1989年の2月9日、日本の漫画、そしてアニメーションの第一人者である手塚治虫さんが亡くなられた日です。享年60歳でした。 それから今年で26年。今では国際的な日本文化として、海外戦略の重要なポジションを占めるまでになりました。日本人としてはあまりに身近な存在ですが、実際に海外での浸透度はどうなのでしょう。「ジャパニメーション事情」。
今朝も2つの国をコネクト。
アメリカ、フロリダ。大西良子さん
「特に若者(30歳くらいまで)の間で人気です」
日本好きの学生はほぼ100%アニメがきっかけといっても言い過ぎではありません。
今、日本と聞いて「富士山、芸者」という人はゼロです。
1990年代は「トヨタ」「ホンダ」でしたが、21世紀になって「ポケモン」。アニメを日本語の授業に使うかどうかということで、日本語教師の間でもいろいろ議論がなされています。
アメリカ人の中で日本好きというとちょっと変わった人というふうに見る傾向もあるけれど、日本のアニメは確実にアメリカの文化の一部になっています。
その昔ロサンゼルスで割とブームの初期に日本の漫画を英訳しはじめたアメリカ人の男性に取材したとき、「漫画のよさは、子ども(10代も含む)にしかわからない、オトナにはわからない、成長期になる人の心のヒダに入る内容だからだ」と断言していたのを覚えています。
基本的に、英訳(あるいはスペイン語訳)されているセーラームーン、ポケモン、ドラゴンボール、コナン、NARUTOなどは多分100%知っています。メキシコでポケモンを見て育ち、アメリカに移住したメキシコ人家族などはその典型。そうした子どもたちが20代半ばになっています。
また、宮崎駿のシリーズも根強い人気だが、これはテレビアニメというよりは映画作品、派生するキャラクターのグッズを持つという流れです。
とにかくインターネットの普及で、ネットに出るとすぐに広まるようになりました。
ただ、ドラえもんが昨年秋からディズニーチャンネルで放映されていると聞いていますが、今ひとつ目に見える現象には出会っていません。また出て間もないものたとえば「妖怪ウオッチ」などはまだイントロの段階。
フランス、パリ。ドゥヴィアンヌ園子さん
「すでに20年以上の歴史があります」
ドラゴンボール、ピカチュー、そして宮崎駿はアニメの神様みたいです。
昔、フランス人の少年からゴルドラックは日本のアニメのヒーローロボットだと教えてもらったのですが、日本では40年近く前の作品で、グレンダイザーと呼ばれているそうですね。
また、漫画のフランス語版もすごい数が出版されています。ワインマニアの漫画「神の雫」フランス語版を夢中になって読んでいる食通のムッシューとか、私にはいつも驚くべき現象として写ります。
例えばアルノー君、35才。彼は不運にも20才で脳溢血になり車椅子で生活になってしまったけれど、視力が衰え字幕を読むことができないために以前から好きだったNARUTOアニメを見る楽しみが高じて、日本語の勉強をはじめたそうです。ゴルドラックやNARUTOを見て育った若者たちが今働き盛り。
パリの日本食街でお弁当屋さんやラーメン屋さんに昼時に並んでいるのは日本人でなく、こういう若者達なんです。日本に行ったことなくても、日本の食べ物はアニメや漫画で知ったのがきっかけみたいです。だから寿司よりも、弁当、おにぎり、たこやき、餃子が人気になってきています。