フランスの中心部にある、ブルゴーニュ地方。
ブドウ畑の斜面を望んで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。簡単な朝ごはんにしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
パリの南東およそ300kmの場所に位置するブルゴーニュ。
ボルドーと並ぶ、フランスワインの一大産地として知られます。
中でも高級ワインのブドウ畑とワイナリーのすぐそばを走る道は、「Route des Grand Crus」(最上級の街道)と呼ばれ、世界中からワイン愛好家がやってくる場所です。
郷土料理や食材も豊富で、ワイナリーを中心とした地域の周辺はグルメの舌を満足させる一軒家のレストランや、古いお城を改装したホテルなどが点在しています。
一般的にフランスの朝ごはんは、クロワッサンなどパンをつまむ程度の軽い食事ですませます。
ここブルゴーニュでの名物は「パン・デピス」というたっぷりと「はちみつ」を使った、香辛料入りのお菓子。
英語圏では「ジンジャー・ブレッド」と言われますが、フランスでも地方によって作り方が若干異なります。ブルゴーニュの中核都市のディジョンには、「パン・デピス」専門店が数軒あってそのレシピは数百年にわたって続いているのだとか。
シナモン、アニス、ショウガ、カルダモン、コリアンダー、クミン、クローブ、ナツメグ、黒こしょうなどなど、たくさんのスパイスを小麦粉と「はちみつ」で作った生地に混ぜて焼き上げます。
パウンド・ケーキのような重みのあるしっとりした「パン・デピス」を、食べる分だけスライスしていただきましょう。ほのかに甘い香りと、たくさんの香辛料が織りなす複雑な味わいが、口の中に広がります。カフェオレと一緒にどうぞ。
小型の「パン・デピス」の中にジャムを入れ、表面を砂糖で固めた「ノネット」という伝統菓子も人気のようです。