●今回はFROM BARCELONA
今回のRADIO SAKAMOTOは、教授もライヴ・アクトとして参加した音楽とアートの祭典「Sonar」が行なわれたスペイン・バルセロナからのオンエア。Sonarとは、エレクトリック・ミュージックを含む様々なマルチメディア・アートのフェスティバル。バルセロナ市が中心となって1994年にスタートし、今回で11回目を迎える。このイベントは、いくつかの会場で行なわれ、300を越えるDJセットやライブセット、そしてマルチメディア・アート作品や映像作品のプレゼンテーションが行なわれる。昼間は、比較的実験性の高いパフォーマンスがバルセロナ市内の会場で行なわれ(Sonar By Day)、夜は会場を市街地に移し、クラブ・ミュージック系のアーチストによるオールナイト・イベントとなる(Sonar By Night)。今回の教授もこの夜の部にSKETCH SHOWと共に出演した。同時開催される<ソナー・プロ>ではエレクトリック・ミュージックを含む種々のマルチメディア・アートに関連したレーベル、ディストリビューター、プロモーター、さらに機材関連の商業見本市が行われる。世界の音楽シーンが注目するADVANCED MUSIC FESTIVAL。
■教授がみるバルセロナ〜Sonarというイベント
「バルセロナって、ダリ、ミロ、ピカソ、ガウディを輩出した街で、昔からアートとか文化が街の中心にあったんだな…って感じますよね。街の人もそういうのに誇りを持ってるし、街中にいきなりポンってあるしね…ガウディ・デザインのアパートとかが。そういう意味でもアートが生活に解け込んでますよね。そういう部分でも、Sonarがバルセロナならではのイベントって気がしますよね」
●人気コーナーCDJスピン
番組に寄せられるメールでも一番人気のコーナーが、このCDJスピン。今回もCDJをバルセロナまで持って行きました(笑)。教授がピックアップしたCDは、まずは、バルセロナのCDショップで“面出し”になっていたスペインの流行りモノから。1枚目は、Bunbury(バンブリー)というアーティストの最新の2枚組CDから。トム・ウェイツ風の世界観、歌声は、長渕剛(笑)。教授も「うーん、よくわからないすね…マカロニ・ウエスタン調なの?」。続いて、Tokyo Sex Destructionという名前のスペインのバンド。ジャケットも音も60年代風のガレージ・ロック。「子どもっぽいっすね〜いや〜いんじゃないっすか」。そして、Sonarのコンピレーション・アルバムをチェック。まずは、エレクトロHIP HOP系のコンピ『bit street』。「エレクロニカの“チリチリ”(ノイズ音)は、HIP HOPがルーツなんだよなぁ」と教授。そして、ラストはSonar 2004の公式コンピ『Sonar 2004 GTI』をスピン。KID KOALAの曲は、なんと教授の『ラスト・エンペラー』のサントラの曲をサンプリングしています。『Sonar 2004 GTI』は、7月28日に日本盤も発売予定です。
●貴重なSonar2004でのLIVE音源
今回は、バルセロナのSonarで行なわれた数々のライブ・パフォーマンスから選りすぐりの音源をお届け。まずは、バルセロナ現代美術館で行なわれていた「Sonar by day」の会場Sonar Complexの会場で収録したAlva Notoことドイツ人のCarsten Nicolaiのライブ。およそ500人ほどを収容したコンパクトな会場でおよそ1時間、8曲を演奏。ラップトップPCを操作、音楽+ヴィジュアルをひとりでコントロールして、パーフォーマンスを繰り広げてくれました。オンエアしたのは、ラストに演奏した「Autoshape」。教授も会場に駆けつけて、Carstenと旧交を温めていました。ライブを観た教授の感想は、「クラフトワークから余計なものを取った感じだよね。ドイツ人の血なのかなぁ」
つづいて、お聴きいただいたのは、今回のSonar2004の中でも実験色の強かったコンテンツ。オーディトリというクラッシク向けのホールで、Sonar2004のオープニングとしておこなわれたスペシャル・コンサート。OBCつまり、The Orquesta Sinfonica de Barcelona i Nacional de Catlunya=バルセロナ交響楽団とエレクトリック・アーティストの共演という、いかにもSonarらしいコンサート。教授曰く「今回のこの共演は、クラシックの曲を、我々がいかにハッキングするかという…こっちでは サウンド・ハッカーなんて呼ばれてたんですけどね…。聴いてないぞ!みたいな(笑)」まずは、フィンランドの2人組Pan SonicとOBCバルセロナ交響楽団の共演。教授によるとPan Sonicは、とにかく寡黙なんだそうで、「一緒に部屋にいてもずーっと黙ってるんですよ。ほとんど会話にならない。たまに、“お茶飲む?”とか言うくらい(笑)」。彼らにインタビューしたところ、「アイ・ライク・熊本オイスター!」とのこと。熊本オイスターって?海外では、熊本オイスターは、ブランドものなんですよね。Pan Sonic、いいキャラしてます。
続いては、OBCバルセロナ交響楽団と教授のコラボレーション。この組み合わせ、実は12年前のバルセロナ・オリンピックの際にも共演しています。現在はメンバーの半分近くが入れ替わり、実力も上がっている…と教授も驚いていましたが、今回の共演では、ドヴォルザークの「新世界より」と、バッハの「ブランデンブルグ協奏曲」の2曲を演奏。番組では「新世界より」をオンエア。教授はPCとアコースティック・ピアノを演奏…「新世界というのはアメリカのことなんですよ。そこにイラク音楽とノイズをミックスして、そこに背景となるSEを足してみたり、さらにピアノを即興で弾いてみたのね。これは僕のポリティカルなメッセージ」。コンサートでは、デジタルな映像もシンクロさせて、教授ならではの世界観を構築していました。
●先見対談。ゲストはSKETCH SHOWのお二人。
教授がNTT DATAのWebsiteで連載中の“先見日記”。そのラジオ版ともいえるのが、この先見対談。「先見」…ちょっと先を見るという対談、今回のゲストは、教授とともにSonar2004に出演したSKETCH SHOW、細野晴臣さん、高橋幸宏さんのお二人をお迎えしての先見放談となりました!!
