日曜の深夜。全てのしがらみから離れて
本当に「独り」になっている特別な時間。
人は誰もが不安や悩みを持っているはず。
この番組は、自分の心と対話することの大切さを伝え、
明日への活力を求める人への応援メッセージを
発信するラジオ番組です。
EVERY SECOND SUNDAY
25:00-26:00 ON AIR
人は他人と比較してしまう生き物だと思います。
人より、恵まれていると喜んだり、
人より、うまくいかないと落ち込んだり、
SNSが生まれたことで、自分を誰かと比較する機会も増えてきました。
そんな今だからこそ自分の心と対話する時間を大切にしたいと思います。
何をしたいのか、何が悩みなのか、何に希望を持つのか。
その積み重ねが幸せを感じる近道なのではないかと思います。
幸せは、自分の心の中にある。
第10回のゲストは田中みゆきさんでした
5月12日
第11回のゲストは田中利典さん
ハチ(アテンド):はい、では、みゆきさんも入場されたとのことで、今から出会いのゲームを!したいと思います!
田中:はい。
ハチ:さっきお渡ししたベルを鳴らしてみてください。
田中:はい。
<田中さんのベルの音>
ハチ:はい、みゆきさんはこのベルを持っています!
田中:はい。
ハチ:そして?季世恵さんが実は暗闇の中にいまして、季世恵さんも違う音のベルを持っていますので鳴らしてもらいましょう!
田中:はい。
ハチ:季世恵さーん!
<志村さんのベルの音>
田中:お〜〜。
ハチ:はっ!この音です!
田中:すごい遠く感じる…!
ハチ:そうですよね。
田中:はい。
ハチ:その間には何か、よけていくような物もあったりしますので、がんばって耳とか感覚を使いながら季世恵さんと出会いましょう!
田中:はい。
ハチ:では、どうぞ!鳴らしてみてくださーい!
<お互いのベルの音が鳴りあう>
田中:なんか真っ直ぐな気がするんですけど………あ、近くなってきた気がしますね……!あれ?すごい近いのかな…?
志村:すごい近いですね。
田中:あれ?
志村:手を伸ばせばきっと出会えるはずです…!
田中:……あ〜〜〜!手で触った!
志村:あったーー!
田中:あったあったあった!
志村・田中:あははは〜!
志村:早い〜!
田中:意外となんか…嬉しい!
ハチ:良かったですね!早く出会えて!
田中:ふふふ〜ありがとうございます!
ハチ:では、出会いのゲーム、これで終了ですね。
田中:はい、ありがとうございました。
ハチ:じゃあみゆきさんのベルをお預かりします。季世恵ちゃんのももらっちゃいましょう。
志村:ありがとう〜。
ハチ:は〜い。
田中:なんか…聞いてたよりも実際の距離が短かったです…。
ハチ:へ〜〜〜!
田中:音で聞くと遠く感じました。
ハチ:暗闇のBarへご案内したいと思います!椅子とテーブルがありますので、近くへご案内しますね。
田中:はい。
ハチ:じゃあこちら側です。
田中:はい。
ハチ:みゆきさん、まず行きましょう。
田中:はい。
ハチ:こちらですね。
<物に当たる音>
ハチ:今当たられたのが椅子ですね。
田中:はい。
ハチ:これが季世恵さんの椅子で、こっちがみゆきさんの椅子です。
田中:はい。
ハチ:どうぞお掛けください。前がテーブルになります。
田中:はい。
ハチ:はい、(季世恵さん)では真っ直ぐ、手前に椅子があって、テーブルがあります。
志村:はい。思わずみゆきさんの上に座っちゃったり。
全員:あははは〜(笑)
ハチ:それも素敵ですね〜。
田中:はい(笑)
志村:隣同士に座っています。
ハチ・田中:はい。
田中:…(椅子とテーブルは)木ですね?
ハチ:そうですね〜!それでは早速なんですけれども、メニューを紹介させていただいてもよろしいですか?
