TOKYO TATEMONO
MUSIC OF THE SPHERES
ピアニスト、角野隼斗が音楽を通した様々な”出会い”を語る20分
11月17日の放送では、
フランスでのピアノリサイタルの
エピソードを現地パリからお届けしました。
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フランスで3公演ぐらいリサイタルのツアーがありまして、
それで2週間ぐらい滞在しているんですけれどもね。
パリは僕は6年前に実は住んだことがあって、
交換留学で僕が大学院の時に 半年弱ぐらいかな、だけ住んだことがあるんですね。
ですので、とっても思い入れの深い場所でもあるんですけども。
パリのサル・ガヴォーというところでリサイタルをさせてもらいまして、
サル・ガヴォーというとですね、 1000席弱ぐらいですかね、中ぐらいの大きさのホールで、大変歴史のある場所で、
例えばラヴェルの新作の初演なんかもいくつかやられたりしていたところなんですけれども、とっても思い深い。
思い出深いのはですね、僕の師匠であるジャン=マルク・ルイサダっていうピアニストがいるんですけど、僕が初めて彼の演奏を生で聞いたのがここサル・ガヴォーで、
それを聞いて僕は習いたいと思って、そこから習うことになったんですね。
その時に先生が弾いていたモーツァルトのソナタが僕は未だに忘れられないんですけれども、そんなこともありまして、僕が今回こうして自分のリサイタルをここでやれるっていうのはとても嬉しくてですね。
で、僕も同じモーツァルトのソナタをそこで弾きました。
なんというかですね、消防法がどうなってるのかとかわからないんですけど、
ものすごい密度なんですよ。
お客さんもたくさん来てくれていたので、 ものすごい熱気でですね、大変盛り上がっていただけてありがたかったです。
僕の師匠のジャン=マルク・ルイサダ先生も来てくれましたし、
彼の友達で、彼と同じ時にショパンコンクールで入賞しているマルク・ラフォレというピアニストの方も来てくれて、初めてお会いして。
あと、僕の友達のトーマス・エンコというピアニストとかね。
とっても素敵なジャズピアニストなんですけど、いろんな方が来てくれて、大変思い出深い
コンサートとなりました。
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パリの他にはフランスの中部のブルゴーニュワインが有名な地域でコンサートさせてもらって、その次の日に、ボーヌという町が近かったんですけど、そこのプライベートイベントに招待してくれまして。
ワイナリーなんですけども、ブルゴーニュワインがたくさんあるところでですね、連れて行っていただいて。
僕はワインのことはさほどわからないし、そもそもそんなに強くないので、楽しめるほどワインを飲むことができないんですが、僕が多少ピアノを演奏する代わりにいろんなワインを飲ませてもらえるというですね。
なんかこう、物々交換という、 古いのか新しいのかわからないようなことをしていたんですが、クラシックの界隈で これはよく聞くんですけど、出演料の代わりにワインを渡すというのは珍しい話ではないらしいですね。
アメリカのナパ・ヴァレー とか、ワインが有名なところですけども、
毎年来る音楽家はワインのためにそこに毎年来ていると話もあったりしますけど。
フランスは本当にいろんな地域がワインが有名ですから、僕もももっと詳しくなりたいなとフランスに来るたびに思うんですけど、やっぱフランスを離れると忘れてしまいますね。
その次の日にね、パリに戻って味噌ラーメンを食べたんですけど、
前日に飲んだどんなワインよりも結局美味しくて、自分は結局安上がりな人間だなというふうに思いましたね。
でも結局ね、自分が何が好きかっていうものは変えられないですし、
いつか好きになるかもしれないですけども、そんな感じでフランスを感じておりました。
ところで、僕のソロアルバムもリリースされたばかりなんですけれども、
僕の所属しているPenthouseというバンドも最近ニューアルバムをリリースしまして
Laundryというですね、ほんとに色とりどりの楽曲が収録されたアルバムですけれども、
1曲、ゴスペル調の「Raise Your Hands Up 」という曲で、
ゴスペルをPenthouse的に解釈したような曲なんですけれども、
ゴスペルというと日本ではそんなに主流な音楽ではないかもしれないですけど、
ニューヨークに住んでいると、日曜に教会でゴスペルが演奏されていたりするんですけど、本当にこうなんだろう、幸せな気分に、 多幸感に包まれるんですね。
そういうのをやってみたいなと思いまして。
武道館の次の日がレコーディングだったんですけど、日本をたつ前にレコーディングをしようということで、もうなんというか、勢いのまましたのを覚えています。
12月にもね、Penthouseはライブがありますので、 ライブで初めて演奏できるのも楽しみにしています。
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MUSIC SELECT
1. ラヴェル: 亡き王女のためのパヴァーヌ / 角野隼斗
2. Raise Your Hands Up / Penthouse