高橋 |
今回は、日本から来てた人たちに“YMOやるんですよね?”って言われたんだよね。 |
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細野 |
そういう人もいる…と。 |
坂本 |
そういう人も歓迎よ〜。かなり知れわたってると…? |
高橋 |
ライブの反応は良かったですよ、じわーっと盛り上がって。 |
細野 |
ライブの後で楽屋にきて、泣いたって人がいたね。どこで泣くんだろう(笑) |
坂本 |
僕の印象では、1曲目から盛り上がってたよね?イントロからね。 |
高橋 |
番組で聴いてもらった音は、ちょっと音(エコー)がまわっちゃってるかな。 |
坂本 |
ちょっと会場が大き過ぎたかな…って思うけど。 |
高橋 |
ホールとの自分たちの相性ってあるけど、リハの時はちょっと不安だった… |
細野 |
客がドッシリ入ってくれたから、少しは良かったけどね。 |
坂本 |
だけど、こんな規模で、こういうイベントができちゃうのがスゴイよね。 |
細野 |
不思議な…オーガナイズがないような?…で、仕事が遅いんだよ(笑) |
坂本 |
オリンピックの時、1週間前に来ても何もできてなくて、2日前にいきなり出来てた! |
高橋 |
コンサートのリハも適当な感じだしね…でも本番になっちゃう。 |
細野 |
あと、必ず誰かスタッフが居なくなっちゃうんだよ。でもできちゃう。 |
坂本 |
照明さんが10分前に戻ってきたり…。ちょっと見習いたいですね(笑)。 |
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坂本 |
こういう音がもっと世界にプロモートされるといいですよね。 |
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高橋 |
Sonar By Dayは、DJがチリチリ、パチパチ言ってたまんなくイイ。 |
細野 |
普通はドン、ドンって4ツ打ち系が多いのにね。…4ツ打ちは不安になるよね。 |
高橋 |
さんざんやってたのにね〜、昔ね。 |
一同 |
(笑) |
坂本 |
いろんな刺激があるでしょ?ジャーナリストやアーチストと会ったり。 |
細野 |
僕は滅多にそういうのは感じないんだけど、ここは居心地いいね…。 |
高橋 |
実はロック・バンド系もいるんですよね。ロックっても、変わったロックよ? |
坂本 |
アメリカには少ないよなぁ…何につけ(怒?) |
高橋 |
いやね…、日本にも最近は面白いアーチストいますよ。 |
坂本 |
でもメインストリームには出てこないでしょ? |
高橋 |
もうね、そういうのは考えない!分離してますよ、昔っから。 |
坂本 |
いつも分離してるんすよね…。 |
高橋 |
ウン、だってYMOの当時もメチャクチャ変なグループですよ。 |
坂本 |
冷たい目で観られて…“ハートのない音楽”とか“機械のようだ”…とか。 |
細野 |
カッコイイね(笑)…できないもん!そんな音楽(笑) |
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高橋 |
エレクトロニカがポップスに対抗していくには、横のつながりが大切だよね。 |
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細野 |
あのね、フットワークが軽い方がいいですよ。 |
高橋 |
そうそう、縛られない… |
細野 |
気楽にね、そこにいってカフェとかでライブできれば一番イイなぁと、いつも思う。 |
坂本 |
実はクリスチャン・フェネスと、NYの家に来てもらってセッションしたんですよ。 |
細野 |
カワイイね。そんな1時間のセッションって… |
高橋 |
じゃぁ今度カフェでやるときは、教授も参加してよ。 |
坂本 |
帰国してる時だったら、パソコン持って駆けつけますよ! |
今回の「先見放談」の模様は、雑誌:SWITCH8月号(7月20日発売)にも掲載されます。
●オーディション、もう少し頑張ってください(喝!)
前回から今回までに届いた作品の中には、教授のお気に召した作品が少なかった模様。「うーん。番組で紹介したい作品は無いなぁ。しいて言えば、この竹の楽器を手作りしている林業を営んでいらっしゃる人ですかねぇ」ということで、今回、番組で紹介したのは1曲のみ(オーデション・サイトのほうでは、1次審査通過作品を何作かUPしてあります)。「ひとの真似はしないで下さいね。そういうのは、一番嫌いです。自由な発想で、作品を作って来てください。期待しているので、それに応えて欲しいですよね」
●『CHASM』INTERNATIONAL盤は、ダウンロード先行発売!
なんと世界に先駆けて、RADIO SAKAMOTOリスナーの為に、『CHASM』のインターナショナル盤に収録されるボーナストラック、新曲3曲をいち早くお届け。「17.」という曲は、なんと!17人の足音だけを音楽的に編集したかなり実験的な曲。番組スタッフが「教授、スリッパの人がいるでしょ?」。「よく分かったね。そうなんだよ。足音にも個性があるんだよね」。6月30日に iTunes Music Storeで先行ダウンロード販売になります。ぜひ、チェックを。
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