田中:はい。
ハチ:はい!じゃあ今日は4種類ありまして、まず一種類目は、春ということで桜茶というのを用意しています!あったかいものですね。
田中:はい。
ハチ:そしてもう1種類あったかいものがありまして、紅茶です!そして、もう2つは冷たいものです!
田中:はい。
ハチ:シュワシュワといい音のする炭酸水と、同じくシュワシュワといい音のするビールもご用意しております!
田中:はははは〜!すごーい!
ハチ:はい!この4種類の中からお好きなものを選んでいただければと思います!
田中:はい…じゃあ…桜茶をお願いします。
ハチ:はい、かしこまりました!
志村:じゃあね、私は…そうだな、じゃあシュワシュワの音を聞いてみたいので…ビールじゃなくて炭酸水!
ハチ:はい!かしこまりました〜!では桜茶と炭酸水ご用意して参りますので、お待ちください〜。
田中・志村:はい。
志村:これね、このテーブルって、実は「DIALOGUE IN THE DARK」が始まった頃からずっとあるテーブルで。
田中:へ〜〜〜!
志村:もしかしたら、記憶に残っていらっしゃるかもしれませんね。
田中:う〜〜〜ん!
志村:多分、みゆきさん、ずいぶん以前からDIALOGUEに来ていただいてますよね。
田中:はい、始まった頃から…!
志村:はい、その時のBarとかのテーブルにこれがあったんですね。
田中:う〜〜〜ん、そうか〜、なんかもうちょっとハイテーブルの印象があったんですけど…。
志村:あ、ハイテーブルはね、後半の時に、
田中:そうか!
志村:そういう風なテーブルもありましたね〜。
田中:うーん。そっちに座った記憶が新しくなってるからかな〜。
志村:じゃあ上書きされてるのかなあ?記憶の。
田中:ねえ〜!そうかもしれないですね。でもあのBarいつも面白いですよね。
志村:そうですね…!
田中:うーん、なんか、ワイン…赤ワインと白ワインを暗闇で飲んでみると、あれ?どっちがどっちだったか分かんないんですけど…ね、違って感じますよね…!
志村:そうなんですよね。そう、赤ワインか白ワインか分からなかったりとか、あとはぶどうとかをね、ジュースではなくて食べ物として出したりとかした時があったんだけど、トマト…ミニトマトとかっておっしゃった方もいて、
田中:あ〜〜面白い〜!
志村:そういう方もいて、じゃあ召し上がってくださいとかって言うとね、うん、トマトだとかって。いやいや、ぶどうだろ…みたいな感じだったんだけど、ものすごく濃く感じて味わえる方たちと、時々目で見て味わってる方と…やっぱりあるんだなと思いますね。
田中:そうですね〜、そっか〜。面白い…!
ハチ:お話中失礼します。飲み物お持ちしました。まず、みゆきさんの、
志村:桜かな?
はち:はい、桜茶を置かせていただきます。
田中:はい。
はち:そして、炭酸水は、今日は音も楽しんでもらおうかなと思っていますので、こちらで!
志村:うん!
はち:まずグラスをお渡ししますね〜。
志村:あ…もしかして…!
ハチ:ふふふ。はい、もしかして…!
志村:もしかしてここで…!
ハチ:もしかしてその通りです!
田中:ふふふ〜。
ハチ:ここでお注ぎしますので、みゆきさんもよろしければ音を楽しんでいただければと思います!
田中:はい。
<グラスに炭酸水を注ぐ音>
田中:…いいですね〜。飲みたくなりますね。
志村:うん。あとで飲んでみてください、私の。
田中:ははは〜、はい。
ハチ:はい、お待たせしました〜!
田中:あ〜すごい…!
志村:ありがとう!
田中:美味しそう。
ハチ:ごゆっくりお過ごしください。
志村・田中:ありがとうございます。
志村:乾杯しましょうか?
