたりして、韓国の国民も何がどこまで真実なのか混乱しています。

道徳的にも倫理的にも非難する側と、過激にファン博士を支持する側が極端に分かれています。

今も影響がありますか?

そんな中、去年10月にはこの事件をもとにした映画が韓国で公開されたり、10年経った今でも事件は続いています。

いずれにせよ、世界的にも話題になったこの事件のせいで、韓国の生命工学の研究・開発への投資や支援などもストップし、技術発展が遅れてしまったことについては皆が残念に思っています。