2017年10月08日
10/8のゲスト:ペドロ・ミランダ
10月8日のゲストはサンバのシンガー、ペドロ・ミランダ。ジョイス・モレーノのライヴのスペシャルゲストとして9月に来日、コットンクラブとブルーノート東京に出演しました。
ペドロ・ミランダ(Pedro Miranda)は1976年、リオデジャネイロ生まれ。90年代末、テレーザ・クリスチーナ&グルーポ・セメンチのメンバーとして、リオの中心地、ラパ地区のライヴハウスで活動を始め、サンバの新世代を代表する存在となりました。その後、独立して、パンデイロなどの打楽器を叩きながら歌うソロ・シンガーとして活躍しています。
ペドロ・ミランダはハイスクールの最終学年に、ブラジル北東部の巨匠ルイス・ゴンザーガの音楽を聴いてブラジル音楽の魅力に目覚め、アマチュアのミュージカルの劇団に入りました。劇団の音楽監督/音楽の先生が、モレーノ・ヴェローゾとドメニコ・ランセロッチ。ペドロはモレーノからパンデイロを教わり、大学で音楽好きの友人たちと知り合いました。
「私たちの世代にとって、昔の軍事政権やアメリカ文化の支配によって失われてしまったブラジル音楽の伝統を再発見することが、重要なテーマでした。
様々な音楽との出会いは驚きであり、情熱をかき立てました。
例えばルイス・ゴンザーガの音楽は、私にはエキゾチックに響きましたが、同時に自分のDNAに訴えるものでもありました。
そこで私は大学を中退し劇団もやめて、もっと音楽を知るために、リオの中でサンバが盛んな地区、マドゥレイラに通い、ブラジルの様々な地域を旅してきました。
そしてテレーザ・クリスチーナ&グルーポ・セメンチと出会い、ラパ地区のライヴハウスで活動を始めました。
私たちの世代には、音楽を通じて自身のアイデンティティを発見することが必要で、それがラパを拠点とする音楽のムーヴメントになっていったのです。
音楽は、私たちをいろんな場所に連れて行き、新たな出会いをもたらしてくれます。そこに、私は魅了されています」。
カエターノ・ヴェローゾ、アート・リンゼイをゲストに迎え、サンバの名曲に現代の息吹を加えた最新作「SAMBA ORIGINAL」。7月に発表された「第28回ブラジル音楽賞(Prêmio da Música Brasileira)」でベスト・サンバ・アルバムを受賞しました!
「私は自分が歌う曲を、人々が喜ぶとか、よく知られている、といった理由では選びません。自分が歌いたいから、という個人的な基準です。
このアルバムでは1930年代のサンバから2000年代のサンバまで歌っています。
ラパ地区のライヴシーンで起きたサンバの伝統を再発見するムーヴメントは、とても重要な出来事でした。
でも、音楽に限らず芸術は、自分たちが生きている今の時代とコミュニケートしていかなければと思います。
ですから私がレパートリーを決めるとき、自分が感動できる曲であることはもちろんですが、その曲を今の時代、今の社会にも、生きた形で伝えられるか。そこが重要なポイントなのです」
スタジオライヴの生演奏。8月末に81歳で世を去ったウィルソン・ダス・ネヴィスが作曲、パウロ・セーザル・ピニェイロが作詞し、ペドロがファースト・ソロ作で録音した「O Samba é meu dom」を、マッチ箱を叩いてリズムをとりながら歌いました。ギターの伴奏はジョイス・モレーノ!