田中:乾杯できるかな…(笑)
志村:私この辺にグラスがありまーす。(グラスの音をさせる)
田中:私はここです。(同じくグラスの音をさせる)
志村:できそう。
田中:あ、できそう。早い!
志村・田中:かんぱーい!
田中:あ…いい香りがします…桜の。
志村:うん。桜のお花が入っているはずです。
田中:へ〜〜。…桜餅みたいな。
志村:ね〜。
田中:う〜ん…美味しい……!これも見えてると桜の花ばっかり探しちゃって、あまり匂いとかその次だったりするから、すごい自分は視覚が先に来ちゃうタイプなんだろうな〜と思いますね。
志村:うーん、じゃあこのままもし良かったら、(炭酸水の)パツパツする音も感じてみますか?
田中:はい!
志村:良かったらどうぞ。
田中:あ、ありがとうございます。手を今伸ばしてます。
志村:はい。
田中:はい。は、なんか今冷たいのを触ったら熱く感じました…!不思議…(笑)
志村:あ、そうかそうか、手が温かかったんだね。
田中:そうですね。……(炭酸水を飲む)。う〜ん…美味しい…。いいすね、このずっとパチパチ言ってる音…。
志村:いいですね〜。
田中:うーん。ありがとうございます。
志村:あのう、田中さんが、そういう風に見栄えだけじゃないものに対して興味を持つようになったきっかけってあるんですか?
田中:はい。私は元々デザインを勉強していて、デザインってやっぱり見た目を整えることだと思われがちだと思うんですけど、本当に突き詰めていくと、整理整頓だと思うんですよね。
志村:はい。
田中:情報をわかりやすく整えて、それを伝えるっていう仕事だと思うので、どちらかというと見た目よりも中身の構造とか、どういう風に整理したら中身が伝わりやすいかっていうところに一番興味を持っていて、
志村:あーなるほど〜。
田中:はい、で、そうすると物事を見るときも、その側っていうよりもその中身がどうなっているかっていうことにより興味を持つようになったんですよね〜。
志村:あ〜。でもお仕事を通して、今まではデザインのお仕事をされていて、そしてそこでその本質的な部分に出会ったわけですね?
田中:そうですね〜、はい。展覧会で昔、『骨展』っていうのをやったんですね。
志村:『骨展』ね〜!
田中:はい(笑)いわゆる人の骨とかっていうよりは、中身をもっと構造から見ましょうっていう展覧会で、山中俊治さんっていう「Suica」のシステムとか、あと元々は車のデザインとかされてた方で、そういうデザイナーの方と一緒に作ったんですけど、その時に義足を扱ったんですね。
志村:はい。
田中:で、義足ってすごく人の未来の骨の形というか、人の足ってやっぱりすごい多機能なことを一本でまかなっていて、でそれをまた、その足と同じようにしようとして、色んな義足があるじゃないですか。
志村:うん。
田中:なんかヒールを履く人には足首が曲がったりするようなものがあったり、あと歩く義足と走る義足は違ったりとか、そういうのってすごく面白いなと思いっていて。
志村:はい。
田中:そこから義足の人と交流するようになって、こういう障害に関わるような…まあ障害とは思っていないんですけど、いわゆる世の中からすると障害とされているものに、すごく興味を持った…っていう流れですかね。
志村:あ〜、骨展から始まって。
田中:そうですね〜。
志村:う〜ん。その義足を通して、色んな義足のタイプもあると思うんだけれども、そこから、その興味の方に惹かれていく…?
