日本のステーショナリー。いわゆる文房具は世界でも高い評価を得ています。海外のお店でメイド・イン・ジャパンを見ることも多いのではないでしょうか?
そんな「世界の文房具事情」、あの国ではどうなのでしょうか?
今朝も2カ国をコネクト。
アメリカ、ニューヨーク。中村英雄さん
「あまりないようです」
日本と違って文房具を買うとなると、Staples や Office Depot などオフィス事務用品専門の量販店にいくのが通常です。東急ハンズのように、こだわりを持って文具の博覧を提供してくれるわけでもありません。市場に出回る文房具もデザインが野暮ったく、作りが粗雑で、完成度を求めません。
その理由は文具は学校が支給するからだと思います。
鉛筆、ノートは必ず教室に配備されており、教科書と同様、無償で子どもたちは好きなだけこれを使うことができます。
これらを用意するのは担任の教師の仕事であること。毎年、新学期が始まる前に、先生たちは、近所の事務用品量販店に駆け込んでは生徒用の文具を購入するのです。費用は学校の予算から出ますが、なるべく安価でボリュームのあるものを大量に用意したい。そこでお店側でも「おめでとう新学期セール」と謳ってコーナーまで作り、先生たちのために、お徳用商品を準備するわけです。
そこで日本のように、「子どもたちが、新入学、新学期に胸弾ませて文具を新調する」というメンタリティーがありません。
実際に学校現場を観察するとわかるのですが、アメリカの小中学校は日本と違ってホームルーム=学級のまとまりが希薄です。休み時間も非常に短いし、中学校から選択授業で教室を移動するスタイルになっています。そのため、持参の文具があっても、それを媒介にコミュニケーションするような機会がほとんどありません。
文具だけでなく、携帯とか 絵文字とか、LINE といったハイテク分野でもアメリカは「学校が発信場所」というアイディアはありません。
幼少時の成長過程で、文具が「冷遇」にされていますから、成人してからも「文具萌え」は少ないですね。画材専門店やデザインショップなどでは、外国製のハイセンスな文具を売ってますから、美的センスの高い人たちは、そういうところに行くのでしょうが、一般人は、文具には無関心です。
ドイツ、ミュンヘン。鎌田治朗さん
「思い入れはあります」
ドイツの万年筆と言えば Lamy が一番有名ではないかと思います。
ハイデルベルクに本社を置く老舗メーカーです。
自社生産にこだわっており、品質は折り紙付きです。デザインもバウハウスデザインをコンセプトにした機能重視のシンプルなもの。ジャーマンプロダクトを代表するものの1つではないでしょうか。
他にはペリカンがあります。本社はスイスですが、生産数の半分はドイツで販売されるというくらいドイツ人にとってはメジャーなメーカーです。
ドイツでは小学校に入ると万年筆の使用を義務づけられます。
アルファベットを書くのに一番適した文房具は万年筆であるという認識が今でも残っており、教育の一環になっているのは面白いですね。
逆に日本のように鉛筆やシャープペンシルを使用しないので、消しゴム、下敷き文化がないのも特徴です。