2015/3/13 IIE の Hidden Story

今週は、会津木綿を使った商品を扱うブランド「IIE」の Hidden Story。

IIE と書いて、「イー」。
福島県の会津坂下町にある会社です。 代表取締役社長は、谷津拓郎さん。

会社自体は2013年の3月に創業、登記しまして、その前の活動としては、2011年の末から始めておりました。

会津木綿のストールを中心に作っている会社です。会津木綿のストールの他に、会津木綿のご祝儀袋と、あと、ストールを作るときに出てくる横糸を使って、アロマペンダントを福岡のタビノキセキさんと一緒に作っております。

2011年、東日本大震災が発生した時、谷津さんは東京の大学院生でした。
卒業までの間、ご実家のある会津に戻っていた時に地震が発生しました。

福島第一原発が立地する大熊町などから3,000人以上が会津に避難。そして……

まず体育館に避難して、そのあと仮設住宅に引っ越すというタイミングがあって。
ちょうど、その仮設住宅に引っ越して「体育館には誰もいなくなった」というようなところからは、そういう仮設住宅に入って、知らない土地で知り合いもいない中で、その方たちが「何もすることがない。というのが辛い」というのを伺っていて。

それと、カフェと雑貨屋を始める知人がいて、その方が会津で「おしゃれなもの、かわいいものがない」というのを聞いていて。

その2つを合わせていくと、会津木綿のかわいいおしゃれな雑貨を作って、それを仮設住宅の手仕事で作っていただくことで生き甲斐づくりになればということで始めました。

谷津さんは、町づくりのNPOで働くかたわら、会津木綿をつかったグッズを作る計画を 実行に移しました。

当時、一年も経っていない状況だったんですけど、そういう支援みたいな販売の仕方では続かない、というのもすごく分かっていましたし、そうじゃなくて違う売りというか特徴というか強みが必要だなと思っていて。

そこで、僕も地元のものを使いたいというのがあって、その中で探して漆とかから、むし織とか色々あるんですけども、会津木綿というのは加工もしやすい、ミシンでやればいろんな形になる。加工のしやすさ、あと地元のもの、伝統のもの、ということで会津木綿を選びました。

最初は、ハンカチなどを作っていた「IIE」ですが、その後、変化が訪れます。

1つ目の変化は、ストールっていうものが生まれてくるんですけど。

ストールは、縫製ができない方がいて「みんなでやっていこうよ」ということで、やっていたけども、「私は縫製ができないから、もう、みなさんに迷惑をかけるからご遠慮したいです」というお話をいただいて、ちょっと、それだと意図と違うなと思って。

そうじゃなくて……誰でもできる仕事というとあれですけど……フリンジだとミシンを使わなくてもできるんですよね。面倒な作業ですけど、面倒だけど時間をかけて……あと、練習すればもっと速くなる作業で。

それをやっていただくことで、ミシンができない方でもできる仕事が出来上がってきたという形ですね。このフサですね。このフサの部分を、その布の状態から解いていくという、横糸を1本ずつ取っていってそれを結ぶという作業ですね。

伝統の会津木綿を現代風にアレンジ。
後に中心的な商品となる「ストール」ができあがりました。

2つ目の転機は、株式会社化したこと。

2013年の3月で、ストールを考えてちゃんと作れるようになった時期ですね。
そのあたりが震災から2年というのがあって、支援というより「モノとして売っていく」という風潮がより高まってきたタイミングであって、モノとしていいモノを作って売っていく、という、ブランドとしてメーカーとしてちゃんとやっていくという方向性を明確に打ち出して。

なので、社団法人とかNPOではなくて、株式会社にして事業として続けていくというのが、これから先は一番価値があるのかなと思って、頑張っていこうと決めたときですね。

当初は、仮設住宅で暮らす方々の仕事づくりのためにスタートした「IIE」ですが、今後は、子育て中の方、介護で外に出るのが難しい方などにも気持ちよく働ける機会を提供したいと考えています。

最後に、会社の名前をローマ字で IIE と書いて「イー」とした想いについて教えていただきました。

復興というものが目標にあったので、311という言葉があって、それを逆さにしていく。あの時、何もできなかった悔しさが僕の中にあって。そうじゃなくて、これをちゃんと受けて新しい幸せとか、ハッピーなことを生んでいって、価値を生んでいって、ああいうことがあったから、だからこそ生まれたものをちゃんと次の世代につないでいく、という意味をこめて、そういう想いでつけましたね。

数字で311と紙に書いて、くるっとひっくり返せば、ローマ字で I 、I、E。

震災のあと、あらためて見つめ直した地元の素晴らしい伝統。
そして、必要とされていた新しいつながり。

やわらかな会津木綿が、人と人をつないでいます。


ストールが主力商品、ということですが、ネットショップでは30数種類が販売中です。まだまだ肌寒い日がありますし、このあとお花見の季節などにも活躍してくれそうですね。 IIE