2022年01月06日
2022年新春、今読むべき1冊をご紹介
年末年始の恒例ゲスト、生物学者の福岡伸一さんをお迎えしています。
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今回も、”今読むべき1冊”を伺うと、
以前から福岡さんが注目している 小説家:カズオ・イシグロの
2021年春の新作『クララとお日さま』をあげてくださいました。
カズオ・イシグロは、2017年にノーベル文学賞を受賞していますが、
受賞よりも前に書き始めていたものだと言われています。
『クララとお日さま』とは、
少女と、太陽エネルギーで動く少女型AIのお話で、
2人会話で物語が少しずつ進んでいきます。
福岡:あんまりドラマが無くてつまらない、という書評も見ました。
でも、カズオ・イシグロは、読書サービスはしない、
淡々と自分の小説世界を構築する人です。
”実は、人間とAIの関係っていうのは、ドラマがないものだ”という
ことを言いたいんじゃないかな、と思いました。
つまり、AIは関係を破壊したり、自分を壊すことは絶対出来ないわけです。
でも、人間は約束を破り、自分の考えを破壊できます。
その自ら破壊することが出来るというは、
生命ができる、素晴らしいことです、という風に私は読みました。
福岡さんは、新型コロナウイルスが蔓延する直前に
念願だったガラパゴス諸島を訪れていました。
現地でのことを、ノンフィクションの探検記『生命海流 GALAPAGOS』
ガラパゴスを舞台にダーウィンと出会う物語『ドリトル先生 ガラパゴスを救う』
の2冊に今年2022年にはまとめる予定。
小黒:読者として『ドリトル先生 ガラパゴスを救う』の連載読んでますけど
全然進みませんね〜たった1つの事で!(笑)
ドリトル先生は、1冊じゃ終わらないんじゃないですか?
福岡:あははは(笑)
ドリトル先生をお借りして、福岡ドリトルワールドを作りたいな、と。
新聞小説なのでなかなか進みませんし、
うんちくを入れるとストーリーが進みませんが、
ドラマのないドラマということで、よろしくお願いします(笑)
未来に希望を持てるお話、有り難うございました!
今夜の選曲:PEAU NOIRE,MASQUES BLANCS / 仲野麻紀