今週は、ティラミスとロールケーキが合体した「ティラミスロール」のHidden Story。
異なる種類のスイーツをかけあわせた、いわゆるハイブリッドスイーツが数多く登場し、話題となっていますが、今日ご紹介するティラミスロールは、ティラミス × ロールケーキ。洋菓子を手がける「アンリ・シャルパンティエ」の姉妹ブランドである「シーキューブ」が販売する商品です。
この「シーキューブ」、どんなブランドなのかというと……
シーキューブというのは、ティラミスを代表商品として販売するブランドです。ティラミスを作り続けて27年でして、一番はじめは、イタリア菓子ということで進めていたんですが、ふと売り上げを見るとティラミスが一番ダントツっていうくらい販売できている、というのが大きなところかなと思っています。やっぱりお客様に求められているものを販売するべきだと。
そうお答えいただいたのは、株式会社シュゼット、シーキューブ事業部の今井崇人さんです。
ティラミスづくりに力を注いできた「シーキューブ」。
「ティラミスロール」を開発するきっかけは……
みんなで話している中でポンと出てきたもの—こんなのできないかな—というような。
「ティラミスで何か面白いものできないかな」という、雑談の中からできた商品かなと思っています。
「ティラミスを ロールケーキにできないか?」
気軽な思いつきから商品開発が始まりました。
しかし、ここからが大変だったのです。
株式会社スタジオ・シュゼットの製造部、関西をベースに勤務されている、田村貴さんにうかがいました。
はじめは本当にティラミスの配合を使ってロールケーキに一回目したんですね。でも、ロールっていうのは巻くという作業が出てくるじゃないですか。巻いても今のティラミスの配合では巻けない、やわらかすぎて、 全然巻けなかったです(笑)
みなさんもご想像された通り、ティラミスは、ロールケーキにするには、やわらかすぎたのです。
大きな 発想の転換が必要でした。
「巻くっていうのがロールケーキなんか?」というところから入りまして、「別に巻かんでもいいやん」と僕自身で思って。「巻かなければ出来るんじゃないかな」というところにたどり着いて。そうしたら、クリスマスケーキのビュッシュ、ビュッシュドノエルってあるじゃないですか、あの形からとったらどうなんかなと発想を変えまして、型にビスキュイを貼り付けて、その中にクリームを入れたらできるんじゃないかなということで、今の形ができたんですね。ビュッシュドノエルで使う型を使ってみようと。
でも。問題はやはり「かたさ」でした。
開発の人は何回も作ってもらって「これいいだろう」と持ってきて、「いや、ここをこうして欲しい」その繰り返しですので。まず記憶にあるのが、ティラミスの固形製を保たないとお客様にご迷惑をおかけするので、もうちょっと固くできないですか?と。
固くすれば、それはそれで問題がありました。
スポンジが固過ぎて巻きづらいというのがあって、完成したものを食べても舌触りが思ったよりも固いというのがありまして、スポンジの配合を変えました。
ロールケーキって食べた時にクリームとスポンジのバランスって絶妙じゃないですか。その絶妙なところを探して、クリームを入れて作っての繰り返し繰り返しでよしこれでいこう、というスポンジの粉の量が見つかったんですね。
あとクリームのほうが、生クリームとマスカルポーネと隠し味でメープルシロップを入れているんですね、それでいこうと思ったんですけど、コクが少なかったんですね。ティラミスに卵黄が入っているんですが、それをほんのちょっとだけ入れることでコクが出て、クリームが完成するに至ったんですね。
固過ぎれば、それはティラミスではない。
やわらかすぎれば、ロールケーキにならない。
ティラミスの達人が その微妙なバランスを考えて作りあげたのが「ティラミスロール」です。
その中には、美味しいものを届けたい、という情熱が巻き込まれているのです。