田中:そうですね、義足を付けている人と話した時に、その…なん…自分は別に義足は無くてもいいけど、社会に出て行った時に親御さんが心配するとか、ちょっとやっぱり変な目で見られるとかっていうので、義足を付けているっていう話をしてくれて。
志村:なるほど。
田中:なんかそれってどういうことなんだろうな〜と思って考えさせられる部分はあって、で…昔2014年に日本科学未来館で『義足のファッションショー』っていうのをやったんですけど、それは、私最近パフォーマンスを作ることが多いんですけど、パフォーマンスって人をじっと見て良い場だと捉えてるんですね。
志村:確かにそうですね…!あ〜。
田中:はい(笑)で、見られる側も見られる側としているというか。
志村:はい、はい。
田中:だから義足のファッションショーも、あくまで日常では見ちゃいけないもののような感じで扱われている義足を、ちゃんと堂々と見せるし、見る側もちゃんと見るっていう機会として作ったというか。
志村:なるほどね〜。
田中:そこですっごい…こういうことってまだまだ他にも、義足だけではなくてたくさんあるなと思いまして…。でそこからずっと障害に関することをやっているって感じですね〜。
志村:あ〜、そこからどんどん発展されたわけですね〜。
田中:そうですね〜。
志村:う〜〜ん。
田中:他の体にも興味が移っていって、最近は(目が)見えない人とよくお仕事させていただいています。…お仕事というか、自分のどちらかというと研究というか、プロジェクト?としてやってますね。
志村:う〜ん。おっしゃっていた、まあ、見てはいけないものって風に、特に日本の場合は捉えがちですよね。
田中:はい。
志村:そうするとよく、例えばですけど、子供の…子供達がね、義足を使ってる方や車椅子の方、それから目の見えない白い杖をついている方は、あの人はどうしたの?っていう風に言うと、大概の親御さんの場合は、「シーッ。」って風に言って、見ちゃダメよって風に言うことが多かったと思うんですよね。
田中:うん、うん、うん。
志村:それが関わりをまた一本隔ててしまうことになると思うんだけど、そのパフォーマンスを通して、見て、それを感じて、対話もしあおうよみたいになれば、良いに決まってるもんね…!
田中:ね〜!そう思います…!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
志村:そうかそうか。
田中:はい。
志村:さっきあのう…一番最初に「デザインって整理されていくものだ」っておっしゃっていましたよね?
田中:はい。
志村:私は多くの目が見えない人とか耳が聞こえない人とこうやって活動を共にして行くと、仲間たちの整理整頓の仕方がとても上手いなと思うんですね。
田中:はい、はい。
志村:その目が見えない人たちってすごく整理して物事を伝えるし、あと考え方もとても整理されてるなって思ったんです。
田中:うん、うん。
志村:で、その余分なものを、まあ、情報の中に入れて伝えては来ないとか、それ聞こえない人もそうなんですよね。
田中:うん、うん。
志村:あのう…自分たちに対しての聞き方もそうだし、伝えてくれるその伝え方も全部整理されていて…全くもって違った障害ではあるんだけど、共通点があるなってすごく思うんですよね。
田中:うん、そうですよね、うんうんうん。
志村:なのでデザインって整理だって言うのを伺った時に…「あ、あら…?」ってちょっと思って、なにかそこの辺りに共通点があったんだろうか?田中さんのその興味っていうのかなー?
田中:そうですね、やっぱり目が見えない人とプロジェクトを…3つぐらい…4つか、やっていて、特に目が見えない世界に…まあ目が見えない世界というか視覚を使わない世界に興味を持っているのが、多分それが一番大きいかもしれないです。その…やっぱり物事の伝え方とか言葉で構築することとか、そこにある整理整頓っていう意味もあるし、一方でそこからイメージするものの多様さみたいなものを含めて、彼らが日常を過ごしているっていうことがすごく面白いなーと思っていて…。なんかあのう…盲学校の体育の授業を見学したことがあって、その時に準備運動で先生が「はいじゃあ腕あげてー」とか「足あげてー」とかやるんですけど、みんな上げる方向がバラバラだったんですよ。
志村:うん、うん…!
田中:でそれ私素晴らしいなと思っていて、別に先生と同じ方向に上げる必要なんてないじゃないですか。…なんかそれを見た時に、本当にこの自由さは何なんだろう…と思って…!同じ腕を上げることなのにこんなに色々あって良いってことをすごく分かりやすく教えてくれたなーと思っていて。
志村:あー、分かりますそれ…!うーん。
田中:なんかね〜!あれって見えちゃうとどうしても、ならわなきゃいけない、同じ方向に上げなきゃいけないって思っちゃう…じゃないですか。
志村:そうですね〜。
田中:うーん。
志村:分かります、ね、自由に上げていて、だけど、じゃあ35度ぐらい上げてって言ったら絶対に上げたりするんですよね〜!
