2021年08月02日
野口さんの最新著書「登り続ける、ということ。」について伺います。
アルピニスト・野口健さんをお迎えしています。
ーー4年前にも番組にご出演いただき、
この間も精力的に活動されていたかと
思いますが、この1年は新型コロナウィルスの
影響で活動を自粛せざるを得なかったといいます。
そんな中、今年5月に最新著書
「登り続ける、ということ。
山を登る 学校を建てる
災害とたたかう」が、
学研プラスから発売されています。
小黒:この本は何年くらいかけて
書かれたものなんですか?
野口さん:昨年、コロナで
活動がほぼ全て止まってしまい
まして、一年ドカンと時間が
空いたので子供向けの本を
書いてみようかなと思いました。
小黒:この本の中に、野口さんが
登山をしていて引き返す時の
野生の勘みたいなものがあると
思いますが、それについて
話していただけますか?
野口さん:2年前に入ったマナスルの
時は最終キャンプまで入ったんですが
天気が良くなかったんです。
温暖化の影響で登山していると
雪が降っているし、5000mでも
雨になるんです。
モンスーンと呼ばれる雨季が
あって、いつもならそれが明けた
9月上旬にヒマラヤに入ろうと
するんですけど、10月上旬まで
延びました。
雪崩の嵐の中で登っていって、
久しぶりに覚悟をしました。
登ったら100%死んでしまう
というような天候では
なかったんですが、微妙に嫌な
感じで最終キャンプまで
登っていったんです。
最終キャンプより上…8000mより
上で悪天候になってしまうと中々
帰って来れない。
テントの中で行くか行かないかを
考えてみた時に、片道は見えたんです。
ただ、夜中ずっと考えていたら
頭頂した後、ベースキャンプにいる
自分の姿をイメージすることが
できないんですよ。
僕は大体いつも、頭頂している
自分のイメージと
ベースキャンプで生還している
自分のイメージの2つが見えた時に
行くと決めているんですが、
マナスルは片方だけだった。
だから僕が降りようと言った時に
シェルパが激怒していました。
他の国のチームだったりが
登っていくから行こうと、
シェルパは言うのでかなり喧嘩に
なったんです。
結果的に頭頂成功した人もいるし、
天候が崩れて何人か亡くなったし、
帰って来れたけど凍傷だらけ
という人もいました。
何が正解かはわからないんですが、
一回しか死ねないじゃないですか。
僕の場合、登ったのと生きて帰ってくる
イメージが見えないと降りちゃうん。
逃げ足が速いんですよ。
ただ、カミさんからは中々逃げれ
ないけれど…これはヒマラヤよりも大変です。
今週の選曲… I GOT THE FEELIN' / JAMES BROWN