ワタシにはお腹が空くと機嫌が悪くなるという特技があります。特技じゃない? 得意技?
なので、大人としてなるべくお腹が空かないようにすると同時に、機嫌が悪くなるような出来事があった場合、それを「深みにはまらせない」ために、すかさずご飯を食べるようにしてます。わかりますか? ストレスを寸止めする。危機管理ですね。偉そうに書くほどのことじゃありませんが。
昨日もちょっとそういう「ご機嫌斜め」的な案件がありまして、ちょっと小腹も空いてまして、あーいかんいかん、このままだと自分に立腹する、と思って、17時45分ぐらいという超中途半端な時間にもかかわらずメシへ。場所は赤坂。うーん[いわもとQ]さんあたりで、さくっとでももいいんだけど、なんかこう場所に味気がないしねえ、落ち着くところで高くなくて、できれば空いてて……あったー。
赤坂見附駅横の洋食屋さん[河鹿]さん。昔からあります。ワタシが80年代に紀尾井町勤務だった頃からある。もっと前からあるに相違ない。外にあるサンプル・ケースからして年代物。店に入ると、なんだろこの雑然とした懐かしさ(笑)。
テーブルクロスは赤と白のギンガム。その上にビニールかぶせてある。壁にあるメニュー・ボードも古い。足して足してきてるから統一感なし(笑)。しかもですよ、壁に亀の剥製と鹿の頭の剥製が(笑)。えー(笑)。
こういう「高級感」って昭和の高級感だなあ。これで小判や古銭の入った額とか、鷹の剥製とか、なげしに飾る日本刀とか、洋酒のボトルから移し替えるデカンタとかあったら完璧だ。
で、仔牛のカツレツ(スパゲティ添え)とビール(もちろん瓶で頼みます)。
いいねえ。見てくれが古いもの。落ち着く。ふと見たらお皿が懐かしい。昭和40年代、ワタシの祖父母が盛岡で喫茶店をやっていた時に使ってたのと同じお皿じゃーん。たぶんノリタケ。落ち着くわけだ。
さて。スパゲティ添えの部分はまあいいのです。それより何より、パセリの横にね、あの「真っ赤に染まったチェリー」があるんですよ。うわあ、これは昭和臭い。そうだったそうだった(笑)。レモンスカッシュにもコーラにも入ってました。赤いチェリー。
寄ってみました。
というわけで、ご機嫌は直りました。肝心の味ですがまあまあです。っていうか普通。
よく「人生、あと何食喰えるかわからないんだから、一食一食おいしいものしか食べたくない」という論法を耳にしますけど、ワタシは、あれはそうでもないです(笑)。ひとりでつるっとメシを喰うときに飛び切り旨いものなど期待してはいけません。不味いのも困るけど(笑)。それより居心地やら佇まいやらも含めた、そこのとこの具合、間合いが大事。旨いものばかりを喰うことが偉いという話よりは、ダメなものや、ややダメなものをちゃんと見る、聴く、味わうことの方が好き。だってそこのところが「面白いところ」なのでありますからして。
長くなりました−。ごちそうさまであります。チェリーはご遠慮しましたけんども。