田中:(笑)
志村:あれはすごいなと思って(笑)
田中:そうですよね〜!
志村:私だって35度ってどのぐらいだっけって思うんだけど(笑)
田中:確かに〜!
志村:バランスって言うのかな?
田中:うんうん。
志村:それがとっても面白いですよね〜!
田中:面白いですよねー!なんかそういう…その瞬間すごく、あーなんか見えない人でダンス作りたいなー…と思ったんですよねー。
志村:うーーん。あーなるほどー、そこだったんですね。
田中:はい。
志村:上手いか下手かだけじゃなくて、体を動かす楽しみ方っていうのが本当にあって良いわけだし。
田中:うん。
志村:うーん。
田中:見本が無いっていことの自由さはもっとすごく、見える人・見えない人問いわず考えるっていうか、小さい時にそういうことに触れるってすごく大事だなーと思っていて。
志村:本当ですね〜。
田中:うーん。同じものを見えてみんなが違う感想を持っているっていうことが、私は豊かなことだと思っているので、そういうことをやっていきたいっていうのはずっとあって…。
志村:うーん。
田中:なので最初に興味を持った広告だったりデザインもそうですし、今やっている展覧会とかパフォーマンスも色んな意見を持った人が同じ場所を共有する…っていう状況を作ることにすごく興味があって。それがまあ仕事になってきたっていう感じですね〜…。
志村:いいですね〜その仕事…!
田中:うーん…!難しいですけどね〜…!なかなか…。
志村:そっか。人と同じでいることで安心するという人とかも当然いるんだけれども、そこから一歩外れて自分らしさをまた取り戻すっていうのは、本当に大事なことだと思うんですよね。
田中:うん…そう思います…!
志村:うーん。
田中:それを抑圧するような社会であってはいけないなとは思います。
志村:そうですね〜。
田中:うーん。
志村:そっか〜。
田中:はい。
志村:うん、田中さんが望む社会というのは、ではみんなが自分らしく、そして尊重し合えたりとか。
田中:うん、そうですね。言いたいことを言えて、それが否定されない社会ですかね。
志村:うん。
田中:うーん。なんか、暗闇で、見えない人とダンスを見るプロジェクトをやっているんですけど、それをやっているのも、3つ違う種類の解説というか説明を用意して、ラジオでその3つを流して、チャンネルを変えながら、同じダンスを見るんですね。
志村:はい。
田中:で、そうするとダンサーが自分で解説しているものとか、いわゆる映画の音声ガイドのように視覚情報を言葉にして伝えるガイドとか、あと能楽師の人が作った音声ガイドもあったりするんですけど、それを見ていると、見える人も見えない人も関係なく、あーなんかこんなに見方って自由で良いんだなーって思う…ような社会になれば良いなと思っていて。あとその、ダンスってすごく小難しいものだと思われがちですけど、でもその目の前のダンスに対してどう自分が感じるかっていうことの方が大事で。そのダンスの…まあもちろんダンスが美しいっていうことも大事だとは思うんですけど、それよりも、観客で今までただ見てる人だとみんな考えてたと思うんですけど、観客が豊かだともっと見せる側もプレッシャーになるし、もっと面白いものが生まれていくと思うんですよね。
志村:うん、うん。
田中:でそこは今まであんまり追求されて来なくて…私はだから見せる側よりも見る側がどうクリエイティブになれるか…なれるかというか元々持っているクリエイティビティを素直に出せるような状況を作れるか、ってことの方が可能性があるんじゃないかなと思ってます。
志村:うん、なるほどね〜〜。
田中:だからDIALOGUE IN THE DARKも、やっぱりその…体験する人が…その素直に反応する言葉だったり、共有する言葉がすごく面白いなーと思っていて。同じ…もちろん環境だけど全然(反応が)違うじゃないですか。
志村:そうですね〜。
田中:うーん、でもそれって本当は日常もそうなのになって思ったりして…。すごく面白いなと思ってます。
志村:その言葉一つ一つになにか大きなアート性があるように感じますよね。
田中:うーん、うん、そう思います。
志村:以前DIALOGUEを体験した小学生がね、真っ暗闇に入って出てきた時に、「暗闇は眩しかったー!」って言ったのね。
田中:はは〜!素敵ですねー!
