●遂に完成したソロ・アルバム『CHASM』
日本語では「亀裂」「裂け目」という意味の言葉“CHASM(キャズム)”。今回のRADIO SAKAMOTOは、9年ぶりのソロ・アルバムを大フィーチャー、全曲解説をお送りしました。
■詳しいアルバム紹介はこちらでもご覧になれます: WAENER MUSIC JAPAN
●名物コーナーCDJスピン
世間を賑わしている楽曲を、教授がCDJを駆使して(?)紹介するCDJスピンのコーナー。今回の教授イチ押しは安藤ウメ子さんの『UPOPO SANKE (ウポポ サンケ)』というアルバム。ニューヨークでもLIVEを行うほどの世界的なアイヌのアーチスト。教授の最新アルバム『CHASM』を構成するヒントになっている究極のミニマリズムを「いいなぁ〜、いいじゃないの。カッコいい…かわいい…負けますよね」と大絶賛。
○先見対談
教授がNTT DATAのWebsiteで連載中の“先見日記”。そのラジオ版ともいえるのが、この先見対談。毎回ゲストを交えながら、日常の中に見えてくる、ほんの少し先の「未来」を語ってもらいます。
今回は、教授のニュー・アルバム『CHASM』にも収録されている「undercooled」でコラボレートしている韓国のラッパー:MC.Sniperが来日、対談が実現しました。
■教授の「先見日記」はこちらで読めます
http://diary.nttdata.co.jp/
●かっこいいラップだけど、何人なんだろう…って
MC.Sniper
1979年生まれ。2002年にデビュー。ファーストアルバムは10万枚以上のセールスを記録。2003年リリースされたセカンド・アルバムに収録されていた「BABY DON'T CRY」のTRACKで、坂本龍一「The Sheltering Sky」をサンプリング、そこから2人の交流が始まりました。
■リンク先:PONY CANIYONのMCスナイパー紹介ページ |
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「去年の5月くらいですかね、1通のEメールに、彼の『Baby Don't Cry』のMP3ファイルが添付されてて、最初はかっこいいラップだけど、何人なんだろう…と思って。後で韓国のラッパー:MC.Sniper君だという事がわかりまして…。今日はどうも来てくれてありがとう」
「(日本語で)あ、ありがとう。はじめまして」
「じゃね、まず、なぜ僕の『The Sheltering Sky』をサンプリングしたんだろう」
「メロディーがとても良くて、僕の心の中の、哀しみとぴったりハマって…」
「カムサムニダ(笑)嬉しいですね。でもね、今24才って事で、僕の事は前から知ってたんですか」
「映画『THE LAST EMPEOR』のサウンドトラックに収録された『Rain (I Want A Divorce)』がすごく気に入って、インターネットで探してダウンロードしました。それから好きになったんです」
「確か、イタリアのハウス・ミュージックのバンドにも、サンプリングされているんですよね。」
「あの曲は、リズムと僕の心臓の鼓動がピッタリと合うんです。」
「グルーヴが合うんだね」
●undercooledのリリックに込めた思い
「せっかくMC.Sniperに来てもらっているので、ラップしてもらった「undercooled」の内容を紹介してもらいたいんだけど…」
「今回の制作の時期はイラク戦争がありました。僕はすごく戦争に反対で、武力で罪のない人たちを攻撃してたくさんの人が亡くなる…特に何も知らない子供たちも被害を被るので、そういうメッセージを込めました。目を閉じて、イラクなどの戦場みたいなものをイメージするとあまりにも悲惨な現状で、そういう事を表現したかったんです」
「僕が投げかけた事が、よりダイレクトに戻って来たので、相当憤慨しているんだな…って」
「坂本さんにも気に入ってもらえてよかったです」
「で、韓国もイラクに兵隊を送っているし、日本も自衛隊を送ったけど、MC.Sniperも6月に軍の訓練に行くんですよね。気持ちは複雑なんじゃないですか」
「韓国では“灯火”を持って戦争反対を訴えたりするのですが、僕自身としては徴兵で軍に入る事は「国を守る」という使命があるので、軍に入るのは抵抗ないです」
「2年と2ヶ月の訓練か…、戻って来たらラップの内容も変わるかもしれないね」
○カリスマ・サカモト
今回からスタートした新企画『カリスマ・サカモト』。
教授曰く「この企画のコンセプトは、『RADIO SAKAMOTOの投稿作品の中から、マジでプロ・デビューさせちゃおうという時に、僕の友達の“カリスマ”の方たちに、協力してもらおう』というモノ」
第一回目のカリスマ・ゲストは、教授がいつもヘアカットでお世話になっている美容室DaBの代表:八木岡 聡さん。総勢80名くらいのスタッフと共にサロンの他、舞台やCMでも活躍されています。
●日本の若者には“欲”がある
「八木岡さんのサロンは、表参道・代官山とあるんだけど、行くとね、熱気がすごいですよね。若い子もたくさんいる…」
「そうですね。年間、何千人か面接しますね。そのうち10人くらいがサロンに入れる…」
「かつてはニューヨークとかパリにも居たわけですが、どうして8年前に東京に戻って来たんですか」
「その頃、日本のストリートカルチャーが面白くなってきたんですよ。日本の若者には“欲”がある、と思って。ある程度、ジャンルっていうのがなくなってて、かといって新しいモノを望む力があって…。特に欧米に比べると10代、20代の人たちがお金を使って『髪型を変えたい』『洋服を買いたい』という力が強いと思うんですよね」
「やっぱりそう思いますか。良くいわれる事だけど、オリジナリティはないけど…」
「オリジナリティより、なんか『欲』があるって感じがしますよね」
「世界中のおもしろいものを貪欲にもってきちゃう」
「入れちゃおう、食べちゃおう…っていう感じですね」
「そういうのは世界のどこよりも強い感じがしますね」
●音楽のジャンルを取り払って形をつくる
八木岡さんがオーディション参加者の二神りあさんをビジュアル・チェック |
「例えば、音を聴いて…その形、髪の形が思い浮かぶんですか。八木岡さんは…」
「顔をみると、なんとなく自分の中には感じるものがありますよね。」
「この子の顔で、この音楽で、こういう形にしたら…っていう感じですかね。」
「そのままの『素』の状態がイイっていうのが、ひとつありますよね。“声がいい”とか、ある訳じゃないですか。形っていってもすごい奇抜なモノをくっつけるという訳ではなくて、音楽ってとかく、だいたいジャンルで形が決まってくるじゃないですか…、RAPをやっている人、とか。そういうジャンルを少し取り払って、形をつくるという」
「僕も単純に“細いパンツを履いているから”メタルっぽいとか思ったり。悪い意味で形から入ってるんですね…」
「で、また、それでジャンルを決めるって事があるじゃないですか。」
「なるほど…。じゃあ、マジでこの番組からね、アーチストがデビューする時は他のカリスマの方たちといっしょに、ご参加願えますか」
「もう喜んで」
■DaBのWEBSITE: http://www.dab.co.jp/
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