2022年01月03日
コロナ禍で、忘れては行けない視点とは
新年最初のゲストは、生物学者の福岡伸一さん。
福岡さんは、京都大学卒業後、
米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授を経て、
現在青山大学教授、米国ロックフェラー大学客員研究者でいらっしゃいます。
2020年度末にリモートでご出演いただきましたが、
今回はスタジオにお越しいただけました。
まずは、昨年2021年のコロナ禍についてのお話。
昨年は変異株の流行もあり、
ウイルスの勃興と衰退(押さえ込みと感染拡大)が繰り返されていました。
福岡さんは、”ウイルスの勝手な都合”によって
感染拡大の波があったようにも見える、とおっしゃいます。
福岡:ここで忘れては行けない視点は、
ウイルスは宿主(共生する生物)あってこそのものですから、
『人間とウイルスのせめぎ合い』が、
見えないファクターとして隠れていると思います。
ウイルスは感染すると、人間の免疫システムが反応しますが、
それとは別にウイルスが細胞の中に侵入すると、
すごい勢いで細胞の中では分解をしているわけです。
ウイルスの感染と分解のバランスがとても大事で、
どうも宿主の側も蔓延に対して変化しているんじゃないか、と私は思います。
人間の分解速度が少し上がるだけでも、ウイルスは増殖出来なくなりますから
ウイルスの変化だけに注目するんじゃなくて、『人間とウイルスのバランス』を
もうちょっとちゃんと見る必要があります。
さらに、ウイルスの変異株がどんどん出てきますが、
これは、際限のないイタチごっこになると思います。
重症度、死者数などの現象面にも、注目する必要があります。
小黒:以前からおっしゃっていた、”新型コロナウイルスも、
最後にはインフルエンザや風邪のようになる” という考えは変わりませんか?
福岡:1番ウイルスにとって良い状態は、
”宿主(人間)に気づかれずに増えていける状態” です。
動的平衡の観点から言えば、安定した平衡状態は、
『宿主にあまり影響を与えないまま、
ウイルスと人間が共存できる状態』なので、毎年流行するような
インフルエンザ・風邪のように落ち着いてくると思っています。
今夜の選曲:IMPRESSIONS D'AFRIQUE / 仲野麻紀