志村:素敵ですよね〜!もうそれは眩しいとかっていうその…まあ眩しいと見えないじゃない?なんか眩し過ぎると。
田中:はい、はい。
志村:同じような光を感じたんだろうなと思って。
田中:言い言葉ですね〜〜。
志村:ね〜。そういう風な言葉の一つ一つに、大きな…ね、見えない価値を感じるみたいな。
田中:そうですね〜〜!なるほど〜〜〜。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
志村:なんか私がいつも思うんだけど、相手の立場にはなれないっていう…例えば目を使っている私達からすると、目の見えない人にはなれないし、見えない人が見える人にはなれない訳だけど、それって障害とかの有無ではなくて、じゃあ、私が田中さんになれるか…なれなくて…っていう風にこう…何だろう、自分じゃない人に対してやっぱり興味を持って思いを馳せてみて、そこで想像したりとか、話したりとかして、なんかちょっと分かったような、分かんないことがあったような、そんなことが楽しくなっていく訳ですよね。
田中:はい。
志村:それが…きっと人にとってはすごく……うーん、何だろう…大切なことなんだろうと思うし、そこにその…障害って言葉ではないものがあるんだろうと思っているんですよね。
田中:うんうんうん。そう思いますすごく。違うっていう風に遠去けてしまうと、そこで終わってしまうじゃないですか。
志村:うん。
田中:じゃなくてなんかどう違うんだろう?っていうことに、まず興味を持てるような関係を作っていきたいと思いますね。
志村:本当ですね〜。
田中:うーん。
志村:今私、子供が4人いてね、一番下の子が大学4年生で、今海外にいるんですよね。
田中:はい。
志村:で、DIALOGUE IN THE DARKの話を世界中の人にしてるんだって。そうすると、「面白いね!」って言うんだってどこの国の人も。すぐに分かるんだって。
田中:うーん!うん。
志村:でもね日本人の人が一番理解しにくい…しないんだよって。
田中:へ〜〜〜…!
志村:「それは福祉なの?何なの?」って、やっぱりそうなりやすいんですって。
田中:あ〜〜〜。うんうんうん。
志村:でここが日本と世界のなにかの違いなんだって彼は思っていて、ずっと考えてるのね。
田中:うん。
志村:なぜそういう風になるんだろう?って。どうすると福祉とかそういうことじゃなくて、「面白いね」に、田中さんがおっしゃっていたような所にいくんだろうかって。
田中:そうですよね〜…うーん、そこは確かに…。
志村:そう、目が見えない人と出会うことと、そして出会ってもらうことと…それだけじゃない、多分それは私たち日本人が、見える見えない関係なく人と出会うことに対して今、多分ね、あのう、積極性を持ってないんだと思うんですよね。
田中:うん、うん。そうですね。
志村:誰とでもね。でももっともっと出会って、興味を持ってお喋りできれば…もっとね違うと思う。
田中:そうですね〜。多分、同じような人いる方が多分話もスムーズだし効率がいいってことになって来てしまったんだろうなーと思っていて。
志村:なるほど。
田中:うーん。でもそこは…そこがみんな限界を感じているから、色んな例えばテクノロジーで、聴覚を使ったものとか触覚を使ったものとか最近増えてますけど、それってやっぱり自分たちのただ感じてない世界を知りたいっていうただ表れだと思うんですよね。
志村:うーん。
田中:でもそれを既に実践している、視覚に障害のある人とか聴覚に障害のある人とかがいて、すごく日常の近い所にいるはずなのに、なぜそこは遠去けてしまうんだろうなーと思いますね。
志村:そうもったいないですね〜。
田中:うーん。
