2021年05月11日
当時の若者たちにとって”青春と挫折”はセットだった。
映画監督・代島治彦さんをお迎えしています。
※リモートでのご出演です。
代島さんが監督した最新映画
「きみが死んだあとで」が
ユーロスペースで上映中です。
今夜もこの映画について伺っていきます。
小黒「この映画はどういう人に
見てもらいたかったんですか?」
代島さん「大きくは二つ。
一つは学生運動に実際に関わった
人たちや時代を共有した当事者世代。
一番見て欲しいのは、
今の若い人たちです。10代から20代、
全然違う世代がフィクションのように
感じて、実際にその時代があったことを
見て欲しい。」
小黒「今、若者たちは何らかの
動きをしようとしているんですかね?」
代島さん「日本の場合、
過激になっていった学生運動を
納めていく中で教育を含め、
若者たちをコントロールしていく
体制がプログラムされてしまった。
香港や今回のミャンマーもそうですが、
なかなか行動を起こしずらいんです。
ただ、この映画を見て、昔の日本の
学生はそれが可能だったというのを
知ってもらい、同時に愚かなことも
あったという事を知ってもらいたい。
その上で、自分たちがどう動けるのか
考えて欲しいと思います。
日本の今の若者たちは生きていくことへの
不安がとても大きいので、
道を外れたらダメなんじゃないかと
思っている。
日本はリーダーも現れなければ、
運動も構築できない。
今は、動きやすい気候変動みたいな
ソフトな問題で動き始めています。
あとは、昨年のBlack Lives Matterの
ような人権問題や、女性の人権問題。
そういう取り組みやすいところから
当事者が声をあげていくのが、
日本の場合は盛り上がっていくと
思いますし、この映画を見て、
それを実際にやって欲しい
というのを思っています。」
小黒「映画を見た実際の
若い人の反応はどうですか?」
代島さん「まるでフィクションだと言いますね。
宮崎駿の『コクリコ坂』みたいに学生が
盛り上がっていた時代があったことに
ただただ驚くといった感想です。
一つ面白い反応は、就職活動をしていた女性が、
『貴方にとっての一番大きな挫折体験を
教えてください』と言われた時、
自分は挫折した体験がないことに
気づいたと。
映画を見て、『学生運動の時代は
挫折と青春はセットだった、
挫折をするために青春をやっている
感じがあった』と……。
それに一番驚いて、自分も挫折を
するような青春の行為をしてみたく
なったと言っていた女性もいました。」
※代島監督が語った大学生との対談の
様子が下記のリンクからYoutubeでご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=nwdXYcsfD5E
==================
映画「きみが死んだあとで」 HP
http://kimiga-sinda-atode.com
==================
今夜の選曲…THE ROLLING STONES / HEART OF STONE