2021年12月08日
著書「山と獣と肉と皮」そこに秘められた想いとは?
写真家の繁延あづささんをお迎えしています。
※リモートでのご出演です。
――繁延さんの著書『山と獣と肉と皮』は、
猟師と一緒に山に入り、仕留めた獣を家で料理し食べる。
そんな暮らしの日々を綴ったノンフィクションです。
繁延さん:猟師さんそれぞれが猟場みたいなものを
持っていて、害獣駆除の意味もあるので、下の
畑を荒らされないように山に入っている形です。
私の場合は車で15分くらいの猟場に行っています。
猪や鹿、アナグマなんかがいますね。
小黒:猟師さんと一緒に動く時はどんな
スケジュールで動いていらっしゃるんですか?
繁延さん:季節によって違うんですが朝、5時
6時くらい漁師の人と待ち合わせして、
山に入っておじさんが罠をかけたところを、
見回って行ってかかっていたら仕留める、
という形ですね。
小黒:『山と獣と肉と皮』は
ご自身にとってどのような本ですか?
繁延さん:やっぱり山の衝撃を伝え
たくて書いた本です。
山に入って1番の衝撃というのは殺す
ことだったんですね。殺すためには
暴力も振るうし、でも、人間の世界では
暴力を振るうのも悪いことなんですよね。
それが堂々とされている山の風景に
ハッとしたんですよね。
でも、考えてみれば人間は死肉を
食べるような鳥類でもないし、
死肉にたかるようなウジでもない。
人っていうのは必ず、殺した新鮮な
肉しか食べられない…。
そう思ったときに肉を食べることの
背景に暴力があるというのを初めて
知った気がしたんですよね。
その衝撃とそこにある命の感触…
狩りをした動物を持ち帰るときに
思っていたのは
“絶対美味しく食べる”という
ことだったんですよね。
自分が見てきてそう思ったところを
本という形にしたいと思っていました。