志村:そういうことが……そうね〜、理解してもらえるような、ってか、あ、なるほどな!と思ってもらえるような、そういう風なきっかけ作りに映画がなったりしたらいいですね〜。
田中:そうですね〜。映画も別にお互いを理解しようなんて全然思っていなくて、見える人と見えない人が、まあ加藤さんが書いた脚本があって、それを見える人が読んでどう解釈して加藤さんにぶつけて、加藤さんが受け入れる時もあれば違うって言う時もあれば…(笑)すごいもうお互いすごくフラットにやっていて。見える人と見えない人がイメージを共有して、どう一つのものを作っていくのかっていう所で。でも別に正解はないというか…うん。
志村:うん。
田中:それよりは、もうちょっと作り手同士の見える・見えないを越えたやり取りみたいなものが描けているんじゃないかなーと思っています。
志村:いいですよね。そうすると映画を観た方たちがね、「ちょっと出会って話聞いてみたいなー」って、思うだろうし、
田中:うんうんうん。
志村:なんか、または本当はそれは、見える・見えないだけじゃなくって、「あ、自分はちょっと違ってるな」と思っているような職場の人だったりとか、「話聞いてみたいな」とかってなったら、素敵ですよもんね〜!
田中:そうなんですよね〜!そこまでね、いってくれるきっかけになればいいなと思っています。
志村:本当ですね〜。うーん。田中さんがみなさんにね、伝えたいことって…なにかありますか?この映画を通してもそうだし、ご自身のメッセージとして。
田中:そうですね、うーん…なんか、やっぱり…日常って、毎日同じことの繰り返しだと思っている人も多いと思うんですけど、でもそれを全然違う視点から見ると、全く違う世界に見えてくる。それって別に…その、VRとかスマホだったりとかを使わなくても、人は既に違っているんだから、もっと色んな違う視点があるはずで…なんかそこをもう少しそこに意識を向けると日常が面白くなってくる…と私は思うし、実際やっぱり目の見えない加藤さん始め、見えない人とか、色んな体を持った人に会って感じることですね。
志村:うーん。そうか…いいですね。
田中:うーん、なんか、「全然世の中まだまだ面白い」と思えたことがすごい良かったですね。
志村:いいですね〜。
田中:うーん。
志村:窓を開ければね、毎日匂いも違うしね!
田中:うんうん、なんか雨降った時にみんながどう感じてるんだろうっていうこととか、聞こえない人は雨の音は聞こえないから、どう雨の…例えば映画の中で雨のシーンがあった時に、その音ってどう受け取ってるんだろうっていうの聞いたことがあるんですよ。
志村:はい。
田中:そしたら、まあ別に見えてる雨粒を一つ一つ音に変換する、みたいなことはしてなくて、自分が雨の中外に出て行ったらどういう感覚になるかなっていうことを思い出している、ってことを言っていて、なるほどと思ったんですよね。私たちはその、無いものをなにかに置き換えてるって思いがちですけど、別に無い世界での体験って他にもいっぱい要素はあって、その視覚や聴覚が無かったりって、本当その一部に過ぎないっていうことを、意外と気付けてないなーと思っていて。
志村:本当ですね。
田中:うーん。なんか、無くて可哀そうみたいにすぐなっちゃうんですけど…。
志村:そうね〜。
田中:うん。
志村:自分を基準にしてるからでしょうね〜。
田中:ね〜。
志村:人はどうしてもね。私、身長低くてね、電車でそれはすごく不便かっていうと…そんなでもないみたいなね。
田中:うんうんうん。
志村:届かなかったら人に取ってもらえばいいやみたいなね。
田中:そうですね、うんうん。
志村:それと多分似てるんでしょうね〜。自分という体とか、持ってるものを使いこなしてるって所で、それぞれみんな対等だもんね〜。
