WORLD CONNECTION
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今回は、シリアの子どもたちへの教育支援と日本国内での
啓発平和教育活動を行なう国際協力NGO「Piece of Syria」に注目。
Piece of Syria代表理事の中野貴行さんにお話を伺いました。
・はじめに、「Piece of Syria」とはどんな団体なんでしょうか。
「シリアをまた行きたい国にする」をビジョンに、シリアの復興を担う子どもたちへの教育支援と、日本での平和教育を行うNGOとのこと。
・「また」ということは、今は紛争が続いていますが、その前は平和な国だったということですよね。
2010年のデータを見ると、世界で30番目に観光客が多い国だったのだそう。
・では具体的にどんな支援をされているのでしょうか。
シリアの国内にある幼稚園で文字の読み書きや計算を教えたり、心のケアをするプロジェクトと、トルコに避難したシリアの子供達にも教育支援をされているのだそうです。
・中野さんの活動の原点となった“ある少女の言葉”があるのだとか。
それは中野さんが青年海外協力隊としてシリアで2年間、どんなことができたのかと悩みながら活動したのち、ついに帰国となった時、ある女の子の夢を聞いたのだそう。
その女の子は、「私はお金持ちになりたい。お金は天国に持って聞けないから、生きているうちにどうやって使うかが大事。だから私はお金持ちになって子供たちの夢を叶える学校を作りたい。」と話してくれたのだそうです。
そして続けて「この夢を持てたのはあなたのおかげだよ。なぜなら、大人が変わる姿を見て、動けば変わると思ったのが1つ。そしてもう1つは、夢があるって言った時にあなたは馬鹿にしないでしょ。だから夢を持てたの。」と言ってくれたのだとか。
・当初中野さんがシリアに行った時は治安がよかったそう。
しかし帰国から1年後、紛争が勃発。それから状況はどう変わって行ったのでしょうか。
最初ニュースを見て、信じられない気持ちだったのだそう。
夢を語ってくれた女の子がいた村の小学校が処刑場になっていたり、ニュースからそのリアリティが感じられず、現地に行くこともできず混乱していたといいます。
・現状はどうなっているのでしょうか。
空爆や砲撃などもまだまだ起こってはいるものの、戦闘自体は落ち着いていて、
戦闘行為自体よりも、物価が10倍ぐらいになってたりとか生活がどんどん厳しくなっているのだそう。それに伴って子供の就学率も元は100%近かったのが、一時期6%ほどまで下がり、今でも半分くらいの子供達が学校に行けていない状況なのだそうです。
・教育が不足している、というところについて詳しく伺いました。
まず活動を始めるときに、どこにニーズがあるのかシリアから逃れてきた人たちに話を聞きに行ったのだそう。
そこで、皆さんが共通していたのが「教育」だったのだそう。
「子供は未来」という視点を皆さん大切にされていて、学校が標的になったり誘拐などがあればと子供は学校を恐れて行けなくなってしまう。子供が子供たちだけで遊ぶという習慣がないまま学校に通い始めると、学校を嫌がって退学してしまうということが問題になっていたそう。
そこで、国内の幼稚園で子供のための心のケアや、基本的な教育を実施することで、学校に通い始めたときに通い続けられるようにする活動を始められたんだそうです。
それに加え、質の良い教育がされるように、寄付金から先生たちの給料のサポートをされているのだとか。
・幼稚園での心のケアについて詳しく伺いました。
基本的に行っているのは、体を動かしたり、絵を描いたりといったアクティビティなんだとか。というのも「友達と遊ぶ」というのが特別なことになっているシリアで、幼稚園で一番楽しいことが「友達と遊ぶこと」と子供が答えられることが心のケアになっているのだそうです。
・昨年2月に起こったトルコシリア地震の影響について伺いました。
戦争の中での地震ということで、建物が脆くなっていて約半数の学校が影響を受けたそう。さらに、学校の運営が厳しくなることで先生も他の地域に移ってしまうということもあって2つの面から被害を受けたそう。
外からの支援についても、地震直後は支援が集まるが、半年、1年と経つうちに支援が集まらなくなってきて、その時が一番辛い状況だといいます。
Piece of Syriaでも地震直後から支援をしていて、教育の維持のためにも継続的な寄付を募っているそう。
Piece of Syriaでは、5月26日(日)に、東京・市ヶ谷のJICA地球ひろばで「平和のかけら」のワークショップを行います。
写真や絵を使って、平和について考える時間を皆で作るワークショップなのだそう。
平和の土台をつくる、これからの世代である子どもたちにもぜひ参加していただけたらとおっしゃいます。
→こちら
・最後に活動を通して中野さんが今感じていることを伺いました。
「私たちは微力であっても無力じゃない」。そう感じられているそう。
戦争というおじけづいてしまうような大きな課題に対しても、一人で団体を立ち上げて、仲間が少しづつ増えていき、応援してくれる人が増えてきたことで、「シリアに行ってみたくなった」と言ってもらえたり、現地の子供の成長を目にした時に、一人でも動くことが大きな力になる、一人一人の力が世界を変えることを心から実感していると言っていただきました。
Piece of Syriaでは、活動の源泉は皆さんからの寄付になっています。
月額寄付会員募集のキャンペーンを行っていますので、ぜひ継続的な支援をご検討くださいとのこと!
詳しくはHPから!
「Piece of Syria」の代表理事 中野貴行さんにお話を伺いました。
ありがとうございました。