田中:うんうん、そうですよね〜。もっと周り使うっていうことも、ね、あっていいですよね。1人で全部できちゃうみたいなことがこれまで求められて来たけど、もっとそれこそ子育ての話とか…その…熊谷晋一郎さんっていう脳性麻痺の人が、自立しているっていうのは、依存先をたくさん持ってることだっておっしゃっていて、自立っていうのは全部1人でできることじゃなくて、色んな機能を外に委ねているから自立できてるんだって話をされるんですよね。
志村:はい。
田中:それはすごく面白いなと思っていて、健常者は無意識の内に色んな機能を外に依存できてるから自立できてるんだよって言っているんですけど、確かにそうだなーと思って。自分1人で全部できているような気になってますけど…。
志村:そうですね、錯覚ですね〜。
田中:ね〜!まあだからテクノロジーがこれだけ発達したっていうのもあると思うんですけど。もっとなんか人にも、依存するって言うと言い方があれかもしれないですけど、お互い様みたいなことを、もっとみんなが意識できるといいんじゃないかなーって思いますね。
志村:本当ねー。どんな世界でもそうでしょうね。
田中:うーん。
志村:うん、私は、とってもそれ…同じ。同感です。
田中:うん。助けられることいっぱいあるじゃないですか、見えてない人にも。
志村:うん私は常に。ね?ハチ。
ハチ(アテンド):はい(笑)
田中:志村:あははは〜(笑)
ハチ:そういうことも、ありますよね!
田中:すごいあります…!
志村:そう、私は今そこにいるハチにものすごい助けてもらってますよ!ハチだけじゃなくて、そう本当に、仲間…全ての人に助けられてるし、というか朝起きてから、そして家を出てここの職場まで来る間にどれだけの人たちにお世話になってるかっていうと、数えていけばキリがないと思うの本当は…!それに思いを馳せることができているかだけで、随分違うものね〜〜。
田中:ね〜!そう思います…!
志村:ハチ…どう思った?今日の話。
ハチ:そうですね…えーっと、色んなことを…色んなお話を聞いている中で色んなことをグルグルグルグル思ったんですけど、一番印象的だったのは、私たちが普段過ごしている中で、自由であることに気付いてないんだなって風に思ったんですよ。
田中:うんうんうん。
志村:あ〜〜そっか〜〜。
ハチ:盲学校の体育の授業の話を伺っていて、
田中:はい。
ハチ:そう言えばそうかも……!と思ったんですね。「腕を上げて」って言われたら思いっきりバンザーイ!をしてるかもしれないし、両手を広げてハグをしようとするような格好をしているかもしれない…そう思うと…自由ってすごく広いなー!って思って聞いてました。
志村:ふふふ、うんうん。
田中:そうですよね〜、その時も確かに、先生もそれを普通に受け止めて淡々と、はいじゃあ次―!みたいな感じで…(笑)
ハチ:その先生の受け止める力もすごい…ですね!
田中:そうですね〜、でもそれが自由だっていうことに、みんな多分、確かに気付いてなかった気がします。
ハチ:私も、今日気付きました…!
田中:うーーん、あれはすごい自由なことだと思いますね〜!
ハチ:本当ですよね…!
田中:うーん。
志村:なるほどね〜。それはきっと、田中さんがその体育の授業でこういうことをしなければいけないんだってことを知ってたからこそ、また自由だと思ったんでしょうね〜。
田中:うんうん。そうですね!
志村:いや〜。ありがとうございます、素敵な話いっぱいいただきました。
田中:ありがとうございました!
ハチ:ありがとうございます。
志村:ありがとう、ハチ。
ハチ:はい!
田中:ありがとうございます。
ハチ:ありがとうございます、こちらこそ。
田中:美味しかったです。
志村:美味しかった。ごちそうさま。
田中:ふふ、ごちそうさまでした。